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上司をマネジメントする(4) 「Big Picture」を共有せよ

投稿日:2010/06/29更新日:2019/04/09

——“One world under the sun.”(世界はひとつ。みんな同じ太陽の下)

むかしどこかで、こんな広告コピーを見た記憶があります。世界のいろいろな地域では、いまだに他国との戦争や国内紛争が絶えませんが、そんなときこの一行はとても考えさせられるものがあります。もしいま、巨大な隕石が地球に衝突確実という出来事でも起これば、我々は「一地球人」として戦争をやっている間ではなくなるでしょう。

上司と部下はキツネとタヌキ?

上司と部下という二者の関係はとても不安定です。そもそも上司と部下は、たまたま同じ会社に入って、会社の配属によってたまたま引き合わされただけの関係です。多くの場合、上司は部下を選んだわけでもありませんし、部下は上司を選んだわけでもありません。

上司と部下は互いに不完全な人間同士ですから、職場で四六時中、一緒にいると、互いの欠点がいやおうなしに見えてきます。“Familiarity Breeds Contempt”——親しみは侮蔑を生む、そんな英語のことわざもあります。

部下にとって上司の返答は「このあいだ言ったことと違うじゃないですか」と文句も言いたくなるような一貫性のないときも多いですし、「問答無用」とばかりに理不尽な業務を押し付けてくるときもあります。

また、上司は上司で、部下の進捗が思うようにいっていないと「なんでこんな簡単なことが・・・」のように小言をもらしたり、部下があれこれぐずると「これは全社方針だから」と印籠の一言を出したりします。そして、険悪なムードが過熱すると、「言った」「言わない」の感情論争に。

上司も部下も、いとも簡単に感情の溝にはまりこんで建設的な関係を築けない。

「所詮、給料をもらうためには仕方ないさ」とキツネとタヌキの化かし合いで適当に距離を保つ、職場ではそんな関係状況も多く見受けられるものです。

二点より三点が安定する

基本的には不安定であり、冷めた関係になりやすい上司/部下関係を、安定的かつ友好的なテンションで維持していくにはどうすればよいか、これはずっと以前から会社組織における重要なテーマのひとつであり続けてきました。

そのテーマに対する解のひとつが、上司と部下とで「第三点を共有する」ことです。

上司と部下という二点で感情的に閉じていると、何かと硬直化して前に進んでいこうとするエネルギーがうまく出てきません。そんなとき、互いが共同して見つめられる第三点を設定して、そこに意識を開いていくわけです。

第三点としてお互いが見つめなくてはならないのは、まず何よりも顧客であり、そして取引先であり、社会です。上司と部下は、これらの前ではある意味パートナーです。顧客が欲しがっているものは何か、取引先といい条件で契約を結ぶにはどういう交渉が考えられるか、社会にとっていい商品・サービスとは何か、など、これらの解決や創造に向かって両者が外にエネルギーを放出するとき、両者の関係は協創的になり、友好的にならざるをえません。

同じものを「見晴らす」

もし、部下であるあなたが上司との間で、「言った」「言わない」の感情論争に陥りそうになったら、あるいは、数値目標を「達成しろ」「できない」の感情論争に陥りそうになったら、上司とともに、いま一度、遠くの第三点を見つめ直すよう視点を変えてください。

第三点とは、ビジョンであり、大局観です。理想イメージを描いた「Big Picture」(1枚の大きな絵)と言ってもいいでしょう。

そこからの逆算で、中期の事業目標があり、短期の業務目標があるわけです。上司と部下は「Big Picture」を共同して描き、見晴らすことが大事です。Big Pictureを描くのは上司がやるべきと思って、任せっきりにしてはいけません。部下もおおいに手助けしてあげてください。

それは上司への簡単な問いかけでいいと思います。

・「部長、この商品でお客さんの何が変わるのでしょうか?その原点を考えてみたいのですが」
・「この我々のサービスは自社や業界や社会にどんな貢献や意義があるのか、そこをもう一度議論しませんか」
・「5年後の事業をどうしていたいか、メンバー間で理想イメージを共有しましょう」
・「うちのやっている事業に元気の出るキャッチフレーズを付けましょう」などです。

上司/部下関係を建設的に保ち、強い組織力を形成しているところは、必ず当事者たちが担当仕事の意義や貢献を、第三点として共有しています。その様子は次のコピーのように言えるかもしれません。

———“One team under the vision.”(チームはひとつ。みんなそのビジョンの下)

  • 村山 昇

    キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

    人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)をはじめ、管理職研修、キャリア開発研修、思考技術研修などの分野で企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。 GCC(グロービス・キャリア・クラブ)主催セミナーにて登壇も多数。 1986年慶應義塾大学・経済学部卒業。プラス、日経BP社、ベネッセコーポレーション、NTTデータを経て、03年独立。94-95年イリノイ工科大学大学院「Institute of Design」(米・シカゴ)研究員、07年一橋大学大学院・商学研究科にて経営学修士(MBA)取得。 著書に、『キレの思考・コクの思考』(東洋経済新報社)、『個と組織を強くする部課長の対話力』『いい仕事ができる人の考え方』『働き方の哲学』(以上、ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。

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