※本記事は、GLOBIS学び放題の学習コース、「タイムマネジメントの必要性とコツ」の内容をもとにしています。実務で活用する方法など、より詳しく知りたい方は、ぜひ動画をご覧ください。

なぜタイムマネジメントが必要なのか
タイムマネジメントの出発点は、時間を削ることではなく、結果から逆算して考える姿勢にあります。
丁寧に仕事を進めるプロセスはもちろん大切です。しかしビジネスで評価されるのは、あくまで結果です。だからこそ、着手する前に「どういう状態になっていればゴールなのか」を自分の中でイメージしておく必要があります。
ここで効いてくるのが段取りです。「段取り八分」という言葉があるように、仕事の成否は段取りと準備の段階でほぼ決まると言ってよいでしょう。たとえば上司に確認したいことが三つあるとき、事前に整理していれば一度で済みます。整理せず思いついた順に動けば、一つ聞いて戻り、また思い出して聞きに行く、という往復が発生します。一回あたりは数分でも、こうした手戻りは一日のうちに何度も起こり、積み上がると相当な時間になります。
段取りには、もう一つ大きな効果があります。先を見通すことで「これは自分でやらず人に頼んだほうが早い」「この作業とあの作業はまとめて処理できる」といった判断ができるようになる点です。段取りは仕事の全体像をつかむための作業でもあるため、まずここに意識的に時間を確保することが重要です。
段取りはPDCAの「P」にあたる
段取りを継続的な成長につなげる枠組みとして、PDCAサイクルが有効です。
段取りはPDCAのP、つまり計画に相当します。目標を立て、それに対して「いつまでに何をするか」を考える段階です。計画があるからこそ実行に移せます。行動そのものは重要ですが、その前に何をいつまでにどうやるのかを考える、あるいは考えながら動くくらいの姿勢が望ましいでしょう。
ここで多くの人がつまずくのがC、チェックです。計画して実行する、また計画して実行する。あるいは計画だけで終わってしまう。計画通りにできたかを検証しないままでは、同じ失敗を繰り返す構造から抜け出せません。ただし、検証して「できなかった」で止まってしまえば評論家と変わりません。
続くAはアクション、つまり改善です。検証で見えた問題点を踏まえ、次はこうしようと修正して次の計画につなげます。このときの計画は、前回より一段上の計画になっているはずです。PDCAは同じ場所を回り続けるのではなく、上へ向かって螺旋状に上がっていく成長のサイクルだと言われるのは、この点にあります。
段取り力を高める土台としてのToDoリスト
段取りを習慣にする最も基本的な手段が、ToDoリストの作成です。
まず一日の始まりに、その日やるべきことを書き出します。締め切りがあるものは期限も併記し、前日のリストを見直して調整します。特に在宅勤務では、なんとなく仕事を始めてしまいがちです。しかし書き出す行為そのものが、今日の自分の持ち時間と仕事量を突き合わせる作業になります。頭の中だけで管理していると、人は自分の処理能力を過大に見積もりやすいためです。
次に優先順位をつけ、仕事の順番を決めます。ここで押さえておきたいのは、優先順位を自分ひとりで決めないことです。何が急ぎで何が後回しにできるかは、自分に見えている情報だけでは判断しきれません。特に経験の浅いうちは、上司に相談しながら順番を決めることが欠かせません。
そして実行したらチェック欄に印をつけていきます。終わったものが目に見えて増えていくと達成感が得られ、次のタスクへの推進力になります。終わらなかったものは翌日のリストに書き込みます。仕事は短距離走ではなく長距離マラソンであり、短期・中長期・長期それぞれの目的があります。しかも一人で完結する仕事はありません。周囲と歩調が合っているか、進む方向がずれていないかを確認しながら走るという視点も、リストを使う目的の一つです。
時間の使い方で自分を高める
タイムマネジメントは目の前の業務効率だけでなく、中長期の成長にも直結します。
一つ目は、目標を掲げて定期的に見直すことです。入社時に自分が語った志望動機や描いていた将来像を思い出してみてください。そこに近づくための道標が目標です。自分がなりたい姿と会社の理念を重ね合わせ、どのような貢献ができるかを考えると目標が見えてきます。そこから今年、この三か月、今月、今週、今日と落とし込み、方向がずれていないかを確認しながらPDCAを回していくのが基本の型です。
二つ目は、一日15分を自分の成長のために使うことです。15分という数字には根拠があります。一日24時間の約1%が15分にあたります。一日の1%を、本を読む、仕事に関わることを調べるといった時間に充てる。仕事が終わったら何もしないのではなく、わずかな時間を積み重ねる。この差は年単位で見ると大きな差別化になります。
三つ目は、深い人脈を作って自分を刺激することです。社会人になると社内の交流に偏りがちですが、社外の人と出会うことで「こういう働き方があるのか」という発見が得られます。思わぬつながりが後に仕事の場面で活きることも珍しくありません。
四つ目は、休日の過ごし方です。オンとオフのメリハリは大切ですが、起床時間を平日と大きくずらさないことは体調管理としての時間管理です。就寝・起床のリズムが崩れると、週明けのパフォーマンスに影響します。平日に確保している学びの時間を、休日は少し長めに取るという使い方も有効でしょう。
まとめ:タイムマネジメントはセルフマネジメントである
最後に、タイムマネジメントを学ぶ意味を整理します。
時間は有限であり、唯一すべての人に平等に与えられているものです。誰にも一日25時間はありません。大切なのは、その限られた時間をどう使うかです。そして使い方を決めるのは、自分自身の段取りです。
一日の終わりに達成感を味わえるか、「今日もできなかった」と思うか。その差は能力ではなく時間管理から生まれます。段取りを立て、優先順位を上司と共有し、緊急ではないが重要な領域に時間を投じる。この一連の動きができるようになると、周囲より一歩先の行動が取れるようになり、任せられる仕事の質そのものが変わってきます。会議の場でも、締め切り直前の慌ただしさに追われることなく、判断や提案に時間を使えるようになります。
自分の時間を管理することは、自分自身を管理することと同じです。タイムマネジメントはセルフマネジメントであるという視点を持てば、日々の一つひとつの選択が自分の成長に結びついていきます。限りある時間を意識的に使い、達成感のある働き方を積み重ねていってください。
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