営業プロセスを分割することで劇的に生産性を上げる

投稿日:2026/04/20

このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです。

どのような業務であっても、複雑さが増したり専門性が高まったりすると、1人でそれを担当するのは難しくなる。たとえばかつてちょっとしたシステム開発は1人のエンジニアが設計から開発テストまで担当していた。
しかし現在ではそれでは大きなプロジェクトは回らないので、要件定義はプロダクトマネージャー、設計はアーキテクト、開発(コーディング)はエンジニア、テストはQA、UI/UXはデザイナーなどと業務を分担することで生産性を高めている。 

近年では同様の分業が営業の現場でも進行中だ。昔の「足で稼ぐ時代」には飛び込みの新規営業からクロージング、さらにはアフターサービスの一部までを1人のセールスパーソンが行っていたが、これでは育成も大変だし、何よりも営業スタイルが属人化してしまい、ばらつきが大きくなってしまう。

営業、特に法人営業の業務分担にはいくつかのバリエーションがあるが、最も有名なのはセールスフォースが開発した「ザ・モデル」だ。これをそのまま利用したり適宜微調整を加えることで、営業のばらつきを減らしつつ、スケール化することが容易になってきたのである。 

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)


幅広い法人営業業務を1人で抱えるのは非効率

セールスフォースが提唱する、営業活動における分業体制「ザ・モデル」は、「マーケティング」「インサイドセールス」「フィールドセールス」「カスタマーサクセス」の4つのプロセスから成ります。 

かつては、特に法人営業において、見込み顧客の開拓から評価、商談、アフターサービスまでを1人の営業担当者が行うというケースが少なくありませんでした。たとえば、法人融資担当の銀行員は、飛び込み営業から与信、商談、アフターサービスまでを1人で行うことが多いです(ある程度周りからのサポートは受けますが)。顧客をよく知るという意味では1つの方法ではありますが、1人があまりに広い範囲の業務を抱えることは、営業方法の標準化を妨げることになり、営業担当者ごとのバラツキが生じますし、すべてのスキルを習得するのに長い年月を要します。

また、このやり方は、近年注目を浴びるようになってきた「カスタマーサクセス」の効率化を妨げることにもなります。カスタマーサクセスとは、顧客が製品やサービスを最大限に活用して期待する成果を達成できるようサポートすることです。受動的なカスタマーサポートとは異なり、顧客の成功を継続的に支援する積極的かつ能動的なアプローチです。競争が激化する中、顧客満足度をより高め、長期的な関係構築により顧客生涯価値(LTV)を上げる上で重要視されています。 

「ザ・モデル」による営業分業の4つのプロセス

ザ・モデルによる分業は、上記の課題を解決しつつ、ITを有効に活用することにもつながります。下記に示した4つのプロセスをシームレスにつなぐことで、各分野の専門性や長所を活かしつつ、売上高の最大化を図るのです。 

(1)マーケティング

単にイベントを開催したり、コンテンツ・マーケティング(資料作成など)を行ってリード顧客(見込み顧客、問い合わせ)を創造するだけではなく、ナーチャリング(リード顧客の購買意欲醸成)も期待されます。その結果、彼らの一部がMQL(Marketing Qualified Lead。購入意欲が高いと考えられるリード顧客)へと変わっていくのです。なお、ナーチャリングについてはインサイドセールスが担ったり、共同で行ったりすることもあります。ナーチャリングの手法としては、顧客ごとにあつらえたメールの送信やセミナーの案内などが挙げられます。 

(2)インサイドセールス

個別のMQLに対して、メールや電話など非対面のコミュニケーションを行います。BANT分析(予算[Budget]、決裁権[Authority]、ニーズ[Needs]、タイミング[Timing]について調べること)を行うことでMQLを評価し、優先順位付けをします。商談数の代わりにSQL (Sales Qualified Lead :商談する価値のある見込み顧客)をKPIとして使う企業もあります。

(3)フィールドセールス 

実際に客先に出向いて(昨今はオンラインも増えています)商談を行い、契約の締結を目指します。すでにそのMQLについて得られた情報を活用して最適なソリューションを提供します。具体的な価格や数量、契約条件などもここで決めます(同時に社内的な承認も取り付けます)。

(4)カスタマーサクセス

顧客に対して、自社製品が最大限の価値を生み出せるようにさまざまなサポートを行います。顧客満足度を高め、リピート購買や顧客同士の紹介によって、アップセル(顧客の単価上昇)やクロスセル(別製品の購入)も狙います。


グロービスMBAキーワード フレームワークBEST100
著:グロービス経営大学院 発行日:2026/3/25 価格:2,420円 発行元:ダイヤモンド社

グロービス出版

  • 嶋田 毅

    グロービス経営大学院 教員/グロービス 出版局長

    東京大学理学部卒、同大学院理学系研究科修士課程修了。戦略系コンサルティングファーム、外資系メーカーを経てグロービスに入社。累計150万部を超えるベストセラー「グロービスMBAシリーズ」の著者、プロデューサーも務める。著書に『グロービスMBAビジネス・ライティング』『グロービスMBAキーワード 図解 基本ビジネス思考法45』『グロービスMBAキーワード 図解 基本フレームワーク50』『ビジネス仮説力の磨き方』(以上ダイヤモンド社)、『MBA 100の基本』(東洋経済新報社)、『[実況]ロジカルシンキング教室』『[実況』アカウンティング教室』『競争優位としての経営理念』(以上PHP研究所)、『ロジカルシンキングの落とし穴』『バイアス』『KSFとは』(以上グロービス電子出版)、共著書に『グロービスMBAマネジメント・ブック』『グロービスMBAマネジメント・ブックⅡ』『MBA定量分析と意思決定』『グロービスMBAビジネスプラン』『ストーリーで学ぶマーケティング戦略の基本』(以上ダイヤモンド社)など。その他にも多数の単著、共著書、共訳書がある。
    グロービス経営大学院や企業研修において経営戦略、マーケティング、事業革新、管理会計、自社課題(アクションラーニング)などの講師を務める。グロービスのナレッジライブラリ「GLOBIS知見録」に定期的にコラムを連載するとともに、さまざまなテーマで講演なども行っている。

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