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ローソンのコーヒーはどんな人が買っている?【仕事をしたら”コーヒー”ができた(前編)】

投稿日:2014/03/11更新日:2021/11/30

「コーヒーはコンビニで買う」——。最近、こういう人が増えてきたのではないだろうか。

首都圏に住む20〜40代の男女に、コンビニコーヒーを利用したことがありますか?(関連記事)と聞いたところ、約半数の人が「利用したことがある」(49.9%)と回答した(朝日大学マーケティング研究所)。なーんだまだ半数の人は利用していないじゃないか、と思われるかもしれないが、利用経験のない人の35%が「機会があれば利用したい」と答えている。数字を見る限り、今後もこの市場の拡大が見込まれるのだ。

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出典:朝日大学マーケティング研究所

ところで、ひとつ気になることがある。コンビニコーヒーはどんな人が買っているのだろうか。「男性はコーヒー、女性はカフェラテ」をよく飲んでいるイメージがあるが、本当にそうした傾向があるのだろうか。そこでローソンのマチカフェを担当している吉澤明男(MACHIcafe・まちかど厨房部・部長)さんに、男女年代別に“売れている商品”をうかがった。

またローソンのコーヒーはどのようにして生まれたのか。ヒット商品が生まれるまでの舞台裏にも迫った。聞き手は、Business Media 誠編集部の土肥義則。前後編でお送りする。

ブレンドコーヒーを飲んでいるのは誰?

土肥義則(以下、敬称略):ローソンが扱うPontaカードのデータを分析すれば、お客が「いつ・どこで・どんな人が・何を・何度買ったのか」が分かるんですよね(Business Media 誠 関連記事)。そこでマチカフェを担当されている吉澤さんに聞きたいことがあります。メニューを見ると、いろいろな種類のドリンクを扱っていますが、「この年代の人にはこの商品が売れている」といった傾向はありますか?

吉澤明男(以下、敬称略):ありますね。下の図をご覧いただけますか? これはコレスポンデンス分析(10月1日〜14日分を集計)で、男女・年代別にして、売れ筋商品をまとめてみました。例えば、30代男性には○○がよく売れている、といったデータですね。ただ、商品名は明らかにしていますが、どういった人たちが購入しているのかという情報は伏せています。

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ちなみにドイさんはどの商品を飲みたいと思いますか?

土肥: そうですね……よく買うのは「ブレンドコーヒー」。

吉澤: ドイさんは40代でしたよね? 「ブレンドコーヒー」をよく買われているのは、男性の50〜60代なんですよ。男性40代は「アイスコーヒー」をよく飲まれていますね。

土肥: まだまだ若いと思っていたのに、それは気持ちだけだったのか(涙)。

はっ、そういえば編集長のY(女性)は「ブレンドコーヒー」をよく飲んでいる。前々から「オトコっぽい性格だなあ」と思っていたのですが……いま分かりました。「オッサン」だったのですね。

広報S: ハハハ。

土肥: ちなみに広報のSさん(女性)は、何を買いますか? そろそろ40代の足音が聞こえているはずですが……(ニヤニヤ)。

広報S: ま、まだ足音なんてまーったく聞こえてきませんが、えと、えと……「カフェラテ」かな。

吉澤: 「カフェラテ」は、40〜50代の女性に人気がありますね。

土肥: やったーっ!

広報S: ドイさんっ、なんで喜ぶんですかっ!!

吉澤: 30代の女性には「アイスカフェラテ」が人気ですね。

広報S: 今度からソレ飲みますうー♪

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年齢が上がるほどコーヒーを飲む割合が高くなる

吉澤: もう一度、上の図を見ていただけますか? どういった人がどのような商品を購入しているのかを明らかにしています。

土肥: 男性は「コーヒー」、女性は「カフェラテ」をよく飲んでいるイメージがあったのですが、それは当たっているようですね。

吉澤: ですね。ただ、10代の男女を見ていただけますか。男性は「アイス抹茶ラテ」、女性は「アイスココア」をよく飲まれている。コーヒーのことをいろいろ調べたところ、年齢が上がるほど飲む割合は高くなっていくんですよね。

土肥: それはなぜでしょうか?

吉澤: Pontaデータを見ても分かるとおり、10代の人たちはあまりコーヒーを飲みません。こうした傾向はある研究でも明らかになっていて、若い人たちはストレスをあまり抱えていないからコーヒーを好まないんですよね。でも大学生や専門学生になると、喫茶店やカフェなどでコーヒーを飲む機会が増えてきますよね。そして社会人になると、会社の人や取引先の人などと一緒に、コーヒーを飲む機会がさらに増えていきます。

毎日仕事をしていると、どうしてもストレスがたまっていきますよね。そうすると、コーヒーを飲む頻度が増えていくんですよ。なので、50〜60代の男性は「ブレンドコーヒー」を購入されているのではないでしょうか。

コーヒーを販売してきたが、売れなかったワケ

2841 5 マチカフェを担当している吉澤明男さん

土肥: ローソンでは過去、何度もコーヒーを販売してきましたが、なかなかうまくいかなかったそうですね。

吉澤: はい。その理由のひとつは、メニューに「炭火焙煎」と書いていたからなんですよ。データを見れば分かりますよね。多くの女性はコーヒーではなく、カフェラテを好みます。「炭火焙煎」という文字を見ただけで、多くの女性は「カフェラテはないのか。私が買いたいモノはない」と判断されたのではないでしょうか。

土肥: コレスポンデンス分析のデータを見ると、女性客が多いようですね。

吉澤: コンビニというのは、朝・昼・夜に商品がよく売れるのですが、マチカフェを展開することによって、15時台に新たなピークができました。なぜピークができたかというと、この時間帯に女性がカフェラテを購入されているんですよね。同時に「スイーツや菓子パンも」といった感じで、平均して3点ほど買っていただいています。

土肥: なるほど。「こういうタイプの店で、コーヒーがたくさん売れている」といった傾向はありますか。

吉澤: 高速道路のサービスエリア内にあるお店は、よく売れていますね。長距離を運転されているドライバーが、ホッとひと息つきたいときに購入されているのではないでしょうか。これまでの過去最高は、1日で600杯売れました。

コーヒーというのは年代が上がるほど飲む人が増えてくる。なぜならストレスがたまってくるから……という話をしましたが、「ひと息つきたいなあ」と感じている人が多いところは、コーヒー需要が高いのではないでしょうか。オフィスの近くにあるお店は、よく売れています。かといって、地方がダメというわけではありません。ロードサイド店舗では、ドライバーがよく購入されていますね。

実験店は長野県のお店でスタート。なぜ?

土肥: 2011年に、コーヒーを実験的に販売されたそうですね。長野県の軽井沢借宿店と飯山瑞穂豊店の2つ。なぜ長野で始められたのでしょうか。

吉澤: これまでの実験店をみると、東京が多いですね。でも東京でやるとどういったことが起きると思いますか? 「それは東京だからでしょ」という声が出てくるんですよ。

土肥: ん? それはどういうことでしょうか?

吉澤: 「東京は人が多いからでしょ」「東京の人はトレンドに敏感だからでしょ」と。つまり、“やらない理由”が次々に出てくるんですよ。

土肥: 「その商品は、東京だから売れているんでしょ。地方では売れないよ」ということですね。

吉澤: はい。ちなみに、ドイさんはどちら出身ですか?

土肥: 大阪です。

吉澤: 「大阪が一番!」「東京は嫌い」と思っていませんか? (苦笑)。

土肥: 思っていますねえ(笑)。

吉澤: 以前、東京のお店で実験したデータを示したことがあるんですよ。でも大阪の人たちは「なんぼのもんじゃい」といった反応でした。「ローソン、東京に魂を売ったのか」といった感じで。それはそれは、こてんぱんにやられちゃいました(涙)。

質問に戻りますが、なぜ長野で実験を始めたのか。長野は競合が多く、ローソンにとってはいわば“アウェー”の場所で、コーヒーがどこまで売れるのかを知りたかったんです。長野という厳しい場所で成功したら他のエリアの人は言い訳ができませんよね。

人間ドラマ”の香りがぷんぷん漂ってきた

2841 6 実験店は長野県のお店でスタート。現在マチカフェを展開しているお店は5500店を超えている

土肥: 「アウェーで売れたんだから、あなたのお店でも売れますよね」ということですね。

吉澤: 長野で実験を始めた理由は、もうひとつあります。先ほど、年齢が上がるほどコーヒーを飲む人が増えてくるという話をしましたが、地方は高齢化が進んでいるところが多い。ということは「コーヒーを好む人は、地方にも多いのでは」という仮説を立てました。

土肥: でも、社内で反発はなかったですか? 「やっぱり東京にしようよ」といった声が。

吉澤: ありました。でも私は「長野で成功する」と確信していましたので、スタートしました。

土肥: 実験店は2店舗だったわけですが、現在マチカフェを展開しているお店は、全国で5500店を超えています。ローソンではこれまでもコーヒーを扱ってきましたが、うまく軌道に乗せることができませんでした。そこで“再建人”として、吉澤さんに白羽の矢が立った。やはりコーヒーは人一倍好きなのでしょうか。

吉澤: いえ。

土肥: えっ?

吉澤: 人並みだと思いますね。以前はたまにスターバックスに行って、コーヒーを飲むくらい。コーヒーを担当する前は、中四国の岡山で勤務していました。

岡山でがんばろうと思って、東京の自宅も売りました。配属されて1年後に、突然連絡がきたんですよ。「本社に戻って、コーヒーを担当してくれないか」って。周りのメンバーはもちろん、家族もびっくりしていました。

土肥: コーヒーの香りではなく、“人間ドラマ”の香りがぷんぷん漂ってきました(笑)。そのへんの話を聞かせていただけますか。

吉澤: 分かりました。

 

>第2回へ続く

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