予測財務諸表とは?財務諸表との違いと3つの活用場面、作成時のポイントを動画から解説

投稿日:2026/09/28更新日:2026/10/05

新規事業や大きな投資の判断を任されたとき、「この施策で将来いくら儲かるのか」を数字で説明できるでしょうか。その答えを導く道具が予測財務諸表です。本記事では、その意味や財務諸表との違い、活用場面、作成時の注意点を解説します。

※本記事は、GLOBIS学び放題の学習コース、「予測財務諸表(前編:予測P/L作成編)」の内容をもとにしています。実務で活用する方法など、より詳しく相関分析について知りたい方は、ぜひ動画をご覧ください。

予測財務諸表とは?未来の業績を数字で見積もるツール

予測財務諸表は、企業や事業の将来の姿を、財務諸表の形で定量的に描き出したものです。

企業が決算発表で開示する財務諸表と予測財務諸表の最大の違いは、時間軸にあります。財務諸表は前年度の売上や利益といった過去の実績をまとめたものです。一方、予測財務諸表は「ある施策を実行した場合、数年後に利益を出せるのか」といった未来をシミュレーションするためのものです。つまり、過去を定量的にまとめたものが財務諸表、未来を定量的に見積もったものが予測財務諸表と整理できます。

天気にたとえると、財務諸表は昨日までの気象記録、予測財務諸表は明日以降の天気予報にあたります。記録だけでは傘を持っていくかどうかは決められません。ビジネスでも同じで、次の一手を決めるには「これからどうなるか」の見通しが必要なのです。

なお、予測財務諸表には目的に応じて予測損益計算書(P/L)、予測貸借対照表(B/S)、予測キャッシュフロー計算書が含まれます。「予測P/L=予測財務諸表」ではない点は、意外と見落とされがちなポイントです。

なぜ意思決定に将来の予測が欠かせないのか

予測財務諸表が求められる理由は、複数の選択肢の中から最も成功の確度が高い戦略を選ぶためです。

企業は、事業の現状を理解したうえで戦略を立て、具体的なアクションプランに落とし込んで実行していきます。このとき、取りうる戦略が一つしかないケースはまれです。たとえば小売企業が成長を目指す場合でも、「店舗を増やす」「EC販売を強化する」「新商品を開発する」など、いくつもの道が考えられます。

どの案も一見もっともらしく、議論が感覚的な好みや声の大きさで決まってしまうことも少なくありません。そこで、各戦略を実行した場合の将来の業績を数字でシミュレーションし、同じ物差しで比較することが重要になります。初期投資の大きさ、利益が出始める時期、必要な資金量などが並べて見えれば、判断の根拠が明確になり、関係者の納得も得やすくなります。

予測財務諸表は、「なんとなく良さそう」を「数字で比較できる選択肢」に変えるための道具だといえるでしょう。

予測財務諸表の代表的な3つの活用場面

予測財務諸表は経理部門だけのものではなく、ビジネスのさまざまな場面で活躍します。

代表的な活用場面の1つ目は、経営上の意思決定です。新規事業の立ち上げや大型投資の検討時に、実行すると利益がどうなるかを見積もり、判断材料とします。

2つ目は、予算管理です。予測数値をもとに予算を策定し、のちに実績と比較することで、戦略が計画どおりに進んでいるかをモニタリングできます。予算管理では予測P/Lだけを作るケースも多い一方、事業部制やカンパニー制を採る企業では、予測B/Sもあわせて作成し、ROAやROEを管理指標とする動きも見られるようになっています。

3つ目は、資金計画です。事業を続けるための資金が足りるのか、不足するならいつ、どの程度必要なのか、成長投資に回す余力があるのかを見通せます。いくら利益が出る計画でも、途中で資金が尽きれば事業は続けられません。

日々の仕事では「将来の数字=予算」として接する人が多いかもしれませんが、実はその活用範囲はずっと広いのです。

作成の大まかな流れは「前提条件」から始まる

予測財務諸表は、前提条件の確認からP/L、B/S、分析へと順を追って作成していきます。

まず、対象とする事業の範囲や期間、売上の根拠、主な費用や投資の発生要因といった前提条件を整理します。次に、その前提をもとに売上と費用を見積もって予測P/Lを作り、さらに設備投資や資金調達なども踏まえて予測B/Sを作成します。最後に、リスクも考慮しながら結果を分析します。

P/Lから作り始めるのは、予測の出発点が「どの程度の事業規模、つまり売上を想定するか」にあるからです。売上が決まらなければ、在庫や設備など他の数字も決められません。

そして最も大切なのが、最初の前提条件を的確に捉えることです。そのためには、数字を作る前に、どんな顧客にどう売るのかという定性的なビジネスプランを具体的にイメージできている必要があります。売上や費用の具体的な予測方法、予測P/L・予測B/Sの作成手順は、動画でExcelを使いながら詳しく解説されています。

作成時に押さえたい2つのポイント

予測財務諸表を意思決定に役立てるには、「複数シナリオ」と「シンプルな前提」の2点が鍵になります。

1つ目は、複数のシナリオを作成して定量的に評価することです。将来は誰にも正確にはわかりません。だからこそ、ベストケース、ベースケース、ワーストケースといった複数の見通しを用意しておくことが有効です。たとえば、サブスクリプション型のサービスでは、解約率が想定より数ポイント高いだけで、黒字化の時期や必要な運転資金が大きく変わることがあります。最悪の場合を事前に把握しておけば、撤退ラインや追加資金の準備を前もって考えられます。

2つ目は、前提条件をシンプルにすることです。複数シナリオを作る際、前提が複雑すぎると数字を変えるたびに作業が煩雑になります。会議の場で「価格を1割下げたらどうなるか」と問われても、前提がシンプルなら素早く試算し直せます。意思決定に役立てるには、精緻さと同じくらいスピードが大切なのです。

まとめ:予測財務諸表は「未来を語る共通言語」

予測財務諸表とは、将来の業績を財務諸表の形で定量的に見積もったものです。過去の実績を示す財務諸表とは時間軸が異なり、経営上の意思決定、予算管理、資金計画など幅広い場面で活用できます。作成にあたっては、前提条件をシンプルに保ち、複数のシナリオで数字の変化を評価することが重要です。

この考え方を身につけると、新規事業の企画書や投資の提案で「やりたい」という思いを「数字の裏付けがある計画」として示せるようになります。上司や経営層に対して説得力のある提案ができるだけでなく、自社や取引先、投資先企業の将来性を読み解く力も養われます。経理部門でなくても、事業に関わるすべてのビジネスパーソンにとって心強い武器になるでしょう。


■実務で活用する方法など、より詳しく予測財務諸表について知りたい方はこちら

■その他おすすめの動画はこちら

■GLOBIS 学び放題で、さらに学びを深めませんか?

GLOBIS 学び放題は、ビジネススクールを運営するグロービスの動画学習サービスです。
上記でご紹介した目標設定、マネジメントに関連する動画を始め、マーケティングや経営戦略など、14カテゴリのビジネススキルが学び放題。

▼特徴▼

  • MBAほかで教える講師監修の高品質なビジネス動画を提供
  • 17,800本以上の動画(※2025年4月時点)を毎月書籍1冊分の価格で見放題
  • 1動画3分〜、スマホやアプリでいつでもどこでも学べる
  • ビジネスの原理原則〜最新トレンドまで、仕事に役立つ実践的な知識を体系的に網羅
  • 初級・中級・実践まで自分に合うレベルを選べる
  • オンラインイベントやユーザー主催の勉強会などで、一緒に学ぶ仲間に出会える

第20回日本e-Learning大賞で厚生労働大臣賞を受賞!

ユーザーアンケートの結果、90%以上の利用者が高評価!

GLOBIS学び放題で、あなたの可能性を広げる一歩を始めませんか?

▼さらに詳しい情報や、無料体験はこちらから▼

  • GLOBIS学び放題×知見録

    編集部

    ビジネスパーソンの役に立つコンテンツをお届けすべく、取材、インタビュー、撮影、編集などを日々行っています。

関連動画

学びを深くする

記事に関連する、一緒に学ぶべき動画学習コースをまとめました。

関連記事

合わせて読みたい

一緒に読みたい、関連するトピックをまとめました。

サブスクリプション

学ぶ習慣が、
あなたを強くする

スキマ時間を使った動画学習で、効率的に仕事スキルをアップデート。

20,000本以上の
ビジネス動画が見放題

7日間の無料体験へ もっと詳細を見る

※ 期間内に自動更新を停止いただければ
料金は一切かかりません

利用者の90%以上から
好評価をいただきました

スマホを眺める5分を
学びの時間に。

まずは7日間無料で
体験してみよう!!

7日間の無料体験へ もっと詳細を見る

※ 期間内に自動更新を停止いただければ
料金は一切かかりません

メールマガジン

受け取る情報で
周りと差をつける

おすすめや無料配信中の学習動画や記事、お得なキャンペーン情報など定期的に配信しています。

すでにGLOBIS学び放題へご登録済みの方は、別のメールアドレスをご入力ください。
プライバシーポリシーはこちら

トピックス

記事・動画の注目タグ

新着記事・動画

メールマガジン

すでにGLOBIS学び放題へご登録済みの方は、別のメールアドレスをご入力ください。
プライバシーポリシーはこちら