ゴールデンウィークのまとまった休みは、日々の喧騒から離れてご自身のキャリアとスキルを見つめ直し、未来に向けて「知識をアップデート」する絶好の機会です。
本記事では、グロービス経営大学院の教員陣が、激動の時代を生き抜くビジネスパーソンのために、いまこそ読むべき良書を厳選してご紹介します。
ラインナップは、不透明な地政学リスクを読み解く教養から、AI時代に求められる高付加価値な創造性、さらには文脈を読み解くリーダーシップや自律を促す育成術まで、2026年の成長を加速させる多角的な視点を網羅しています。
この連休を活用して、不透明な時代を切り拓くための「思考の武器」をアップデートし、一歩先を行くビジネススキルを手にいれましょう。
※これまでの長期休暇にオススメの書籍シリーズはこちら。
イスラム・キリスト・ユダヤ――三大一神教の対立構造を解剖する

推薦者:嶋田 毅
グローバル化が進展する一方で、ナショナリズムが台頭し、様々な紛争やテロが活発化したのがこの数十年である。
本稿を書いている現在もイランとイスラエル、アメリカが緊迫した状況にあり、世界の耳目を集めている。
こうした紛争の背景には、通常、経済問題やイデオロギー対立、そして宗教問題などが絡むことが多い。
このうち日本人がいまひとつピンときにくいのが宗教対立だ。しかしその基本を理解しないと近年の地政学は理解できない。
特に日本の最大の同盟国であるアメリカは先進国の中でもかなりの宗教国家であり、また日本の原油は主にイスラム圏から輸入されていることを考えると、その重要度はさらに上がる。
本書はタイトルこそ「イスラム原論」とついているが、内容はイスラム教とキリスト教、ユダヤ教の比較とそれらが浸透した国々の長年の歴史や対立を紐解いたものになっている。
同じ一神教の神を戴くはずなのに、なぜこれらの信徒は激しい対立を繰り返すのか。
そしてかつて栄華を誇ったイスラム文化がなぜ見下していたキリスト教の文化に負けていったのか。
なぜキリスト教は資本主義を生み出したのにイスラム教はそれが出来なかったのか。
なぜイスラム教は往々にしてテロに走るのか。
こうした疑問に答えてくれるのが本書だ。
新しい発見のある人は多いはずだ。
一部、少し言い過ぎのきらいもあるが、こうした宗教のエッセンスを紹介しつつ、歴史や資本主義と絡めて論を展開できるのは博覧強記、分野横断的な知を持つ著者ならではと言えるだろう。
本書はもともと9.11テロの翌2002年に出版されたものの新装版だが、内容は今でも新鮮である。
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『日本人のためのイスラム原論 新装版』
著:小室 直樹 発行日:2023/6/26 価格:2,200円 発行元:集英社インターナショナル
次世代ビジネスパーソンのあるべき資質と価値創造に示唆を与える一冊

推薦者:小川 智子
時代の変化で書籍の主張の重要性が際立つために、改めて読むと今まで気づかなかった示唆を与えてくれる良書がある。20年前に書かれた本書も、その一冊である。
本書によれば、現在はコンセプトの時代で、創造力、共感力、思いやりなどの「ハイ・コンセプト」や「ハイ・タッチ」が求められている。このコンセプト時代に至る流れを、脳の仕組みや時代の変化などの視点で、実例をもとに包括的に語っている。
そして、これまで重要とされていた論理的な左脳思考だけでは不十分で、右脳的な資質も身につけ、時代に求められる思考を養う重要性を指摘している。6つの資質として提唱されるのが、『デザイン』『物語』『全体の調和』『共感』『遊び心』『生きがい』だ。具体的な感性の磨き方も示されている。
AIによる新たな価値への期待と、仕事を奪われる危機に直面している現在、本書の主張への共感は、20年前より高まっているように思う。実際、高付加価値の源泉であった情報整理や分析、提案といった知的作業は、AIが瞬時に行える時代である。「デザイン・アート思考」「顧客への共感やストーリー」「パーパス・志や生きがい」「エコシステム(調和)や共創」など、新たな領域の書籍や学びも出ている。
創造的な領域もAIが肩代わりできる今、一部の事例や提言に古さが否めない箇所はある。しかし、「人間が左脳と右脳を融合させ」「人間が人間の価値を問い、独自の価値を創る」重要性は変わらない。
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『ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代』
著:ダニエル・ピンク 翻訳:大前 研一 発行日:2006/5/8 価格:1,899円 発行元:三笠書房
<本テーマについてもっと知りたい方に>
・テクノベート・ストラテジー ~DXに向けて~(前編)│GLOBIS学び放題×知見録
・デザインシンキング ~事例とともに考える~│GLOBIS学び放題×知見録
リーダーの本質は「読む力」と「編む力」

推薦者:平野 善隆
同じことをしているのに、うまくいく人と、そうでない人がいるのはなぜでしょうか。
その違いの一つは「文脈(コンテキスト)」を理解しているかどうかにあります。
本書「コンテキスト・リーダーシップ」では、リーダー行動における「『任せる』と『丸投げ』の何が違うのか?」という問いかけから始まり、同じ行為でも文脈(コンテキスト)に応じて「最高」にも「最低」にもなると説いています。
「コンテキスト」は、文章の前後関係や文脈・前提・背景という意味ですが、相手の文脈を正確に読み取ることは簡単ではありません。だからこそ、多くの人が人間関係やマネジメントに悩むのです。
さらに重要なのは、コンテキストは個人についてだけにとどまらないという点です。
相手の能力や意欲、信頼関係だけでなく、組織や社会といった大きな枠組みも含めて捉える必要があります。
つまり、その人を取り巻く複雑な環境全体を読み解いてこそ、本当の理解にたどり着くのです。
本書を読んで、私は「機(はた)」という文字を思い浮かべました。
取り巻く環境(機会・危機・転機・動機など)に対して、織物のように複雑に絡み合った構造を「読み解く」こと、そして人の共感を得て動いてもらうために、その構造を「編んでいく」こと。
これこそが、リーダーの本質なのだと感じました。
また本書では、コンテキストを「読む」「編む」ために、歴史・哲学・経済学・社会学・心理学・文学・芸術・宗教という教養が重要であると説かれています。
この一冊をきっかけに、リーダーシップの捉え方が変わるとともに、知的好奇心が大きく広がると思います。
ぜひご一読ください!
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『コンテキスト・リーダーシップ』
著:山口 周 発行日:2026/4/15 価格:1,210円 発行元:光文社
名サッカー監督が教える「何度言っても動かない」を変える指導法とは?
推薦者:林 浩平
「何度言っても動かない」「組織内の”温度差”が埋まらない」「このメンバーで本当に成果を出せるのか」
管理職や経営陣のこうした悩みに、真正面から向き合う一冊を、今回ご紹介します。
著者は、筑波大学蹴球部監督の小井土 正亮氏。選手としてプロを経験、コーチングの博士号も取得した大学教員としての顔も持つ、実務と研究の双方に通じる一流の指導者です。
氏が率いる筑波大学蹴球部は、それまでの危機的状況から再建され、日本一を争う強豪へと成長しました。その過程で選手らを、単なる「指示待ち」ではなく、自ら考え、学び続ける選手へと育てていきました。
そのための核が、指導者が「教える」ことを手放す、という発想。答えを「与える」のではなく、問いを通じて相手の思考を「促し、気づかせ」、自律的な行動と成長を「引き出す」。その実践の様子が、多くの具体的エピソードを通じて描かれています。
ビジネスの現場でも「人材育成」「組織開発」の悩みは尽きません。制度や組織(≒マッキンゼーの7Sにおける「ハードS」)に手を入れるのも大事ですが、結局問われるのは「現場で、人々が実際に育っていく風景・風土が、広く埋め込まれているか」。神は細部に宿るのです。
本書は、精神論にとどまらず、対話、チームづくり、マインドセットのあり方まで、具体例と共に理解できる点が秀逸。ビジネス事例ではない分、新鮮な気持ちで読め、自ずと「自分の職場だと…」と自分に引きよせ、自問自答する機会にもなるでしょう。
指示や助言を減らし、メンバーの主体性を高めたい方、長期的に強い組織をつくりたい方に、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。
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『「教える」を手放す 人とチームの自律を引き出すコーチング』
著:小井土 正亮 発行日:2026/4/24 価格:1,980円 発行元:ディスカヴァー・トゥエンティワン
<本テーマについてもっと知りたい方に>
・戦略を実行できる組織を作るためには「7S」を長期目線で変革せよ!/みんなの相談室Premium|GLOBIS学び放題
・明日から使える!現場が変わるコミュニケーション|GLOBIS学び放題
GLOBIS学び放題でも『達人の一冊』シリーズほかで、グロービスの教員や研究員によるおすすめ書籍をご紹介しています。














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