いよいよ来週に迫った新年度。新卒・中途を問わず、新入社員を迎える準備を進める組織も多いのではないでしょうか。
人事採用や現場の新人受け入れ担当の悩みと言えば「新人が組織になじめず、早期離職してしまうのでは?」といったもの。そこで近年重要性が高まるのが、オンボーディング施策を通じた受け入れプロセスです。
今回は、オンボーディングや新卒・新人育成について参考になるGLOBIS 知見録のテキスト記事や動画、おすすめの書籍をご紹介します。
オンボーディングとは
オンボーディング(on-boarding)とは、新しく加入したメンバーが組織や組織文化に早期に適応していくことを支援するプロセスを指します。この目的には、早期に組織になじんでもらい、戦力化し、辞めないようにリテンションしていくといったことが挙げられます。
元々は船や車などの「乗り物に乗っている」という意味の「on-board」から派生した言葉であり、乗り込んできたクルーへのサポートや、その中での生活に慣れてもらうためのプロセスを意味していました。
オンボーディングの取り組みポイントや流れ
新入社員の受け入れプロセスと言えば従来、入社直後のオリエンテーション・研修を通して短期集中的に行うものでした。加えて言えば、中心となってプロセスに関わるのは現場の限られた人だけであるのが一般的です。
オンボーディングは、短期集中的な入社直後のオリエンテーション・研修だけで完結しません。そのプロセスは長期的な観点で設計され、人事をはじめとした組織全体が関わります。
例えば、入社前においては既存社員との懇親会・座談会、また入社直後においてはOJTはもちろん、企業理念・文化について知る機会を設けたり、経営陣による講義の時間を設けたりなどの例があります。更にその後は、メンターとの1on1や人事による定期研修、同期会や部門を横断した交流会などが考えられるでしょう。
いずれも、直属の上司・先輩だけでない縦横ナナメのサポートを行い、組織内に広くネットワークが構築できるよう促すことがポイントとなります。
オンボーディングによって期待されるメリット
組織やメンバーにとってオンボーディングには、以下のようなメリットが期待されます。
- 早期離職の防止
- 新入社員のより早い戦力化
- 組織の生産性向上
- 採用コスト削減
- 満足度・エンゲージメント向上
- 部署による教育格差の低減
ここからは、オンボーディングを実践するにおいてのポイント理解や、新人育成を考えるときに役立つ記事・動画・書籍をご紹介します。
オンボーディング実践への理解を深める
新しい人が定着しない職場では「オンボーディング」で生産性を高めよ!
日常にある身近な疑問を、ビジネス知識を使って解決する「みんなの相談室Premium」。
今回寄せられたのは、「私の会社は、新しい人が入ってもすぐに辞めてしまいます。結果、長く続けている人に仕事のしわ寄せが行き、属人的で場当たり的に日々の仕事を凌いでいます」というお悩みです。これを解決する方法としてのオンボーディングについて、グロービス経営大学院教員・嶋田毅が基本から解説します。
※動画を視聴後、続きをご覧になりたい方は「GLOBIS学び放題」でご視聴ください。非会員の方でも本編の一部が視聴可能です。
※この動画は、茨城放送で制作・放送しているラジオ番組「グロービス みんなの相談室」の動画版として再編集したものです。
『組織になじませる力-オンボーディングが新卒・中途の離職を防ぐ』
どうせすぐに退職・転職されるからと「社員を組織になじませる」努力をしなければ、会社はどうなるか。人が流出するだけで、知識・技能の伝達ができず、労働力が枯渇し、やがて永続性も保てなくなるでしょう。
本書はこの「組織になじませる力」=オンボーディングの手法を整理し、体系的に解説した書籍です。
当初オンボーディングというテーマに一貫して取り組んだ書籍はほとんどなかった中で出版された書籍であり、教科書的に知識を得たい方向けの内容となっています。より詳しく内容をご紹介した書評記事はこちら。
全世代に贈る、柔軟に仕事人生を生きるヒント――『組織になじませる力-オンボーディングが新卒・中途の離職を防ぐ』
中途採用者のオンボーディングを阻害する構造的要因とは
採用を強化する中で、既にオンボーディング施策に実際取り組んでみたが、なかなかうまくいかないという声もよく聞かれます。
本稿では、オンボーディングに頻発する困難にはどんなものがあり、その原因は何か。そしてこの困難を乗り越えるにはどうすればよいかについて解説します。
新人育成をより具体的な場面で考える
新入社員がすぐに辞めてしまう……「育てる人」を育てていますか?
早期退職が頻発した場合、まず取り組むのが新人教育方法の見直しでしょう。しかし、そもそも「育てる人」をしっかりと育てられているのでしょうか?
本稿は「ようやく獲得した若い人材が、早々と退職してしまいます。若手人材を、どうすればビジネスの世界にうまく適応させられるのでしょうか」という悩みに対し、「育てる人を育てられているのか?」という観点でお答えした記事です。育てる人を育てるための5つのステップや、実践のポイントをご紹介します。
サイバーエージェント流 人材育成法〜若手が育つ4つのサイクル〜
3000人以上の採用に関わり、300人以上の管理職育成に携わった人事部門役員、曽山哲人氏(株式会社サイバーエージェント常務執行役員CHO)による「サイバーエージェント流 人材育成法」のインタビュー動画です。
若手に自信を持たせることで「勝手に」急成長する4つのサイクル、「抜擢」「決断」「失敗」「学習」のメソッドを解説します。
※動画を視聴後、続きをご覧になりたい方は「GLOBIS学び放題」でご視聴ください。非会員の方でも本編の一部が視聴可能です。
新入社員向け 周りと差がつく「GLOBIS 学び放題」のオススメ動画
新入社員時代に身に付けた学習姿勢はその後のビジネスパーソンとしての仕事に大きな影響を与えます。そこで新入社員にOJTだけではない自主的なキャッチアップを促す中で、具体的にどのようなスキルから身に付けてほしいのかと聞かれると、迷うこともあるのではないでしょうか。
こちらの記事では、社会人としての「学び方」を学ぶ動画や、ビジネスライティングなどの汎用的なスキルを身に付けるための動画など、グロービス経営大学院の教員が推薦するGLOBIS学び放題の動画をまとめてご紹介しています。