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全世代に贈る、柔軟に仕事人生を生きるヒント――『組織になじませる力-オンボーディングが新卒・中途の離職を防ぐ』

投稿日:2023/03/22

皆さんは、「オンボーディング」という言葉を耳にされたことはありますか?
本書ではオンボーディングとは、会社や組織に新しく加わった個人を船や飛行機の乗組員に例え、「組織が新入社員の組織(再)適応を促進するために実施する施策」と定義しています。

コロナ禍を経て課題感の高まる「オンボーディング」

試しにGoogleトレンドで過去5年間「オンボーディング」がどのくらい検索されてきたか(キーワード需要)の推移をチェックしてみたところ、2022年1月ごろから右肩上がりに検索需要≒人々の関心が上昇し始めています。これは私の推測ですが、2022年1月はコロナ禍に入り約2年が経過したころで、その間に入社した新卒・中途採用社員の定着に課題意識を持つ人々が増加してきた時期だったのかもしれません。その最中、2022年3月に出版されたこの本はまさに新人の組織適応に課題を持つ今の課題感に真正面から応える書籍と言えます。

注目が高まる一方、オンボーディングというテーマに一貫して取り組んだ書籍はほとんどありませんでした。そこで出版された本書は、体系的な知識を得たい人事担当者はもちろん、特に転職社会において新人を受け入れる側である、上司・同僚の方々にも手に取っていただきたい書籍です。

中途採用者が抱えるオンボーディングの困難とは?

中でも特に取り上げたいのは第4・5章にある、中途採用者のオンボーディングの困難さを明らかにしている部分です。中途採用者は新卒社員と異なり、即戦力を前提としているうえに、新卒社員ほどOJT・Off-JTの体制が十分に整備されてもいない、圧倒的なプレッシャーの中で迅速に成果を出さねばなりません。もしそれが出来なければ、同僚から信頼を得ることは難しいという状況に立たされているのです。
しかしそれと同時に、既存社員から信頼感が得られなければ、いつまで経っても成果を出すことができない負のスパイラルに陥る可能性が高まります。これを著者は「因果のねじれ現象」と呼んでいます。

対処法としては、中途採用者を即戦力ではなく「新卒採用者よりは多少早めに成果を出す人材」ととらえること、また本人のみならず「受け入れる側がなじませる環境を作っておくこと」が必要、と著者は述べています。

中途採用者を組織に適応させるためには、人事部門に限らず、受け入れ側がオンボーディングを体系的に理解することが必要です。また、それだけでなく、既存社員にも「中途採用者=即戦力」という固定観念を刷新するための働きかけをすることも必要です。
特に、上司は中途採用者が組織に適応するために非常に重要な役割を果たしています。上司の育成スキルを向上させ、組織も上司のサポートを確保することで、従業員の定着を促進できるのです。

オンボーディングの重要性が誰にでも高まっている社会で

こうして見ると、オンボーディングの根底にある思想は「変化への寛容性」なのではないかと私は感じます。働き方や組織の在り方の変化を受け入れ、自ら柔軟に対応していくーそんなシンプルな思想が(新しく組織に参入する立場であろうと、受け入れる側であろうと)我々に求められているのでしょう。

最後に、本書が持つ可能性について触れて本稿を締めくくりたいと思います。
本書で取り上げられている対象は新卒・中途採用社員という比較的若年層を取り上げていますが、オンボーディングの重要性は若年層に限った話ではありません。生涯現役が当たり前になるかもしれない近い未来、ミドル世代やシニア世代が新しいことに継続して挑戦でき、充実した仕事人生を送る社会であるためには、やはり柔軟なオンボーディングの考え方が必要です。オンボーディングの研究は現在進行形であり、フィールドワークするのはほかでもない我々なのです。

組織になじませる力 ~ オンボーディングが新卒・中途の離職を防ぐ
著:尾形 真実哉 発行日:2022/3/11 価格:1,870円 発行元:アルク

  • 上山 紗緒里

    グロービス・コーポレート・エデュケーション マネジャー

    同志社大学法学部政治学科卒業、グロービス経営大学院修士課程(MBA)修了。
     
    大学卒業後、株式会社三井住友銀行に入行。リテール部門にて個人および法人オーナーの顧客に対する資産運用、ローン、相続ビジネスニーズへのアドバイザリー業務に従事。
     
    グロービス入社後は企業向け人材開発・組織開発サービスの企画、設計、コンサルティングに従事。
    現在は法人営業部門のBtoBマーケティングチームに所属し、コンテンツマーケティングの企画・実行を担当。
    同時にインサイドセールスチームを組成。組織・運用設計を行い、チームマネジメントを行っている。
    思考領域の研究グループでは各種コンテンツ・教材開発および講師を務める。

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