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新入社員がすぐに辞めてしまう……「育てる人」を育てていますか?

投稿日:2016/11/24更新日:2023/03/29

グロービスで組織開発・人材育成のコンサルタントをしている薛(そる)です。今回は、以下のお答えするのは、以下のお悩みです。

【お悩み】 我が社では、新卒採用競争の末、ようやく獲得した若い人材が、早々と退職してしまいます。若手人材を、どうすればビジネスの世界にうまく適応させられるのでしょうか。(製造・採用育成室)

【お答え】育てる人を育てていますか?

マネジャー層に「育成された経験」が少ない

イラスト:かわぐちまさみ

私の経験からすると、若手が辞めるのは多くの場合、「この職場で仕事をして自分の力が伸びた」という成長実感を得られないからです。これ、裏を返すと、上司が若手に成長実感を持たせられていない、つまり、育てられていないのです。「育てる人を育てられているか?」を見直すことが先決だと思います。

これは多くの企業にとって根深い問題です。厄介なのは、マネジャー層に「育成された経験」がないということです。

バブル崩壊後、失われた20年と呼ばれる低成長期に入社した世代がマネジャーになっています。厳しい経営環境の中で採用人数も抑制されていた時代です。上司から丁寧に育成・指導を受けるという経験そのものが希薄でした。また、自分の後に続いて入社してくる後輩も少ないので、いわゆる「部下なしマネジャー」であった時期が長い人材も少なくありません。そこに、昨今の大量採用復活です。若手がわっと増える一方で、育成経験の豊富な中堅が足りないというアンバランスが生じているのです。

マネジャーに「育て方」を教えてあげればよい

ただ、私はこのアンバランスは解消できると思っています。後輩や部下をどう育てればよいのか体験的ノウハウが不足していて悩んでいるマネジャーに、「育て方」を教えてあげればよいのです。

問題は「育てる人を育てる」ための方法論です。私は以下の5つのステップをしっかりと踏むことが重要だと考えています。

  • ステップ1: 「人は育てることができる」「育てることがあなたの責任」という方向へマネジャーの意識を改革する
  • ステップ2: 育成に効果的なスキルを理解する
  • ステップ3: 理解したスキルを職場に戻って実際の若手の部下に対して実践する
  • ステップ4: 反復実践することで変化を感じ自信をつける
  • ステップ5: 若手の育成中長期計画を立てる

いきなりステップ5を始めても決してうまくいきません。特に肝となるのが、ステップ1とステップ3です。

「人は育てることができる」「育てることがあなたの責任」という方向へマネジャーの意識を改革する

すべては、「人の意識・能力は固定ではなく、変化・成長できる」ことを理解することから始まります。ただし、「組織の慣性」というものは非常に強いので、放っておくとすぐに元に戻ってしまいます。組織の慣性モーメントを変えるのは、トップマネジメントのコミットです。「人を育てる組織をつくる」というビジョンと、後戻りさせないという決意を示すことが欠かせません。

理解したスキルを職場に戻って実際の若手の部下に対して実践する

育成スキルは、座学で学んで頭で理解しても、すぐに実践して成果を上げることはできません。うまくいく場合、うまくいかない場合、つまずく人、つまずかない人が出てきます。ステップ3では、マネジャーが定期的に集まり、互いの経験を開示し、互いに学び合う場を作ることが大切です。育成のための知見を「育成知」と呼ぶなら、育成知を個人レベルにとどめるのではなく、集合知のレベルに高めるということです。

育成知を実践レベルにするために

また、マネジャー同士が学び合う場を運営する際に注意すべきポイントが2点あります。

具体的なレベルにまで落とし込む

1つは、できる限り具体的な言葉遣いのレベルにまで落とし込むことです。私がお手伝いしている企業研修で、実際に出てきた事例をご紹介しましょう。

今日は部下の誕生日。部下とのコミュニケーションを増やそうと思っているマネジャーAさん。でも、照れくさくて、

「誕生日おめでとう」

と言えない。そんなマネジャーAさんに、マネジャーBさんがアドバイス。そんな時、自分は、

「今日は誕生日だろ。家族のために早く帰ってやりなさい」

と言っていると。「君のために」ではなく「家族のために」とずらしているので、少し言いやすいというわけです。ちょっとした言葉の選び方で、部下とのコミュニケーションが大きく変わります。

「理論的裏付け」を与える

もう1つは、そこに組織行動学や心理学に通じたファシリテータ―が入り、マネジャーの良い行動に「理論的裏付け」を与えることです。照れくさいこと、今までやったことがないことでも、理論で裏打ちされているのだと納得できれば、やってみようという気になるものです。

育てる人を育てるためのポイントとして、ここでは「トップのコミットメント」「集合知のレベルまで高める」「言葉遣いのレベルにまで落とし込む」「理論的裏付けを与える」の4点をご紹介しました。ご参考になれば幸いです。

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