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無形固定資産ってどういうもの?

投稿日:2016/03/29更新日:2025/05/09

貸借対照表(B/S)の固定資産の中に「無形固定資産」があります。「無形なのに固定資産なの?」「どういう資産が無形固定資産に区分されるの?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

無形固定資産には、特許権、借地権、商標権のような法律上の権利やソフトウエア、営業権などがあります。ざっくり言うと、将来おカネをもたらす経済的価値(=資産)であり、建物や設備とは異なり目に見えないもの、です。以前、「サントリーのJT自販機事業買収で生じた「のれん代」って何?」で取り上げた「のれん」も無形固定資産の1つです。

無形固定資産は、一旦はその取得に費やされた金額でB/Sに計上されます。特許権であれば特許権を取得するため登録等の手続きに係る費用、(自社で利用する目的の)ソフトウエアであれば製作導入するまでに係った費用がB/S計上の対象となります。一旦、取得に要した費用でB/Sに計上された無形固定資産は、建物や設備などの有形固定資産と同様に一定年数(耐用年数)で償却(一般的には定額法)されます(例:特許権は8年、自社利用のソフトウエアは5年)。例えば、100で取得された特許権を5年で償却する場合は、1年あたり20(100÷5年)が償却費として損益計算書(P/L)に計上されます。

また、耐用年数を待たずして使用価値がなくなった場合は、一部を除き減損処理の対象にもなります。例えば、100で取得した耐用年数5年のソフトウエアが2年使用した時点で使用価値がなくなったとすると、帳簿金額60(100-100/5*2年)をP/Lに減損損失として計上します。

ところで、特許権などの知的財産権(無形固定資産)は市場価値でB/Sに計上されているわけではありません。特許取得までに費やされた研究開発費用はすでに発生年度で費用処理されているため、実際に無形固定資産としてB/Sに計上されるのは特許の登録料や印紙代などの事務手数料程度となり、必ずしも無形固定資産の市場評価金額(売却したらいくらか)を反映しないことになります。同様に、ブランド、ノウハウ、人的リソースもその金額的価値はB/Sには表れません。一方で、株価には投資家などによる独自の評価も反映されます。社長が交代すると株価は変動することがありますが、B/Sは一切動きません。その結果、(1株当たり)株価と1株当たり純資産の差異が生じる原因となります。

  • 溝口 聖規

    グロービス経営大学院 教員

    京都大学経済学部経済学科卒業後、公認会計士試験2次試験に合格し、青山監査法人(当時)入所。主として監査部門において公開企業の法定監査をはじめ、株式公開(IPO)支援業務、業務基幹システム導入コンサルティング業務、内部統制構築支援業務(国内/外)等のコンサルティング業務に従事。みすず監査法人(中央青山監査法人(当時))、有限責任監査法人トーマツを経て、溝口公認会計士事務所を開設。現在は、管理会計(月次決算体制、原価計算制度等)、株式公開、内部統制、企業評価等に関するコンサルティング業務を中心に活動している。 (資格) 公認会計士(CPA)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、公認内部監査人(CIA)、地方監査会計技能士(CIPFA)、(元)公認情報システム監査人(CISA)

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