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コンピテンシーとは?成果を生む人材の「行動の秘密」を科学的に解明する手法

投稿日:2025/07/28更新日:2025/08/25タイマーのアイコン 読了時間 6分

コンピテンシーとは、高い成果を生む人材に共通する具体的な行動特性を指し、客観的評価や人材育成に活用される概念です。グロービス経営大学院の教員が執筆した「MBA経営辞書」をもとに解説します。

コンピテンシーとは - 成果につながる行動の「型」を見つける科学

コンピテンシー(competency)とは、高いレベルの業務成果を生み出す、特徴的な行動特性のことです。

「なぜあの人は成果を出せるのだろう?」「優秀な社員に共通する特徴は何だろう?」こうした疑問に科学的にアプローチするのがコンピテンシーです。

心理学者のマクレランドによって生み出されたこの概念は、単なる知識や資格、偏差値ではなく、実際の「行動」に着目します。成果を出す人が「どのような環境で、何を、どのようにやったか」という具体的な行動パターンを分析し、それを体系化したものがコンピテンシーなのです。

なぜコンピテンシーが重要なのか - 人材評価の新しいものさし

現代のビジネス環境では、従来の学歴や資格だけでは測れない能力が求められています。コンピテンシーは、このような時代背景において重要な役割を果たします。

①成果と行動を直結させる画期的な考え方

コンピテンシーの最大の特徴は、成果に直接つながる行動に焦点を当てることです。従来の評価制度では、知識や技術、経験年数などが重視されがちでした。しかし、これらの要素があっても必ずしも高い成果につながるとは限りません。

コンピテンシーは「実際に成果を出している人は何をしているのか」という視点から逆算して評価基準を作ります。これにより、より確実に成果につながる人材の特徴を把握できるのです。

②客観的で公平な評価システムの構築

コンピテンシーは科学的な手法によって作られるため、評価者の主観や偏見に左右されにくい特徴があります。具体的な行動事例に基づいて評価基準が設定されるため、「なぜこの評価なのか」が明確になり、被評価者の納得感も得られやすくなります。

コンピテンシーの詳しい解説 - 成果を生む行動を科学する方法

コンピテンシーがどのように作られ、どのような特徴を持つのかを詳しく見ていきましょう。

①マクレランドが開発した革新的なアプローチ

コンピテンシーの生みの親である心理学者マクレランドは、外交官の採用基準を決定するために独自の手法を開発しました。彼のアプローチは以下の3つのステップから成り立っています。

まず、明らかに高い業績を上げている人をサンプルとして抜き出します。これは従来の「理想的な人材像」ではなく、「実際に成果を出している人」に着目するという画期的な発想でした。

次に、成功と不成功の分かれ目となった出来事において、高業績者がどのようなことを感じ、考え、実行したかという事実を明らかにします。これは行動面接やケーススタディを通じて詳細に分析されます。

最後に、明らかにされた事実から高い業績につながる要因を抽出し、その要因についてスコア化が可能な尺度を作成します。これにより、定性的な「感覚」を定量的な「指標」に変換することができるのです。

②行動特性に焦点を当てた独自性

コンピテンシーの大きな特徴は、あくまでも「行動特性」に焦点を当てることです。知識や思考力、資格や偏差値といった要素は含まれません。なぜなら、これらの要素を持っていても、実際の行動に移せなければ成果につながらないからです。

例えば、営業職のコンピテンシーを設定する場合、「商品知識が豊富である」よりも「顧客のニーズを引き出すための質問を3つ以上用意し、相手の反応を見ながら使い分ける」といった具体的な行動が重視されます。

③組織と職種に応じたカスタマイズの必要性

コンピテンシーは万能な「正解」ではありません。組織の理念や戦略、そして職種によって大きく変わるものです。同じ営業職でも、BtoB営業とBtoC営業では求められる行動特性が異なります。また、革新的な企業と安定志向の企業でも、重視される行動パターンは変わってきます。

そのため、コンピテンシーの設定は、その組織固有の成功パターンを分析し、自社の文化や戦略との整合性を保ちながら行う必要があります。他社の成功事例をそのまま真似するのではなく、自社独自のコンピテンシーを構築することが重要です。

コンピテンシーを実務で活かす方法 - 人材マネジメントの新たな武器

コンピテンシーは理論だけでなく、実際のビジネスシーンで幅広く活用されています。その具体的な活用場面と実践のポイントを見ていきましょう。

①採用・選考における活用で最適な人材を見極める

コンピテンシーは採用活動において強力なツールとなります。従来の面接では、志望動機や将来の目標といった抽象的な質問が多く使われがちでした。しかし、コンピテンシーベースの面接では、過去の具体的な行動事例に基づいて質問します。

「困難な状況でどのように対処したか」「チームワークを発揮した具体的な場面」など、実際の行動に焦点を当てた質問により、候補者が入社後に成果を出せる可能性をより正確に予測できます。また、複数の面接官が同じコンピテンシー項目で評価することで、評価のバラツキを抑制し、より客観的な選考が可能になります。

コンピテンシーの設定プロセスでは、社外のコンサルタントやアセスメント・センター(人材評価を専門的に行う機関)を活用するケースも多く見られます。これは先入観を排除し、客観性を確保するためです。

②人事評価制度の軸として能力と成果を両立

コンピテンシーは人事評価システムにおける座標軸として機能します。これまでの評価制度では、能力主義と成果主義のバランスが課題でした。能力だけを評価すると成果につながらない可能性があり、成果だけを評価すると短期的な視点に偏りがちになります。

コンピテンシーは、この課題を解決する「第三の道」として注目されています。成果につながる行動特性を評価することで、能力主義と成果主義・実績主義を両立させることができるのです。これは投資型評価(将来への期待)と報酬型評価(過去の実績)を統合した評価システムと呼ぶことができます。

人材育成の面でも、コンピテンシーは大きな効果を発揮します。成果を出すための具体的な行動パターンが明確になることで、社員は何をどのように改善すればよいかを理解しやすくなります。また、管理職も部下の指導において、より具体的で実践的なアドバイスを提供できるようになります。

参考ページ

MBA経営辞書「コンピテンシー」

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