コンピテンシー(competency)
高いレベルの業務成果を生み出す、特徴的な行動特性。そもそもは心理学者のマクレランドが生み出した概念である。彼は外交官の採用基準を決定するために、以下の3つのアプローチを用いた。
(1)明白に高い業績を上げている人をサンプルとして抜き出す
(2)成功と不成功の分かれ目となった出来事において、高業績者がどのようなことを感じ、考え、実行したかという事実を明らかにする
(3)明らかにされた事実から高い業績につながる要因を抽出し、その要因についてスコア化が可能な尺度を作成する
コンピテンシーはあくまでも成果につながる行動特性であり、単なる知識、思考力、資格や偏差値は含まれない。当然、職種によっても変わるものであり、組織ごとに自らの理念や戦略との整合性の中で設定すべきものである。
コンピテンシーの設定は、高い成果を安定的・継続的に上げている社員の特徴的な行動特性(どのような環境で、何を、どのようにやったか)を具体的に取り上げて分析し、それを積み上げていく中で行われる。通常、具体的な人物、そしてその成果を定義し、そこへ至る行動を掘り下げて聞くことによって作成される。先入観を排除し、客観性を確保するために、社外のコンサルタントやアセスメント・センター(人材評価を専門的に行う機関)を活用するケースも多い。
設定されたコンピテンシーは、その組織あるいは職種にとっての評価システムにおける座標軸となる。コンピテンシーは、能力主義と成果主義・実績主義を両立させたものだと考えることも可能であり、その意味で、投資型と報酬型とを統合した評価システムと呼ぶことができよう。