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「人・組織能力開発」のフレームワークから考える、戦略と整合させるべき4つのポイント

投稿日:2024/01/17

社会動向やテクノロジーの影響によって、経営環境が激しく変動しており、企業には迅速な変革が求められている現在。グロービス マネジング ディレクターである板倉 義彦が「組織能力」という観点から変革推進で押さえるべき論点や人・組織能力開発のフレームワークなどを、事例とともに解説します。

最終回のテーマは、「経営改革」「事業変革」につながる「人・組織」の能力開発です。

前回はこちら

「7S」「コングルエンスモデル」の共通点

組織変革のフレームワークの代表的なものにマッキンゼーが提唱する「7S(セブンエス)」や書籍『両利きの経営』でも紹介されている「コングルエンスモデル」があります。それらをオリジナルに改良し、「人・組織能力開発」の論点を示すのが、このフレームワークです。

筆者作成

この「人・組織能力開発」のフレームワークでは、「パーパス」「戦略」、そして、その戦略を実現するための「成功の鍵」を特定して仕組みや制度に落とし込み、それを実現する「組織」と「人材」を見極め、それらを支える「組織カルチャー」を整えていきます。ちなみに、「パーパス」という言葉には明確な定義はないため、ここではミッション、ビジョン、バリューを含む広い意味で使っています。

人・組織能力組織開発のステップ

まずは『パーパス』がしっかりと戦略に落とし込まれているのか。次に『成功の鍵』『組織』『人材』は戦略と整合するものになっているか。それらを支える『組織カルチャー』は適切なものになっているか。これらを押さえていきながら、「足りないもの」もしくは「具体化できてないパーツ」を特定し、『経営変革』『事業変革』の時に、「今、取り組むべきアジェンダは何だろうか」ということを、経営レベルや事業レベルで考えていきます。

例えば、よくある経営と現場とのギャップとして、「全社員にパーパスを発信してはいるが、現場のやっていることが変わらない」という問題があります。
ここでポイントになるのは、「パーパス」はトップから発信されているものの、「戦略」や「成功のカギ」まで落とし込まれていないことです。そのため「現場でやることが変わらない」という状況になってしまっているのです。

こういった場合にまず着手するべきは、「パーパス」を踏まえた当面の「戦略」や「成功のカギ」に関する議論を、具体的に行っていく作業になります。これがなければ前に進みません。

カインズ池照さん の事例を「人・組織能力開発」のフレームワークで紐解く

もう少し具体的に「人・組織能力開発」のフレームワークを理解するために、カインズのDX変革を成功させた同社 執行役員CDO兼CIO兼デジタル戦略本部長の池照直樹さんの取り組みを、このフレームワークで整理してみましょう。

詳細はこちら|リテールでゼロからDXを成功させた舞台裏――カインズのデジタル戦略責任者に聞く Vol.1

池照さんは、カインズのDX変革をゼロから推進していった中心人物です。

DXに着手しようと考えたとき、多くの企業にとっては「DX推進室を創設して、DX人材を大量採用する」というのが、従来のやり方ですが、それではDXが進まないことが多いのが実情です。では、池照さんはどのようにDX改革を進めたのでしょうか。

パーパス・組織風土を活かしたDX戦略

カインズで進められたDXは、同社の「パーパス」である「IT小売業宣言」をそのまま受け入れ、「組織風土」である、売上・利益の成長を目指す自社の文化も「是」として理解し、それを活かすことで、DXの浸透を目指すという手法です。

まず着手したのは、「戦略」の策定です。そして更に重要なのは、戦略を実行するための「成功のカギ」の具体化と浸透です。「戦略」とは「足し算の商売から掛け算の商売」であり、「成功のカギ」を「成長戦略チャート」というコンセプトにして示し、エンジニアと現場をつなげる専任人材を現場から引き抜き、配置したことです。そこから、専任「人材」を育成して、エンジニアと現場が一体となれる「組織」をつくっていきました。

多くの企業は「組織構造」や「組織風土改革」から手を付けてしまいがちですが、池照さんは、自社の現状を冷静に見極めたうえで「パーパス」と「組織風土」は触らずにそのまま生かし、「戦略」「成功のカギ」を固めて、その上で「人材」「組織」へと広げていきました。

カインズ池照さんの記事を、「人・組織能力開発」のフレームワークのポイントと、着手した順序を意識しながら読み進めていただければ、「人・組織能力開発」の進め方をよりご理解いただけると思います。

企業変革を促す人・組織能力開発をどう実践するか考えてきました。文中でご紹介した事例、またそこから得られた「ギャップの理解」、経営変革・事業変革・リーダー変革の3つのステップ、戦略と整合させるべき「パーパス」「成功の鍵」「組織」「人材」という4つのポイント、という観点が、皆さんの企業変革に役立てば幸いです。

  • 板倉 義彦

    株式会社グロービス マネジング・ディレクター

    アグリビジネスの大手企業で商品企画、および生産企画での経験を積んだ後、IT業界に転じて製造業向けソフトウェアの営業・導入コンサルティング、および不採算営業部門の組織改革にリーダーとして携わる。
    その後、グロービスのコーポレート・エデュケーション部門にて、自動車業界を中心に様々な業種・業界のクライアントに対して、人・組織能力開発のコンサルティング活動に従事。
    中部エリアの法人事業統括、新サービス開発、部門の経営企画を歴任し、現在は、マネジング・ディレクターとして人・組織能力開発のコンサルティング部門の経営を担う。
    経営戦略ファカルティ・グループ所属。
    国立東京農工大学 農学部卒業、豪州 ボンド大学経営大学院修了(MBA)、英国 ロンドン・ビジネススクール SEP(Senior Executive Program)修了

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