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複線型人事制度とは?多様な働き方を実現する現代的な人事戦略の全て

投稿日:2025/07/28更新日:2025/08/25タイマーのアイコン 読了時間 6分

複線型人事制度とは、管理職以外にも専門職や地域限定職など複数のキャリアパスを用意する制度です。グロービス経営大学院の教員が執筆した「MBA経営辞書」をもとに解説します。

複線型人事制度とは - 一つの道だけではない新しいキャリアの形

複線型人事制度とは、従業員が自分の専門性や働き方に応じて、複数のキャリアパスの中から選択できる人事制度のことです。

従来の「管理職になることだけが昇進」という考え方から脱却し、専門的な技術や知識を深める道、地域限定で働く道、プロジェクト中心で活躍する道など、さまざまな選択肢を用意しています。これにより、組織は多様な人材を効果的に活用し、従業員は自分らしいキャリアを築くことができるようになります。

この制度の対義語となるのが「単線型人事制度」です。単線型では、ライン管理者として上位のポジションに上がっていくことだけがキャリアアップの道として設定されています。しかし複線型では、管理職以外にも専門職、地域限定職、プロジェクト職など、複数の道筋が用意されているのが特徴です。

なぜ複線型人事制度が重要なのか - 変化する時代に対応する組織づくり

現代の企業が複線型人事制度を導入する背景には、働く人々の価値観の変化と企業を取り巻く環境の変化があります。

従来のように、すべての従業員が同じような道筋でキャリアを積んでいく時代は終わりを告げています。人々の働き方に対する考え方が多様化し、単純に役職や給与の向上だけを求めるのではなく、専門性を深めたい、家庭との両立を重視したい、地元で働き続けたいといった、さまざまな価値観を持つ人が増えています。

また、新卒一括採用で入社した従業員を、学歴と入社年次だけをベースに画一的に管理・運用することが困難になってきました。グローバル化や技術革新のスピードが加速する中で、企業には多様な専門性を持つ人材が必要となっており、一律的な人事制度では対応しきれなくなっているのです。

①従業員満足度の向上につながる理由

複線型人事制度は、従業員一人ひとりの価値観や人生設計に合わせたキャリア選択を可能にします。管理職になりたくない人、専門性を追求したい人、家庭を重視したい人など、さまざまなニーズに応えることで、組織全体の満足度とモチベーションを向上させることができます。

②企業の競争力強化につながる理由

多様な専門性を持つ人材を適切に配置・活用することで、企業はイノベーションの創出や新たな価値提供が可能になります。特に技術革新が求められる分野では、深い専門知識を持つ人材の存在が競争優位の源泉となります。

複線型人事制度の詳しい解説 - 多彩なキャリアパスの仕組み

複線型人事制度の中核を成すのが「専門職制度」です。これは従業員のキャリアパスとして、ライン管理職のポスト以外にも昇進の道を確立し、高度な専門能力を持った人材の育成と活用を図る制度です。

この制度が生まれた背景には、個人の労働観の多様化に加えて、経営側からの要請と人事処遇面からの要請があります。低成長時代に入り市場が成熟化すると、企業には技術革新、新製品の開発、新規事業の創出が求められるようになりました。これらの課題に対応し、新たな価値を生み出すことのできる専門人材の育成が急務となったのです。

①専門職制度の特徴と仕組み

専門職制度では、技術系、営業系、企画系など、それぞれの分野で高い専門性を発揮する人材に対して、管理職と同等またはそれ以上の処遇を用意します。研究開発、マーケティング、財務、法務といった分野で、深い知識と経験を積んだスペシャリストが、管理業務に従事することなく、専門性を活かして組織に貢献できる仕組みです。

昇進の基準も管理職とは異なり、専門知識の深さ、問題解決能力、創造性、外部への影響力などが重視されます。また、専門職から管理職への転換、その逆の転換も可能とする柔軟性を持たせることが多いです。

②地域限定職制度の活用

複線型人事制度のもう一つの重要な要素が、地域限定職制度です。これは転勤を前提としない働き方を選択できる制度で、家庭の事情や個人の価値観により地域を限定して働きたい従業員のニーズに応えます。

地域限定職では、その地域の市場や顧客に精通した専門性を発揮することが期待されます。地域の特性を活かしたサービス開発や、地域密着型の営業活動など、その土地ならではの価値創造を担います。

③プロジェクト型キャリアパスの展開

近年注目されているのが、プロジェクト型のキャリアパスです。特定のプロジェクトに参画し、そこでリーダーシップを発揮したり専門性を提供したりする働き方です。プロジェクトが完了すると次のプロジェクトに移るという流動的なキャリア形成が特徴で、変化の激しいビジネス環境に適応しやすい仕組みです。

複線型人事制度を実務で活かす方法 - 成功する導入と運用のポイント

複線型人事制度を実際の組織運営に活かすためには、制度設計から運用まで、段階的かつ戦略的なアプローチが必要です。

まず重要なのは、組織の戦略目標と人材ポートフォリオを明確にすることです。どのような専門性が必要で、どの程度の人材をどのキャリアパスに配置するのか、全体的な設計図を描く必要があります。また、従業員の意識調査を実施し、どのような働き方やキャリアパスを求めているのかを把握することも欠かせません。

制度導入後は、定期的な見直しと改善を継続する必要があります。ビジネス環境の変化や従業員のニーズの変化に応じて、制度を柔軟に調整していくことが成功の鍵となります。

①効果的な制度設計のポイント

複線型人事制度を成功させるには、まず明確な評価基準と処遇体系を構築することが重要です。専門職には専門職なりの、地域限定職には地域限定職なりの評価軸を設定し、それぞれのキャリアパスで公平性を保つ必要があります。

また、キャリアパス間の移動を可能にする仕組みづくりも大切です。従業員のライフステージや関心の変化に応じて、柔軟にキャリアを変更できる制度にすることで、長期的な人材活用が可能になります。

②運用における注意点と改善策

制度運用では、管理者の理解促進が重要な課題となります。従来の単線型人事制度に慣れた管理者にとって、多様なキャリアパスを持つ部下をマネジメントすることは新たな挑戦です。研修やガイドラインの整備を通じて、多様性を活かすマネジメントスキルの向上を図る必要があります。

さらに、従業員に対するキャリア支援の充実も欠かせません。定期的なキャリア面談、専門性向上のための研修機会の提供、社内外のネットワーキング支援などを通じて、従業員が自分らしいキャリアを描けるようサポートすることが重要です。

参考ページ

MBA経営辞書「複線型人事制度」

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