タカタも?100%減資ってどういう意味? 

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自動車のエアバックで有名なタカタが、民事再生法の適用を申請しました。前期末時点で純資産比率が7%まで低下した同社ですが、今後のリコール関連費用の増加によっては100%減資を行うのではないかと報道されています。JALやスカイマークエアラインの事例にもあるように、経営再建の過程では100%減資が手続き上用いられることがあります。今回はこの100%減資について説明します。

減資とは会社の資本金を減少させることです。会社法においては「資本金の額の減少」とされます。減資は、大きく分けると2種類あります。

実質上の原資:株主に会社財産の払い戻しを行うため、会社財産が減少する
名義上の減資:計算上資本金額を減少させるため、会社財産は原則として減少しない

実質上の減資は資金的に余裕がある会社が行います。名義上の減資は、通常は過去からの累積損失を抱える会社が経営再建の過程で行う手続きであり、タカタのケースも該当します。名義上の減資と言ってもピンとこない人も多いと思いますので、簡単な例を見てみましょう。

例えば、資本金1,000、累積損失500の会社があるとします(※)。配当原資を確保するため資本金の50%を減資して累積損失を解消すると、累積損失は0、資本金500となります。要するに、資本金の一部と累積損失を相殺したわけです。注目すべきは、株主資本合計は500のまま変化しないということです。株主の持ち分は資本金だけでなく株主資本合計で測られますので、名義上の減資をしても株主の実質的な持ち分は原則的に変化しないのです。

「原則的に」としたのは、減資により保有株式数が減少することで株主優待が減少する、その後の増資によって株価が下落する等といった損失が考えられるためです。増資では時価で新株を発行するので、上の例では1株500で増資されます。当初の株主は1,000で出資したのですが、新しい株主は半額で出資し、かつ会社に対する支配力も新株主と折半(1株ずつ)となります。経営再建では、債権者や取引先に債権の一部または全部の回収を断念してもらいますが、同様に株主も会社の業績悪化の責任として経済的損失を被ることになります。

名義上の減資の場合、資本金をどれだけ減少するかに関わらず原則的に株主の持ち分は変化しないのですが、100%減資だけは事情が異なります。100%減資では、単に計算上の資本金と累積損失を相殺するのではなく、他の手続と併せて株主としての地位を消滅させます。1株でも保有していれば、経営再建により将来優良会社となり配当などの利益を得る機会も残りますが、株主の地位を失えばそのチャンスはありません。つまり、100%減資は業績悪化の責任を取って旧株主には引責辞任してもらって、新たな株主をスポンサーとして経営再建を図ることが目的と言えます。経営再建における株主の究極の責任の取り方と言えるかもしれません。

なお、100%減資は上場廃止基準に当たりますので、その後上場廃止となります。

※説明の簡略化のため、資本剰余金は割愛します

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