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「どこのマス目に入るか」が大事なマトリクスとは

投稿日:2025/04/28

今年3月発売の『マトリクス思考』から「1章 マトリクス思考の基本」の一部を紹介します。

前回はマトリクスのタイプとしてポジショニング型を紹介しましたが、それと並んでよく用いられているのがセル型(分類型)です。基本的に2×2の4象限に分けて、ある要素がどのセル(マス目、象限)にプロットされるかを見ていくのです。PPMのようにこの型とポジショニング型の両方の要素を併せ持つケースもあります。

このタイプは、プロット結果の意味することが明確なため、新しい発見や示唆の導出をしやすいタイプでもあります。ポジショニング型同様、汎用性も高いため、オリジナルのマトリクス作成の場面でも大いに役に立ちます。これも使いこなせるようにしたい型です。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、東洋経済新報社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)


セル型(分類型)は、2軸の組み合わせでセル(象限)が形成されています。相対的な位置関係よりも、各要素がそもそもどのセルに入るかということを重視します。抜け漏れのない整理・分析ができますし、新しい発見ができることもあります。選んだ2軸が「程度」や「数値の大小」で表せるものではなく、「ある/ない」「内部/外部」、あるいは「自分/相手」のように明確に切り分けることができる場合、ポジショニング型よりもセル型の方がフィットしやすくなります。

セル型(分類型)タイプの代表的なマトリクスとしては、「SWOT分析」のマトリクスや、「ジョハリの窓」が該当します。ジョハリの窓では、縱軸に「他人が知っている/他人が知らない」、横軸に「自分が知っている/自分が知らない」を置きます。各象限には以下のような名前がついています。

  • 「他人が知っている」×「自分が知っている」=開放の窓
  • 「他人が知っている」×「自分が知らない」=盲点の窓
  • 「他人が知らない」×「自分が知っている」=秘密の窓
  • 「他人が知らない」×「自分が知らない」=未知の窓

ジョハリの窓は、最もオーソドックスなやり方では、複数人が集まり、以下の19項目について、自己評価と他者評価をし、それぞれプロットしてその差異を見ていきます。

(1)頭が良い、(2)発想力がある、(3)段取り力がある、(4)向上心がある、(5)行動力がある、(6)表現が豊か、(7)話し上手、(8)聞き上手、(9)親切、(10)リーダー資質がある、(11)空気が読める、(12)情報通、(13)根性がある、(14)責任感がある、(15)プライドが高い、(16)自信家、(17)頑固、(18)真面目、(19)慎重 

必要に応じて適宜新しい項目を追加して構いません。たとえば「新しいテクノロジーをすぐに取り入れる」や「社会的課題に対する意識が強い」などです。記述式で行うこともあります。

ジョハリの窓では、「秘密の窓」に入る要素が多いということは他者に自己開示ができていないことを示唆するため、ここに入る要素は少ない方がいいとされます。「盲点の窓」に入る要素が多いということは自分を客観的に見ることができていないということなので、自分を見つめ直す力を高めることが求められます。「未知の窓」に入る要素に気付くのは難しいですが、何かのきっかけでそれに気付くことができれば、新たな自己成長の可能性やキャリアアップの可能性を高めることにもつながります。なお、ジョハリの窓は、信頼感やチームの結束力を高めることにも寄与するとされています。 

このタイプの他の著名マトリクスとしては、事業のタイプを見るアドバンテージ・マトリクスなどがあります。アドバンテージ・マトリクスは、縦軸に「競争上の戦略変数の数」、横軸に「競争優位性構築の可能性」をとります。両軸とも程度を示すものであり、ジョハリの窓の軸のようにクリアに切り分けられるタイプのものではありません。ただ、慣れれば感覚はつかめるため、セル型(分類型)のタイプのマトリクスに含めていいでしょう。


マトリクス思考: 2軸で切る、視える、決める
著:グロービス経営大学院 監修:嶋田 毅 発行日:2025/3/19 価格:1,980円 発行元:東洋経済新報社

グロービス出版
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