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ご祝儀相場とは?初競りで話題のビジネス戦略と会計処理の裏側

投稿日:2025/10/15更新日:2025/11/13タイマーのアイコン 読了時間 5分

ご祝儀相場とは、縁起を担ぎ通常より高値で取引される特別な取引で、広告効果を狙った戦略的な商習慣と言えます。グロービス経営大学院の教員が執筆した記事をもとに解説します。

ご祝儀相場とは

ご祝儀相場とは、お祝いや縁起を担いで、通常の市場価格よりも大幅に高い価格で取引される現象のことです。特に、豊洲市場の新年初競りで話題になることが多く、一番マグロが通常価格の何十倍もの価格で落札されるニュースを見たことがある人も多いでしょう。

この言葉は、日本の伝統的な商慣習から生まれており、「ご祝儀」という縁起物への感謝の気持ちと、「相場」という市場価格を組み合わせた表現です。単純な需要と供給のバランスによる価格形成ではなく、購入者の戦略的な目的や象徴的な意味合いが強く反映された特殊な取引といえます。

近年では、すしざんまいを運営するつきじ喜代村が一番マグロを落札することで有名になり、その価格は時に億単位に達することもあります。

なぜご祝儀相場が重要なのか - 現代ビジネスにおける戦略的価値

①絶大な広告宣伝効果を生み出す力

ご祝儀相場による高額落札は、メディアの注目を一手に集める強力な広告宣伝手法として機能します。テレビ、新聞、インターネットなど、あらゆるメディアが報じることで、企業名や商品が全国に知れ渡ります。

特に地域密着型の企業にとって、全国的な知名度向上は通常の広告活動では達成困難な目標です。すしざんまいの例では、関東圏中心の約60店舗のチェーン店が、一晩で全国的な知名度を獲得できるのです。

②費用対効果の高いマーケティング投資

一見すると億単位の支出は巨額に思えますが、広告宣伝費として考えると非常に効率的です。全国放送のテレビCMを1年間継続するには、制作費や放映料を含めて数億円が必要になることも珍しくありません。

それに対して、ご祝儀相場による一回の投資で得られる露出効果は、年間の広告予算に匹敵するほどの価値があると考えられています。

ご祝儀相場の詳しい解説 - ビジネス戦略としての側面

①通常価格との圧倒的な価格差

ご祝儀相場の特徴は、通常価格との圧倒的な差額にあります。水産庁のデータによると、本マグロの通常価格は1キロあたり約1万円程度ですが、初競りでは1キロあたり70万円で落札されることもあります。これは通常価格の70倍という驚異的な金額です。

この価格差は、商品そのものの価値ではなく、「初競り一番マグロ」という象徴的な価値と、それに伴う広告宣伝効果への投資として理解する必要があります。

②戦略的なタイミングの重要性

ご祝儀相場が最も効果的に機能するのは、メディアが注目するタイミングです。新年の初競りは、多くの報道機関が取材に訪れ、新年最初のビジネスニュースとして大きく扱われます。

このタイミングを逃さず投資することで、企業は最小の投資で最大の効果を得ることができるのです。年間を通じて同じ金額を広告宣伝費に使ったとしても、これほどの注目度は得られないでしょう。

③企業ブランディングへの貢献

ご祝儀相場による落札は、企業の品質へのこだわりや経営力の強さをアピールする効果もあります。「最高品質のマグロに惜しみなく投資する企業」というイメージは、顧客の信頼獲得にも大きく貢献します。

ご祝儀相場を実務で活かす方法 - 会計処理と経営戦略

①会計処理の現状と課題

現在の会計ルールでは、ご祝儀相場による高額な購入についても、通常の仕入として処理されることが一般的です。つまり、1億9千万円でマグロを購入した場合、すべてが「原材料仕入」として計上されます。

しかし、この処理方法では企業活動の実態を適切に反映できているとは言い難いのが現状です。明らかに広告宣伝目的の支出であるにも関わらず、仕入として処理することで、売上総利益が大幅に悪化してしまいます。

実際に、すしざんまいでは原価1貫あたり約2万円のマグロを、通常価格の大トロ398円、中トロ298円、赤身198円で提供しており、会計上は大幅な赤字として計上されることになります。

②将来の会計処理改善の可能性

企業活動を適切に数字に反映するという会計の本来の目的を考えると、目的に応じた区分処理が望ましいと考えられます。具体的には、通常価格部分は「原材料仕入」として処理し、超過部分は「広告宣伝費」として区分する方法です。

このような処理方法が採用されれば、企業の財務状況がより正確に把握でき、投資家や関係者にとっても理解しやすい財務諸表となるでしょう。現在は明確なルールがありませんが、今後の会計基準の発展により、こうした区分処理が認められる時代が来るかもしれません。

③中小企業への応用可能性

ご祝儀相場の概念は、中小企業のマーケティング戦略にも応用できます。地域のイベントや業界の記念行事で話題性のある投資を行うことで、限られた予算で大きな広告宣伝効果を得ることが可能です。

重要なのは、タイミングとストーリー性です。メディアが注目しやすい時期や場面を狙い、企業の価値観やこだわりを表現できる投資を行うことで、ご祝儀相場と同様の効果を期待できるでしょう。

参考ページ

ご祝儀相場は広告宣伝費として会計処理するの?

  • GLOBIS学び放題×知見録

    編集部

    ビジネスパーソンの役に立つコンテンツをお届けすべく、取材、インタビュー、撮影、編集などを日々行っています。

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