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利益剰余金とは?会社が蓄えた「お金の力」を理解して経営判断に活かそう

投稿日:2025/10/06更新日:2025/11/13タイマーのアイコン 読了時間 5分

利益剰余金とは、会社がこれまでに稼いだ利益のうち、配当などで分配せず内部に留保した累積額を指します。グロービス経営大学院の教員が執筆した記事をもとに解説します。

利益剰余金とは

利益剰余金とは、会社が設立から現在まで稼いだ利益の累積額を表す会計項目です。 貸借対照表の純資産の部に記載され、株主資本の重要な構成要素の一つとなっています。

簡単に言うと、会社がこれまでの事業活動で生み出した利益のうち、配当などで株主に還元せずに 会社内部に留保している金額の合計です。 この利益剰余金は、将来の事業投資や不測の事態への備えとして活用される、 会社の「お金の力」を示す重要な指標と言えるでしょう。

利益剰余金が多いということは、会社が安定して利益を出し続け、 その利益を有効活用できる財務基盤を持っていることを意味します。

なぜ利益剰余金が重要なのか - 経営の安定性と成長性を支える柱

利益剰余金は、単なる会計上の数字ではなく、会社の経営戦略や将来性を判断する上で 極めて重要な意味を持っています。

①財務の安定性を示すバロメーター

利益剰余金の蓄積は、会社の財務体質の健全性を表しています。 景気の変動や予期せぬ損失が発生した場合でも、利益剰余金が十分にあれば 会社は事業を継続することができます。

特に、借入金に頼らずに自己資本で事業を運営できる企業は、 金利負担がなく、経営の自由度も高くなります。 投資家や金融機関からも信頼される要因となるでしょう。

②成長投資の原資として機能

利益剰余金は、新しい事業への投資や設備の拡充、研究開発費など、 会社の成長に必要な資金の源泉となります。

外部からの資金調達に頼らずに成長投資を行えることで、 迅速な意思決定が可能になり、競合他社よりも早く市場の機会を掴むことができます。 これは、変化の激しい現代のビジネス環境において非常に重要な競争優位性となります。

利益剰余金の詳しい解説 - 仕組みと特徴を理解しよう

利益剰余金の本質を理解するためには、その構造や他の財務指標との関係性を 詳しく見ていく必要があります。

①当期純利益との密接な関係性

利益剰余金と当期純利益は、「ストック」と「フロー」の関係にあります。 当期純利益は1年間で稼いだ利益(フロー)であり、 利益剰余金はこれまでの累積利益(ストック)を表しています。

具体的には、前期末の利益剰余金に当期純利益を加算し、 配当金などの処分額を差し引いた金額が当期末の利益剰余金となります。 この関係性を「クリーンサープラス関係」と呼びます。

例えば、100万円の元手でビジネスを始めて初年度に20万円の利益を得た場合、 手元には120万円が残ります。この20万円がフロー(当期純利益)、 120万円がストック(利益剰余金を含む純資産)に相当します。

②利益剰余金の内訳と種類

利益剰余金は、さらに細かく分類されます。 主な内訳には「利益準備金」「任意積立金」「繰越利益剰余金」があります。

利益準備金は法律で積み立てが義務付けられている部分で、 資本金の4分の1に達するまで、配当額の10分の1を積み立てる必要があります。 任意積立金は会社が任意で設定する積立金で、将来の特定目的のために確保される資金です。 繰越利益剰余金は、上記以外の利益の蓄積を表します。

③財務諸表での表示と読み取り方

利益剰余金は貸借対照表の純資産の部に記載されます。 この金額を見ることで、会社がどの程度の利益を内部留保しているかが分かります。

ただし、利益剰余金が多いからといって、必ずしも現金が手元にあるわけではありません。 利益は設備投資や在庫などの様々な資産に形を変えている可能性があるため、 現金預金の残高と合わせて確認することが重要です。

利益剰余金を実務で活かす方法 - 経営判断と投資判断への応用

利益剰余金の理解は、経営者にとっても投資家にとっても重要な判断材料となります。 実際のビジネス場面でどのように活用できるかを見ていきましょう。

①経営戦略立案での活用方法

経営者は利益剰余金の状況を把握することで、適切な資本配分戦略を立てることができます。 十分な利益剰余金がある場合は、積極的な成長投資や新規事業への参入を検討できます。

一方、利益剰余金が少ない場合は、まず収益性の改善に集中し、 安定した利益創出体制を構築することが優先されるでしょう。

また、利益剰余金の水準は配当政策にも影響します。 株主還元と内部留保のバランスを取りながら、最適な利益配分を決定する必要があります。 成長段階にある企業は内部留保を重視し、成熟企業は配当による株主還元を重視する傾向があります。

②投資判断における重要な指標

投資家にとって利益剰余金は、投資先企業の財務健全性と成長潜在力を評価する重要な指標です。

利益剰余金が継続的に増加している企業は、安定した利益創出能力を持つと判断できます。 逆に、利益剰余金が減少傾向にある企業は、業績悪化や過度な配当政策の可能性があり、 注意深い分析が必要です。

また、同業他社との比較において利益剰余金比率(利益剰余金÷総資産)を見ることで、 その企業の財務体質の相対的な強さを評価することができます。 この比率が高い企業ほど、自己資本による安定した事業運営が可能と考えられます。

参考ページ

当期純利益と利益剰余金はどんな関係があるの?

  • GLOBIS学び放題×知見録

    編集部

    ビジネスパーソンの役に立つコンテンツをお届けすべく、取材、インタビュー、撮影、編集などを日々行っています。

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