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売上総利益とは?経営判断に欠かせない基本利益の読み解き方

投稿日:2025/09/05更新日:2025/11/07タイマーのアイコン 読了時間 5分

売上総利益とは、売上高から売上原価を差し引いた「粗利益」のことです。グロービス経営大学院の教員が執筆した記事をもとに解説します。

売上総利益とは

売上総利益とは、売上高から売上原価を差し引いた利益のことです。「粗利益」とも呼ばれ、企業がどれだけ効率的に商品やサービスを販売できているかを示す重要な指標となります。

計算式は非常にシンプルで、「売上総利益 = 売上高 - 売上原価」で求められます。例えば、商品を100万円で販売し、その商品の仕入れ原価が60万円だった場合、売上総利益は40万円となります。この40万円が、企業の基本的な稼ぐ力を表しているのです。

売上総利益は損益計算書の上部に位置する利益項目で、企業の収益構造を理解する上で最初に確認すべき数値です。この数値が高いほど、企業は商品やサービスに付加価値を付けて販売できていることを意味します。

なぜ売上総利益が重要なのか - 経営の基盤を支える核心指標

売上総利益は、企業経営において極めて重要な意味を持っています。この指標を理解することで、企業の競争力や将来性を正しく判断できるようになります。

①事業の基礎体力を測る物差し

売上総利益は、企業が持つ基本的な収益力を表します。どれだけ売上が多くても、売上総利益が少なければ、その後の経費を賄うことができません。例えば、人件費や家賃、広告費などの販管費は、すべて売上総利益から支払われます。つまり、売上総利益は企業活動を支える土台となる利益なのです。

この指標が安定していることで、企業は長期的な成長投資や新規事業への展開が可能になります。逆に売上総利益が不安定だと、企業運営そのものが困難になってしまいます。

②競合他社との比較が可能になる

売上総利益率(売上総利益÷売上高×100)を見ることで、同じ業界の企業同士を客観的に比較できます。例えば、小売業界であれば、どの企業がより効率的な仕入れや販売を行っているかが分かります。

高い売上総利益率を維持している企業は、独自の技術力やブランド力、効率的な調達システムなどの競争優位性を持っている可能性が高いといえるでしょう。

売上総利益の詳しい解説 - 限界利益との違いと業種別の特徴

売上総利益をより深く理解するためには、似た概念である限界利益との違いや、業種による特徴の違いを知ることが大切です。

①売上総利益と限界利益の根本的な違い

売上総利益と限界利益は、どちらも重要な利益指標ですが、その性質は大きく異なります。売上総利益は「売上高-売上原価」で計算される財務会計上の利益概念です。一方、限界利益は「売上高-変動費」で計算される管理会計上の利益概念です。

この違いは、費用の分類方法にあります。売上原価は、商品の製造や仕入れに直接関わる費用を指し、変動費は売上の増減に比例して変動する費用を指します。例えば、製造業では労務費や設備の減価償却費なども売上原価に含まれますが、これらは必ずしも変動費とは限りません。

つまり、売上総利益は「企業が実際に稼いだ利益」を表し、限界利益は「追加で販売した際に得られる利益」を表しているのです。

②業種による売上総利益の性質の違い

業種によって、売上総利益の性質は大きく変わります。小売業や商社のように、外部から商品を仕入れて販売する業種では、売上原価は主に商品の仕入原価となります。この場合、売上原価は売上高に比例して発生するため、売上総利益と限界利益がほぼ同じ値になることがあります。

一方、製造業では原材料費だけでなく、工場の人件費や設備費、光熱費なども売上原価に含まれます。これらの費用には固定費も多く含まれるため、売上総利益と限界利益は異なる値になることが一般的です。

③売上総利益率から見える企業の戦略

売上総利益率の水準からは、企業の採用している戦略が見えてきます。高い売上総利益率を維持している企業は、差別化戦略を採用している可能性が高く、独自性の高い商品やサービスを提供していることが多いです。

逆に、売上総利益率が低い企業は、コストリーダーシップ戦略を採用し、大量販売による薄利多売を目指していることが考えられます。どちらが良い悪いではなく、それぞれの戦略に応じた適切な水準があるのです。

売上総利益を実務で活かす方法 - 経営改善と意思決定への応用

売上総利益の概念を理解することで、実際のビジネスシーンでより的確な判断ができるようになります。

①商品別・事業別の収益性分析

売上総利益を商品別や事業別に分析することで、どの商品や事業が最も収益に貢献しているかが明確になります。例えば、A商品の売上総利益率が40%、B商品が20%だった場合、A商品により多くの経営資源を投入することが合理的な判断となります。

また、売上総利益の絶対額と利益率の両方を見ることが重要です。利益率が低くても絶対額が大きい商品は、企業の安定経営に欠かせない商品かもしれません。このように、多角的な分析を行うことで、より良い経営判断が可能になります。

②価格戦略と仕入戦略への活用

売上総利益の動向を定期的に分析することで、価格戦略や仕入戦略の見直しタイミングを判断できます。売上総利益率が低下してきた場合、販売価格の見直しや、より有利な仕入先の開拓などの対策を検討する必要があります。

また、競合他社の売上総利益率と比較することで、自社の価格競争力や調達力の水準を客観的に評価できます。業界平均よりも大幅に低い場合は、何らかの改善策を講じる必要があるでしょう。

逆に業界平均よりも高い場合は、その優位性を維持・拡大するための戦略を考えることが重要です。

参考ページ

売上総利益と限界利益は同じじゃない?

  • GLOBIS学び放題×知見録

    編集部

    ビジネスパーソンの役に立つコンテンツをお届けすべく、取材、インタビュー、撮影、編集などを日々行っています。

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