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外部性とは?あなたの行動が思わぬ影響を与える経済の仕組み

投稿日:2025/07/20更新日:2025/08/15タイマーのアイコン 読了時間 6分

外部性とは、ある行動が第三者に意図せず影響を与える現象です。グロービス経営大学院の教員が執筆した「MBA経営辞書」をもとに解説します。

外部性とは - あなたの行動が生み出す思わぬ波紋効果

外部性(Externality)とは、ある人や企業の行動が、その人とは直接関係のない第三者に対して良い影響や悪い影響を与えることをいいます。

簡単にいうと、あなたが何かをしたときに、それがあなた以外の人にも何らかの影響を与えてしまう現象のことです。その影響が良いものであれば「正の外部性」、悪いものであれば「負の外部性」と呼ばれます。

私たちの日常生活や企業活動において、この外部性は至る所で発生しており、時として市場の効率性を阻害したり、逆に思わぬメリットをもたらしたりします。外部性を理解することで、ビジネスの新たなチャンスを発見したり、社会問題の本質を見抜いたりすることができるようになります。

なぜ外部性が重要なのか - 見えない経済効果を読み解くカギ

外部性の概念を理解することは、現代のビジネス環境において極めて重要です。なぜなら、この概念こそが多くの経済現象や企業戦略の背後にある仕組みを説明してくれるからです。

①ビジネスチャンスの発見につながる

外部性を理解することで、従来見過ごされていたビジネスチャンスを発見できます。たとえば、あるサービスが社会に与える正の外部性に着目することで、新しい収益モデルを構築したり、パートナーシップを組んだりする機会が見えてきます。

②市場の失敗を理解し対策を講じられる

負の外部性が発生すると、市場メカニズムだけでは解決できない問題が生じます。環境汚染などがその典型例です。外部性の概念を理解することで、こうした問題の根本原因を把握し、適切な対策を考えることができるようになります。

外部性の詳しい解説 - 身近な事例で理解する経済の仕組み

外部性には「正の外部性」と「負の外部性」という2つの主要なタイプがあります。それぞれの特徴と具体例を通して、この概念をより深く理解していきましょう。

①正の外部性 - 誰かの利益が周りにも恩恵をもたらす

正の外部性とは、ある人や企業の行動が他者に良い影響を与える現象です。この場合、影響を与える側は特別な対価を受け取ることなく、他者に便益をもたらしています。

最も身近な例として、スマートフォンのプラットフォームを考えてみましょう。iPhoneやAndroidといったプラットフォームでは、多くの開発者がアプリケーションを作成します。これらのアプリが増えれば増えるほど、プラットフォームの価値は高まり、より多くのユーザーが集まります。アプリ開発者は直接プラットフォーム会社にお金を支払っているわけではありませんが、結果としてプラットフォームに大きな価値をもたらしているのです。

鉄道事業も正の外部性の良い例です。駅周辺に住宅や商業施設が増えると、乗客数が増加し、鉄道会社の収益が向上します。住宅や商業施設の開発者は鉄道会社に直接お金を払っているわけではありませんが、結果として鉄道会社に利益をもたらしています。実際、多くの鉄道会社がこの外部性を活用して、自ら不動産事業や商業施設の運営に乗り出しているのは、こうした理由があるからです。

②負の外部性 - 迷惑をかける側が損失を負担しない問題

負の外部性とは、ある人や企業の行動が他者に悪い影響を与える現象です。この場合、影響を与える側は損害を与えたことに対する代償を支払っていません。

最も典型的な例が環境汚染です。工場が大気汚染や水質汚染を引き起こした場合、その周辺に住む人々や他の企業は健康被害や清掃費用などの損失を被ります。しかし、適切な規制がない場合、汚染を引き起こした企業はこれらの損失に対して何も支払う必要がありません。

騒音問題も負の外部性の身近な例です。深夜の騒音や工事の音は、周辺住民の睡眠を妨げ、生活の質を低下させます。騒音を出している側は特に損失を被っていませんが、周辺住民は大きな迷惑を被っているのです。

③市場取引を通じる外部性と通じない外部性

外部性は、その影響が市場取引を通じて伝わるかどうかによっても分類されます。

広義の外部性には市場取引を通じた影響も含まれます。たとえば、ある企業が原材料を大量購入することで市場価格が上昇し、他の企業の調達コストが増加する場合などです。

一方、狭義の外部性は市場取引を通じない影響のみを指します。公害や教育による社会全体への波及効果などがこれに当たります。ビジネスの文脈では、この狭義の外部性の方がより重要な意味を持つことが多いといえるでしょう。

外部性を実務で活かす方法 - 戦略的思考で競争優位を築く

外部性の概念を理解したら、それを実際のビジネスにどう活かすかが重要です。正の外部性を積極的に活用し、負の外部性には適切に対処することで、競争優位を築くことができます。

①プラットフォーム戦略での外部性活用

多くの成功企業が正の外部性を巧みに活用しています。Amazon、Google、Facebookなどのプラットフォーム企業は、ユーザー数や利用者が増えれば増えるほど、サービスの価値が高まるネットワーク効果を活用しています。

たとえば、Amazonマーケットプレイスでは、出品者が増えれば商品の種類が豊富になり、消費者にとってより魅力的なプラットフォームになります。同時に、消費者が増えれば出品者にとってもより多くの販売機会が得られます。この相互作用により、プラットフォーム全体の価値が継続的に向上していくのです。

自社のビジネスでこのような正の外部性を生み出せないか考えてみましょう。顧客同士が相互作用することで価値が高まる仕組みを作ることができれば、持続的な競争優位を築くことができます。

②負の外部性への対処とCSR戦略

負の外部性に対しては、それを最小限に抑える努力と、発生した場合の適切な対処が重要です。近年、企業の社会的責任(CSR)への関心が高まっていることもあり、負の外部性への対処は単なるコスト要因ではなく、企業価値向上の機会として捉えることができます。

環境負荷の削減、地域社会への配慮、従業員の働き方改善など、負の外部性を減らす取り組みは、長期的には企業のブランド価値向上や優秀な人材の確保につながります。また、規制が厳しくなる前に自主的に対策を講じることで、将来的なコンプライアンスリスクを回避することもできます。

さらに、負の外部性を正の外部性に転換する創意工夫も重要です。廃棄物をリサイクルして新たな製品を作る、CO2削減技術を他社にライセンス提供するなど、問題解決そのものをビジネスチャンスに変える発想が求められています。

参考ページ

MBA経営辞書「外部性」

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    編集部

    ビジネスパーソンの役に立つコンテンツをお届けすべく、取材、インタビュー、撮影、編集などを日々行っています。

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