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オープン・イノベーションとは?企業成長の新たな扉を開く革新的な開発戦略

投稿日:2025/07/20更新日:2025/08/15タイマーのアイコン 読了時間 6分

オープン・イノベーションとは、外部の技術やアイデアを取り入れ価値創造を行う開発手法です。グロービス経営大学院の教員が執筆した「MBA経営辞書」をもとに解説します。

オープン・イノベーションとは - 企業の壁を越えた価値創造の新しい形

オープン・イノベーションとは、企業がすべてを自前で開発するクローズドな方式から脱却し、他社の技術やアイデアも積極的に活用しながら行うオープンな開発活動のことです。

この概念は、カリフォルニア大学バークレー校のヘンリー・チェスブロウ博士によって2003年に提唱され、「企業の内部と外部のアイデアを有機的に結合させて価値を創造すること」と定義されています。

従来の研究開発では、企業は自社内のリソースだけに頼って新技術や新製品を開発していました。しかし、技術の複雑化や開発コストの増大、競争環境の激化により、この自前主義だけでは限界があることが明らかになってきました。オープン・イノベーションは、こうした課題を解決する新しいアプローチとして注目を集めています。

なぜオープン・イノベーションが重要なのか - 現代ビジネスの必須戦略

現代の企業経営において、オープン・イノベーションが重要視される理由は複数あります。技術革新のスピードが加速し、単一企業だけでは対応しきれない複雑な課題が増加している中で、外部との連携は企業の競争力維持に欠かせない要素となっています。

まず、開発コストの効率化が挙げられます。すべてを自社で開発しようとすると、膨大な時間と費用がかかります。しかし、既に他社が開発した技術を活用したり、複数の企業で開発費用を分担したりすることで、大幅なコスト削減が可能になります。

①リスクの分散と成功確率の向上

オープン・イノベーションでは、複数のプロジェクトや技術を同時に検討できるため、失敗のリスクを分散できます。一つの技術開発が思うように進まなくても、他の選択肢があることで、全体としての成功確率を高められます。

②専門性の活用と技術の融合

各企業が得意分野に特化し、それぞれの専門性を持ち寄ることで、単独では実現できない高度な技術融合が可能になります。異なる業界の技術を組み合わせることで、これまでにない革新的な製品やサービスが生まれる可能性が広がります。

オープン・イノベーションの詳しい解説 - 2つの基本パターンと実践方法

オープン・イノベーションには、大きく分けて2つの基本的なパターンがあります。それぞれが異なる目的と効果を持ち、企業の状況に応じて使い分けることが重要です。

①インバウンド型 - 外部からのアイデア獲得

一つ目は、技術やアイデア獲得の入り口側に関わるインバウンド型のアプローチです。企業が新技術や新製品の開発に際して、社内外を問わず広く技術やアイデアを結集してイノベーションを促進します。

具体的な例として、産官学連携プロジェクトがあります。大学の基礎研究、政府の政策支援、企業の実用化技術を組み合わせることで、単独では困難な大型プロジェクトも実現可能になります。また、大企業とベンチャー企業による共同研究も盛んに行われており、大企業の豊富なリソースとベンチャー企業の柔軟性や革新性を組み合わせることで、画期的な成果を生み出しています。

②アウトバウンド型 - 技術の外部展開

二つ目は、出口側に関わるアウトバウンド型のアプローチです。自社で開発した技術や製品を市場に出してキャッシュ化する際に、社外を経由したルートも積極的に活用する考え方です。

例えば、自社の事業ドメインやターゲット市場と適合しない研究開発成果や、自社の経営資源だけでは市場投入が困難な技術を、他社への売却やライセンシングによって収益化します。これにより、開発投資を無駄にすることなく、別の形で回収することができます。

③従来の研究開発との関係性

オープン・イノベーションの導入によって、企業内の研究開発が不要になるわけではありません。むしろ、研究開発部門の役割は従来とは異なる重要性を持つようになります。

社外でどこでどのような研究開発が行われているかという情報収集能力の向上、大学などの研究機関やサプライヤーとのネットワーク構築、外部技術を適切に評価できる専門人材の配置などが、新たに重要になってきます。つまり、研究開発部門は「作る」機能から「つなぐ」機能へとその重点を移していく必要があります。

オープン・イノベーションを実務で活かす方法 - 成功への実践的アプローチ

オープン・イノベーションを実際のビジネスに活用するためには、戦略的なアプローチと具体的な実践方法を理解することが重要です。成功している企業の事例を見ると、いくつかの共通した取り組みが見えてきます。

まず重要なのは、自社の技術領域と事業戦略を明確にした上で、どの部分を外部との連携で補完するかを決めることです。すべてをオープンにするのではなく、コア技術は自社で保持しつつ、周辺技術や異分野の技術を外部から取り込むという戦略的な判断が必要です。

①産業界での具体的な活用場面

製薬業界では、新薬開発に膨大な時間とコストがかかるため、オープン・イノベーションが積極的に活用されています。大手製薬会社がベンチャー企業の有望な化合物を早期段階で発見し、共同開発や買収を通じて自社のパイプラインに取り込むケースが増えています。

自動車業界でも、電動化や自動運転技術の開発において、IT企業との連携が不可欠になっています。従来の自動車技術だけでは対応できない分野で、異業種の企業との協業により新たな価値を創造しています。

②成功のための重要なポイント

オープン・イノベーションを成功させるためには、組織文化の変革も重要です。従来の「自前主義」から脱却し、外部との協業を積極的に評価する文化を醸成する必要があります。また、知的財産の管理や情報セキュリティの確保など、リスク管理体制の整備も欠かせません。

さらに、ステージゲート法がプロジェクトを段階的に絞り込んでいくプロセスであるのに対し、オープン・イノベーションは様々なステージのアイデアを外部から取り込むことで、選択肢を広げながら成功確率を維持できる手法として活用できます。これにより、従来の開発プロセスでは見落としていた可能性を発見し、イノベーションの幅を大きく広げることができるのです。

参考ページ

MBA経営辞書「オープン・イノベーション」

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