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グローバルを自分事に vol.1 「あなたの会社は、どれくらいグローバル企業ですか?」

投稿日:2020/07/10更新日:2021/03/15

コロナ時代はビジネスのグローバル化に大きな変化を迫る。グローバルな事業展開をする企業の業績におけるインパクトも大きい。日々そんな報道を見ることが多いが、では、我が社はどれくらいグローバル企業だと言えるのだろう?本連載は、GLOBISのグローバル研修事業に10年以上関与してきたグロービス経営大学院教員の河尻陽一郎が解説する。

「グローバル」を何で測る?

筆者はGLOBISのグローバル研修事業に10年以上関与してきたが、グローバル研修に集まるリーダー候補を見ていても、実は自社のグローバル事業の現状を定量的に把握している人は限られている。日本人も、そして海外人材も、である。自社のグローバル化を議論するために、自社の海外事業の現状を定量的に把握することは最低限必要だ。

「あなたの会社はグローバル企業?」と聞かれたら読者は何と答えるだろうか。代表的な回答の切り口として考えられる視点をいくつか挙げてみる。

海外売上高比率:日本国外の売上が増えるとグローバルになった感じがする。その比率が50%あればグローバル企業と言える?

従業員数に占める海外従業員数比率:海外現地法人が増えて、現地の日本人以外の従業員が増えていく。日本人以外の仲間の数が過半数を越えたらグローバル企業?

機能の海外移転度合い:事業のバリューチェーンの主要機能を営業・生産・開発とした場合、どの機能を日本に保持していて、どの機能を海外に持っているか。全機能を海外に持っていたらグローバル企業?

多くの反応は、グローバルと聞くと、自社の海外事業の規模や特徴を説明しようとする。いったんその認識に基づいて、自社の現状を把握するため、自社のデータを確認してみよう。自分で探せるだろうか?

海外売上高比率:自社の会社案内やウェブサイトに記載していることも多い。上場企業であれば、会社四季報*1を見ると、企業別ページの企業名の近くに【海外】とある数字が海外売上高比率だ。さらに、有価証券報告書*2を入手できるのであれば、セグメント情報を参照すると海外売上高を確認することができる。ここまでは比較的公開情報で入手可能だ。

従業員に占める海外従業員比率:公開情報では入手が難しいかもしれない。上場企業であれば、投資家向けに公開している決算説明資料や中期経営計画資料などに記載されている場合がある。簡単なのは、社内の人事の方に聞いてみること。試算するのであれば、公開されている連結と単体の従業員数と、海外現地法人と日本国内のグループ会社の数を調べて、「えいや」で連結従業員の何割が海外にいそうか考えてみる。

機能の海外移転度合い:営業(販売)・生産であれば、有価証券報告書に記載している場合もある。上記同様投資家向け資料で説明している場合もある。自社サイトなどに掲載されている海外現地法人の機能もヒントになる。

さて、自社の海外事業の規模や特徴の概要を把握できただろうか。どんな印象を持っただろうか。複数事業を展開している会社であれば、全社の数字だけではなく、自分の関与している事業について、もう少し調べてみることをお勧めする。それくらいの情報が見えてくると、コロナの影響が自分自身のビジネスにどの程度のインパクトを持ちそうかというイメージが湧いてくるはずだ。

自社のグローバル化は何点?

自社の現状の海外事業の概要はわかった。では、自社のグローバル化は進んでいるのだろうか、それとも遅れているのだろうか。読者は自社のグローバル化に何点をつけるだろうか?

比較の対象はいくつか考えられる。

まず世の中はどうなっているのだろう。例えば、日本企業の海外売上高比率は2018年に59.3%(ジェトロ「世界貿易投資報告 2019年版」*3)、製造業のうち海外進出している企業の海外生産比率は38.2%(経済産業省「海外事業活動基本調査」*4)という調査がある。

時系列に比較してみる。ジェトロの報告によれば、海外売上高比率は2000年に28.6%だった(図1)。この20年弱で30%ポイント増加していることになる。自社のこの20年の変化はどのようなものだっただろうか。

(集計社数は年度により異なるため詳細は、世界貿易投資報告 2019年版:ジェトロP.53図Ⅱ-24「日本企業の売上高の地域別構成比」を確認ください)

業界別の傾向を見る。経済産業省の調査によれば、海外生産比率が46.9%の輸送機器もあれば、10.7%の食品もある。食品は2009年の4.7%からポイントとしては倍以上の増加となっている(図2)。自社の所属する業界と比較すると自社はどのように位置づけられるだろうか。

これらの数字を自社の数字と比較すれば、日本全体、業界における自社の位置づけや、ベンチマークとしての他社の状況も確認できる。ただ、それだけでは点数はつけられない。考えたいことは、自社がどんな事業をグローバルに目指したいかである。あくまでも、その結果が、海外売上比率などの数字になって現れてくる。その目指す姿に対して、現状自社がどの程度実現できているのかを見たい。

では、自社の、あるいは自身の関与する事業のグローバルに目指したい姿はどんな状態だろう?次回は自社のグローバルな事業のありようについてもう一歩理解を深めてみたい。

出所

*1:会社四季報(例としてトヨタ自動車にリンクを貼っています)
*2:有価証券報告書(例としてトヨタ自動車にリンクを貼っています)
*3:世界貿易投資報告 2019年版:ジェトロ
*4:海外事業活動基本調査:経済産業省

  • 河尻 陽一郎

    グロービス 経営大学院 教員/ファカルティ・グループ ディレクター

    東京大学法学部卒業、米国ケース・ウェスタン・リザーブ大学Nonprofit Organizations修士課程修了
    コンサルティング会社にて、経営コンサルタントとして戦略立案及び実行支援を行う。その後、グロービスに入社。経営教育の方法論に基づく、質の高いコンテンツ開発や講師創出をすると同時に、企業研修部門において次世代のグローバルリーダーを輩出するグローバル研修の企画運営に従事。グロービスの中国法人・シンガポール法人の立ち上げにも関与。現在、ファカルティ・グループ ディレクター、グロービス経営大学院におけるグローバル領域科目や、企業の経営幹部育成研修における講師も務める。

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