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脱「売り切り」へ、シリコンバレーで話題のカスタマーサクセスとは?

投稿日:2019/06/05更新日:2020/08/19

世界最大のリアル小売りチェーンを展開するウォルマート社が、昨年チーフ・カスタマー・オフィサー(CCO)を新設して話題になりました。これは、大企業であっても「リテンションモデル」を見過ごせなくなったことの象徴的な事例です。そのリテンションモデルで成功するために必須なのが「カスタマーサクセス」です。今回は、カスタマーサクセスを推進する日本企業を支援し、グロービス学び放題の動画「カスタマーサクセス」にも出演するサクセスラボ株式会社の弘子ラザヴィ氏に、カスタマーサクセスについてお話を伺いました。

ソフトウエア会社だけのものではないカスタマーサクセス

多くの既存ビジネスは、モノを1つでも多く販売することに重きを置く「売り切りモデル」を採用してきました。モノを所有しないことが望まれるトレンドが主流の現代では、従来のモデルを続けていると消費者のニーズに対応できません。

そこで注目されるのが、プロダクトが購入された後も繰り返し使われ続けることで収益を生み出すリテンションモデルです。カスタマーサクセスは、カスタマーへ成功を届けることでプロダクトを繰り返し使ってもらうこと、つまりリテンションモデルの秘訣そのものです。

カスタマーサクセスは、サブスクリプションなどのビジネスモデルを推進するソフトウェア業界の現場で生れました。米国に比べ、ソフトウェア業界よりもモノづくり業界の方が大きい日本では、カスタマーサクセスという言葉にまだ馴染みがありません。米国では2010年代を通じてカスタマーサクセスの認知が高まり、今では多くのソフトウェア会社に浸透しています。またソフトウェア会社だけでなく、非ソフトウェア会社もデジタル化の必要性に迫られる中で次々とカスタマーサクセスに着手し始めました。例えば、ゼネラル・エレクトリック社は2015年にデジタル事業部を立ち上げ、その後にカスタマーサクセス部門も新設し、1000人単位の人材を雇用しています。

「日本はモノづくりの会社が多く、プロダクトそのものやモノを沢山売ること自体に目が向きがちです。デジタル時代は、プロダクトを買ってくれたカスタマーに目を向け、カスタマーがプロダクトを使って成功するまで責任を持つカスタマーサクセスの視点が必須です。その視点の重要性に1日も早く気付き、カスタマーサクセスに取り組むことが、今多くの日本企業に求められています」

カスタマーサクセス「実行の壁」

カスタマーサクセスをこれから新たに始めようとする会社にとって、その実行は決して容易なことではありません。

カスタマーサクセスの重要性を理解しているスタートアップでも、実際に実行を徹底することが難しい時もあります。なぜなら、リテンションモデルはカスタマーと長期的な関係を築くことで利益が出る仕組みなので、既存顧客からの売上比率が高くない創業当初はどうしても新規顧客の開拓に目が向き、結果、既存顧客をケアするカスタマーサクセスがおざなりになるためです。

従来の「売り切りモデル」で成功してきた大企業にとっては、カスタマーサクセスへ取り組むことへの意思決定自体が高いハードルです。モノを売った「後」を重視するリテンションモデルは、売る「前」を重視する戦略で勝ち続け長年かけて築いてきた現在の強みを否定することに繋がりかねないからです。

「『今までこのやり方で結果を出してきたのに、なぜあえて自分たちの強みを否定するようなやり方に変えなければならないのか?その必要はない』と考える大企業では、リテンションモデルの必要性や重要性が理解されず、結果、カスタマーサクセスは浸透しません」

多くの日本企業にとって、従来の売り切りモデルからリテンションモデルへのシフトは、長年親しんだ考え方・やり方を変える「チェンジマネジメント」が最大の課題なのです。

「トップの経営課題にすることが大切です。社長や会長、ないし創業者自身が『これをやらなければ我々は生き残れない』という強い意思をもって覚悟を決め、自ら旗を振ることでチェンジマネジメントを成功に導くことが重要です」

カスタマーサクセスを「推進する」とは

カスタマーサクセスを「推進する」とは、カスタマーサクセス部門を設けて責任者を任命する、という単純な話ではありません。カスタマーサクセスは全社で取り組むものであり、そうなって初めてカスタマーサクセスを「推進している」と言えます。

「カスタマーサクセスは1つの部門で完結するものでなく、営業、マーケティング、プロダクトのほか、あらゆる部署が総力戦として実行することです。カスタマーサクセスを推進して成功している企業の多くは、全従業員一人ひとりがカスタマーサクセスの重要性を理解し、カスタマーの成功と自分の仕事を直結させて日々の仕事をしています」

デジタル時代は、カスタマー一人ひとりをよく観察して彼らの「成功」を深く理解し、プロダクトを通じて彼らに「成功」をもたらす、そうすることでカスタマーと長期的な関係を築くことが何より大切です。それがカスタマーサクセスの本質です。

ソフトウェア会社に限らず、あらゆる事業が成長するために必要なカスタマーサクセス。弘子ラザヴィ氏が講師を務めるコース「カスタマーサクセス」では、具体的な事例と共にカスタマーサクセスの要諦をお伝えしています。ぜひご覧ください。

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