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人の可能性を刺激し、挑戦をうながす言葉とは?――『ずるい仕事術』佐久間宣行氏インタビューvol.3

投稿日:2023/06/15

グロービス経営大学院とフライヤーが共催した「読者が選ぶビジネス書グランプリ2023」で、「総合グランプリ」そして「ビジネス実務部門」で1位となった『ずるい仕事術』著者であるテレビプロデューサー:佐久間宣行氏へのインタビュー。Vol.2では、多様なプロフェッショナルをまとめ上げる制作現場での経験から「いいチーム」のつくりかたを聞いた。最終回となる今回は、プロデューサーとして様々なタレントを開花させてきた佐久間氏の「仕事術」、そして今後の展望を聞く。インタビュアーはグロービス経営大学院の松林博文。(全3回)

出演者のタレントや可能性を刺激する投げかけ

松林:とある視聴者の方が「佐久間さんの番組は、出ているタレントが非常に自然に振る舞っているように感じる」と話されていました。出演者に対しては何か事前に投げかけをされているんですか。

佐久間:ある程度、もともと用意している設計と出口の保険としてのストーリーはつくってあるよ、とは出演者に伝えますが、同時に「目の前で面白いことが起きたら、そっちのほうを大事にする」とも明言しています。僕はそれがすべてだと思っているからです。

すると、出演者は「これ、面白かったら使ってくれるんだろうな」と思うから、多少乱暴なボケや、他とは少し違うこともやって冒険してくれる。番組の空気みたいなものは、今までの番組と、そういった現場での僕の態度で醸成されているんだと思いますね。

また、何度かご一緒してある程度力量が見えてくると、ちょっとした道しるべになるようなアドバイスはするようにしています。

松林:書籍には佐久間さんの番組を通じて活躍の場を広げていった出演者の方々からのコメントも寄せられていました。今伺ったような、佐久間さんがご本人の中に眠っているタレントや可能性を刺激する投げかけは、ビジネスの場においてもメンバーに能力を発揮してもらうための方法に繋がりそうです。
アドバイスの中で、特に「こんな言葉を言ったら響いた」といった例はありますか?

佐久間:時々、実力があるけれど意識のせいでなかなかうまくいかない人がいます。そういった人は、1回1回の仕事で「自分は試されている」と思っちゃっているんですよね。

では例えばどう声をかけたかといえば、「試されている時期はもう終わっている」「あなたのこの部分が組織やプロジェクトに寄与できると、明確にわかって声をかけている」「それ以外はプラスアルファだから、それはそれであればうれしいけれど、まずは期待された部分を出すことを考えて仕事したほうがいいんじゃない?」と言ったんです。すると、劇的に仕事の仕方が変わりました。

松林:いま伺った投げかけも、その方と自分の間の共通認識や、仕事において目指してもらいたい「道の真ん中」を確認するやりとりになっていますね。また、もともとは萎縮してしまっているところを解きほぐす言葉になっているとも感じました。

佐久間:何の武器を評価されているのかが分からない、自信がないから、何でもやろうとしたり、「評価される」ことに過剰に頭が行ってしまったりということがあります。すると挑戦しなくなってしまう。更にはうそをつくなどいろんなパターンのノイズも生まれるんですね。そういった点でも「プロジェクト遂行の中の1回で評価しないから、ミスしたときにうそついたりするのはやめて」などとよく言っています。

常にチャレンジングな場所に身を置くことが自分を育てる

松林:今日、ここまでお話を伺っていて、短期的にウケるかというよりも、より本質的な面白さで、届けたい人に届けたいというポリシーや理念のようなものを感じました。

佐久間:もともと何の企画を立ち上げるにしても、まずは「他の人のつくるものと被っていないこと」「何か1個、新しい要素もしくは発明があること」をルールに仕事をしていました。僕の番組を面白く感じてもらっているのなら、どんな仕事も他の番組との違いをちょっとだけでも入れていることに、挑戦の姿勢や匂いを感じてもらっているからではないでしょうか。

松林:それ、むちゃくちゃ難しいですよね。

佐久間:確かに難しい(笑)。難しいけれど、結果的に1つぐらいは視聴者にとって新鮮でフレッシュに見えるものがないと、どんな結果も出ないと思うんです。

松林:ここまで社会が変化する中、特にメディア業界は本当に変化が激しい時代だと思います。そういった中でも「チャレンジしたほうが自分の解像度が高まる」という表現を本書でもされていました。

佐久間:自分を常に何かしらの新しい挑戦をしている場所に置いておくことは大事です。そうすると、その場所の素人になるので謙虚にもなるし、自分のだめなところや自分ができること、できないことが改めてわかるんです。

加えて「周囲にどう思われているのか」もわかってきます。そういった点を考えると、ルーチンの作業だけ、評価が決定づけられている仕事だけではない場所に身を置くことは大事だなと思います。

松林:最後に、ご自身もひとりの仕事人として「今後こんなことにチャレンジしてみたい」といった企みはありますか。

佐久間:僕がやっているお笑いというジャンルは、例えばいまの日本の芸能界の様子を背景として知っておいた方が楽しめるなど、文脈が複雑なので、そのまま世界には行きづらいとされています。ですが、お笑いの要素を使ってストーリーをつくることなどはできる。そういった作品づくりにより、世界の人にも日本のお笑いを面白いなと思ってもらえる仕事をしたいなと思っています。

松林:本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。


佐久間宣行のずるい仕事術
著:佐久間 宣行 発行日:2022/4/6 価格:1,650円 発行元:ダイヤモンド社

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