6月も下旬に差し掛かり、株主総会の開催が本格化しています。報道によると、3月期決算の上場企業に対する定時株主総会での株主提案の件数は今年、過去最多となったようです*。コーポレート・ガバナンス(企業統治)に対する株主の視線が厳しくなるなか、短時間で終了する「シャンシャン総会」は過去の話となりつつある感があります。アクティビスト(モノ言う株主)の存在感も高まっています。
株主総会についてビジネスパーソンが押さえておくべきポイントにはどういったものがあるのでしょうか? GLOBIS知見録の過去のコンテンツからピックアップしていきます。
コーポレート・ガバナンスの潮流を掴む
株主総会のシーズンだけでなくても、経済ニュースでは「コーポレート・ガバナンス」という言葉を耳にすることが多くなってきました。日本語では「企業統治」と訳されますが、なぜコーポレート・ガバナンスに注目が集まるようになったのでしょうか。こちらの記事で基本を整理しておきましょう。
「よくわかる! はじめてのコーポレート・ガバナンス」
vol.1 コーポレート・ガバナンスの意味と目的
vol.2 ガバナンス強化の背景と問題点、コロナ禍のガバナンス改革
vol.3 アベノミクスが推し進めた「攻めのガバナンス」
vol.4 渋沢栄一「論語と算盤」が投資家コミュニケーションに効く理由
スチュワードシップ・コードは何を変えたか
スチュワードシップ・コードは、日本語では「機関投資家の行動指針」「責任ある機関投資家の行動規範」などと表記されています。株主による企業の監視が不十分だったというリーマン・ショック後の反省をもとに、2010年にイギリスで策定された後、日本では企業価値の向上促進を目的に金融庁が策定、2014年から適用が始まっています。それから約8年。日本企業にどのような影響をもたらしたのでしょうか?
投資家による「エンゲージメント(対話)」が企業に変革を促す 企業事例アセットマネジメントOne
経営者が今まで以上に見られている感覚を持つ「スチュワードシップコード」
アクティビストへの評価
小糸製作所と米投資家ブーン・ピケンズとの間の攻防があった1980年代後半は、日本の産業界においてアクティビストに対する好意的な見方は限られ、どちらかというと「乗っ取り屋」のように見られていた部分があったかと思います。
その後、村上ファンドが台頭した2000年代初頭は、「会社は誰のものか」という問いが議論の的となりました。半面、近年ではオリンパスやJSRがアクティビストから社外取締役の派遣を受け入れるなど、日本企業との「距離感」には変化の兆しがみられます。アクティビストと日本企業はどう付き合ってきたのか、改めて過去を振り返ってみましょう。
モノ言う株主はやはり敵なのか?
「村上ファンド」の功罪 ―企業価値を回復するための株主のあり方
東芝はハゲタカ外資の餌食なのか
【もっと詳しく学びたい方へ】
グロービス経営大学院で提供する、「企業変革」をファイナンス視点で学ぶ応用展開クラス「ファイナンシャル・リオーガニゼーション」では、前述の村上ファンド vs. 阪神電鉄の攻防を題材にしたケースメソッドを通じて、アクティビスト株主への対応を当事者の立場になって考え、停滞に陥ってしまった歴史ある企業の変革と再生、コーポレートガバナンスのあるべき姿について、実践的な理解と洞察力を養います。
*時事通信(2022年6月13日)「6月株主総会、株主提案が過去最高に=気候変動関連も増加-大和総研」