前回、日本の暦の関係から特に5月に多くなる「うつ」、もしくはそれに近い症状のことを「五月病」と呼ぶとお伝えしました。
企業の中で、5月に多くの人の具合が悪くなることはとても困ることです。
一方で、注意すべき時期が定まっていることは、逆にありがたいことだとも言えます。つまり、ゴールデンウィークの前後に上司は部下の様子を注意深く観察し、適切なケアを行えばいいわけです。
具体的に、どんな会話をすればいいのか?
中でも、特に注意が必要なのは4月に新しく加わった人たちです。新入社員はもちろん、他部署から異動した人も、新しい環境に慣れようと一生懸命に頑張ってきたはずです。休暇に入る前、彼らとこの1か月を振返る時間を持ち、これまでの頑張りを認めてください。
思ったとおりの進捗ではなかったとしても、何かしらポジティブなコメントを伝えることが大切です。そして、「しっかり休んでリフレッシュした○○さんと連休明けに会いたい」という期待を示します。これにより、彼らは心おきなく休むことができ、さらに連休明けのポジティブなイメージを脳裏に思い浮かべることができるでしょう。
また、ゴールデンウィークが終わり、出社をした際の声かけも重要なポイントです。お休みモードから仕事モードにすぐに切り替えることのできる人と、なかなか出来ない人がいます。「お休み中はどうだった?」などのアイスブレイク的な会話から入ることは、連休によって生じた職場との距離を埋めるひとつの手段になります。
改めて目標を確認し、プレッシャーを減らす
そして、「五月病かも?」と思われる人に対しては、改めて目標設定の場を設けることも有効です。前回、ゴールデンウィークが終わると無期限に頑張らねばならないというプレッシャーに襲われると説明しましたが、改めて目標を確認し、短期間のマイルストーンを置いてあげることで、このプレッシャーを減らすことに役立ちます。
一生懸命に伸ばしてきたゴムが伸びきらないよう、元の長さに戻るタイミングを定期的に設定する。そして、また改めてストレッチするタイミングを明確にする、これが「うつ」を回避する手段です。だらだらと伸ばし続けて伸びきることのないよう、五月病対策においてはゴールデンウィークの前後が適切なタイミングと言えるでしょう。
これらは、自分でも十分に意識できることです。ご自身を五月病から守るためにも、休暇前にはそれまでの頑張りを振返り、休暇明けには短期間の自分なりの目標を設定する、このような作業を行う時間をしっかり確保してください。
次回は、五月病にならないための休み中の過ごし方についてお伝えします。
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