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ストレングス・ファインダーで発見する、ヒトへの関心がなかった自分の変化——はじめての役職付き時代

投稿日:2024/08/05更新日:2024/08/06

ヒトへの向き合い方の変遷について、グロービス経営大学院卒業生に聞くシリーズ。

会社で役職につく前、プレーヤーのときは、個人で成果を上げることに必死で、他者への関心は低かった3人。その後役職についてメンバーを率いる立場に立った時、どのようにヒトへの意識・行動が変化していったのか。自己理解を深めるツールのひとつであるクリフトンストレングス・テスト(ストレングス・ファインダー)によるそれぞれのリーダーのもつ資質(強みの源泉)との関係性に着目しながら今回は聞いてみた。
前回はこちら

プレーヤーから役職についたことで起こった変化

青柳(上位5資質:個別化、着想、成長促進、学習欲、原点思考):

組織のマネジャーになったとき、人間関係に苦しんでいる部下がいた。わたしは、相手の成長を支援し(「成長促進」(*1))、自分が何とか解決してあげるんだ(「回復志向」(*2))という持ち前の気質に火がつき部下に手を差しのべた。しかし、部下は心を開いてくれない日々がつづいた。

Q:ご自身の上位資質を発揮できる状況になったのに、なぜうまくいかなかったと思うか?

青柳:自分の中の「あるべき姿」が強く、そのレンズで相手をみて正そうとしてしまっていた。自分では本気になって相手に向き合っているつもりでも、相手の本質=WHY?に触れることなく、ロジックによって方法論を押し付けていたように思う。「どうすればいいかな?例えばこうしてみたら?よし、やってみましょう!」と、相手に寄り添う真の傾聴もできていなかった。結果、その部下は自分の思いとは異なる行動をとったり、互いに約束していた禁止行動に出てしまったり、ということも起きた。正直何度も心が折れそうになり、いつの間にか自分自身も部下に対して臆病になっていった。

グローバルマネジメントで気づく「親密性」「個別化」の重要さ

西川(上位5資質:最上志向、未来志向、着想、戦略性、親密性):

30代となり、海外プラント立ち上げの業務に従事したのが一つの転機になった。 日本人とは言葉も文化も習慣も違うチームメンバーと業務を進めるにあたって、日本の頃のように自分本位だけの仕事の進め方では上手く組織が機能しないことを痛感した。また、距離の離れた日本⇔海外の橋渡し役を担ったときも、Face to Faceだと簡単にできる意思疎通が、距離があることでできずにたいへん苦労した。

Q:当時はどのようなリーダーシップスタイルをとっていたのか? 

西川:当時は、ポジションパワーや、細かい指示など自分本位なチーム運営だった。当時、メンバーの多様性に対処するのは面倒くさいし、自分でやった方が楽だと思っていたから。
しかし、チームのアウトプットは自身の想像の域を出ず、組織運営は、やらされ仕事のように感じてしまうこともあった。この時に改めて以前尊敬する上司から教わった、チームのアウトプットを最大化するための個vs個の関係性(自分の上位資質でもある「親密性」(*3)、「個別化」(*4))の大切さに気づき始めた。

そこで初めてチームの運営をより良いものにするためにどのように立ち振る舞えばいいのか?どんな関係性が好ましいのかを考えるようになったが、具体的にどうやって関係性を深めればよいのかについては試行錯誤がつづきとても苦しんだ。

複数の上位資質のバランス発揮に試行錯誤した

植木(上位5資質:自己確信、達成欲、未来志向、個別化、戦略性):

私がマネジメントを任せていただいたのは、海外ローカルベテランメンバーも多数在籍し、多国籍の人が混在するチームで、言葉や文化や考え方も違うメンバーを組織としてうまくまとめることができなかった。世間で言う「チームワーク」や「One Team」という言葉もグローバル組織で実行するのは相当難しく、当時の私は、グローバルのチームを1つにまとめ、組織力を最大化するための協調や協働は絶対に無理と感じていた。 

Q:「個別化」という上位資質がありながら、なぜうまくいかなかったと思うか?

植木:昔の私は、自分の直感や判断に頼って行動する傾向が強く(「自己確信」(*5))、それが前面に出過ぎたためだと思う。また、自分の直観や考えに加え、日本での経験や日本の文化や慣習も無意識にグローバルメンバーへ押し付けていた結果、グローバルメンバーから明確に拒絶され、うまくチーム運営ができていなかったと感じる。研修等でよく聞く“多様性の組織”や“グローバル組織”の運営の難しさを感じる日々だった。

開花し始めたが、まだ武器にはできなかった「人間関係構築力」資質

3人に共通するのは、組織内で新たな役割を付与されることで、メンバーを巻き込まなければならない状況に立たされたことだ。それは、もともと本人らがもっていた他者との関係性に作用する資質(「成長促進」(青柳)、「親密性」(西川)、「個別化」(植木)など)を顕在化させる機会ともなった。 

しかし、メンバーと自分は違うという一人ひとりの多様性を頭では理解しながらも、自分の行動はあくまで自分起点で自分の論理を相手に押し付けるものだった。結果、失敗を繰り返しながら試行錯誤がつづく。すなわち人間関係に作用する強みの資質が顕在化する機会が訪れても、それを状況や相手に応じて効果的に発揮する「スキル」がともなっていなければ武器にはならないということだ。彼らはこの「スキル」をどのように獲得し、行動を改善していったのか。次回見ていこう。

(次回に続く)


(*1)「成長促進」:他の人の持つ可能性を認識し、それを伸ばす。彼らの小さな進歩の兆候を見逃さず、成長の証に満足感を得る。

(*2)「回復志向」:問題を解決するのが大好き。どこに問題があるのかを探りあて、それを解決することに長けている。

(*3)「親密性」:他の人たちとの緊密な関係を築くことに喜びを覚える。目標達成のために仲間とともに努力することに深い満足感を得る。

(*4)「個別化」:一人ひとりが持つユニークな個性に興味をひかれる。異なるタイプの人たちの集団をまとめ、生産性の高いチームを作ることに長けている。

(*5)「自己確信」:自分の能力と判断力に自信を持っている。まるで、自分が正しい方向へ進んでいることを教えてくれる羅針盤が体内に備わっているかのように。

(©2000, 2019  Gallup, Inc.) 

以上

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