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「売上」の計上タイミングは会社ごとに違うって本当?

投稿日:2015/10/27更新日:2019/04/09

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みなさんの会社では、売上はいつ計上されますか?
製品や商品の販売を会社の売上として認識して帳簿に記載することを「計上」すると言います。製品や商品を出荷した時点で売上を計上する「出荷基準」を採用している会社が一般的と思われますが、実は売上は出荷のタイミングばかりで計上されるのでありません。

例えば、製造設備などは得意先の検収時点で売上を計上することがあります(検収時点)。また、得意先指定の仕向地に到着した時点で売上を計上する(着荷時点)、あるいは代金回収しないと心配で売上を上げられない(回収時点)・・・と言う会社もあるかもしれません。

このように、実務的には売上計上するタイミングはばらついているように見えますが、会計ルールではどのような決まりになっているのでしょう?実は、会計ルールでは、このタイミングで売上を計上しなさい、という言い方をしてはいません。その代りに、売上を計上するための「要件」を提示しています。この考え方を『実現基準』と言いますが、簡単に言うと、

1) 得意先から依頼されたモノを引き渡した(サービスを提供した)
2) 1の結果、得意先から代金を回収した、あるいは代金を支払う約束を取り付けた

この2要件を満たしたタイミングで売上を計上すべきとなります。

通常の製造販売業において上記2要件を満たす代表的なタイミングが出荷時点と言うことですが、精密機械のように出荷されただけでは得意先が代金支払いに応じないこともあるでしょう。この場合は、機械の据付け、試運転等を経て得意先が納得した時点、すなわち得意先の検収時点で2要件が満たされることになります。

一方で、ビル建設工事のように工期が複数年にわたる場合は、2要件を頑なに守るとかえって経済活動が決算書に適切に反映されないということがあります。例えば、工期が3年で受注総額が60億円の工事を受注したとします。1年目に工事が1/3進捗して代金(中間金)を20億円受け取った場合、2要件に照らせば未だ工事が完成して得意先に引き渡されていないので売上は計上できません。しかし、経済実態として20億円分の経済的な価値が生み出された点を重視して工事の進捗に応じて売上(対応する原価も)を計上するという考え方もあります(工事進行基準)。

会計ルール上、いつでも気の向くままに売上を計上することは認められませんが、そのタイミングは会社の事業内容や販売されるモノによって変わり得るということです。

皆さんの会社ではいつ売上を計上していますか?なぜ、そのタイミングなのでしょう?考えてみると面白いのではないでしょうか。

  • 溝口 聖規

    グロービス経営大学院 教員

    京都大学経済学部経済学科卒業後、公認会計士試験2次試験に合格し、青山監査法人(当時)入所。主として監査部門において公開企業の法定監査をはじめ、株式公開(IPO)支援業務、業務基幹システム導入コンサルティング業務、内部統制構築支援業務(国内/外)等のコンサルティング業務に従事。みすず監査法人(中央青山監査法人(当時))、有限責任監査法人トーマツを経て、溝口公認会計士事務所を開設。現在は、管理会計(月次決算体制、原価計算制度等)、株式公開、内部統制、企業評価等に関するコンサルティング業務を中心に活動している。 (資格) 公認会計士(CPA)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、公認内部監査人(CIA)、地方監査会計技能士(CIPFA)、(元)公認情報システム監査人(CISA)

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