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最も簡単な改善から着手

投稿日:2014/12/12更新日:2021/10/23

これまで2度に分けて、社内で「こと」を進めていくための大切な議論をしてきた。今回はこの話題の最後にさらに2つの重要なことについて考えていく。

ひとつは、早いタイミングで小さい成功(アーリー・スモール・ウィン)を作ることだ。改革プロジェクトなどを想定してみよう。鳴り物入りで組成されたプロジェクトを、外部の変革チームがリードするというケースを考えると、最初からは誰も信頼はしない、ということになるだろう。

この人を信頼しよう、このグループを信頼しようと周囲の人に思ってもらうためには、まずは実績を作ることが重要だ。そのためには、(1)最も悪い状況になっている場所・箇所・部分に手を入れる。(2)最も簡単に改善できそうなところに手を入れる。(3)最も多くの人が実益を感じるところから手を入れる。―という3つを念頭に置くとよいだろう。

例えば、このプロジェクトが始まったら、今まで汚かったロッカーがきれいになった。トイレが温水洗浄便座になった、などのことから始めてみるのだ。

2つ目は自分を含めた、関係者のエネルギーの維持だ。これは通常の仕事においても難しい。どんなプロジェクトでも始めたときはエネルギーレベルも高く、皆も注目している。しかし、多くの場合、長くは続かない。しばらく後の会議で「あの件どうなった?」というような質問が出てしまうことが多い。

エネルギーを維持するために大切なのはコミュニケーションだ。繰り返し話す、現場に行って直接語る、論理や数字だけなくストーリーを語る、聞き手と自分の前提の違いをふまえて話す。KISS(Keep it short and simple)の法則を常に意識して話す、などが重要だ。そして、結果にこだわり、しつこく周りをフォローする。どれも当たり前の話だが、知っている・分かっているのと実際にやる、できるのは別だ。

「聞く―理解する―合意する―実際に行動する―成果を上げる」。コミュニケーションによって実現しなければならない道のりは長く、奥は深い。

プロジェクトの規模が大きくなると、常に全員と直接、コミュニケーションをとることは難しくなるだろう。そうなったら、中間に入る人も、同じことを語れるように言葉を具体化していくことが求められる。

7W2Hをしっかり意識するとよいだろう。Why(なぜそれをするのか?)、What(何をするのか?)、Where(どこでやるのか?)、Who(誰が責任者なのか?)、When(いつまでにやるのか?)、with Whom(誰と一緒にやるのか?)、to Whom(誰に最終的に報告するのか?)、How(どうやってやるのか?)、How Much(いくらコストをかけてやるのか?)だ。仕事に慣れるとWhyといったメンバーのモチベーションの根源に関わる部分を語らなくなってしまうものだ。

大切なことを関係者が「見える」ようにしておくことも大切だ。いわゆる見える化だ。問題、状況、スケジュール、指標を見える化しておくことの重要性は論をまたない。大切なことは手間をかけずに「常に目に入る状況」にしておくのだ。何かのデーターベースを調べに行けば、どこかにデータは格納されています、では見える化にならない。

アーリー・スモール・ウィン、継続的かつシンプルな言葉を使ったコミュニケーション、そして見える化。これらを意識して「こと」にあたってみてほしい。

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  • 田久保 善彦

    グロービス経営大学院 副学長

    慶應義塾大学理工学部卒業、同大学院理工学研究科修了。スイスIMD PEDコース修了。株式会社三菱総合研究所にて、エネルギー産業、中央省庁(経済産業省、文部科学省他)、自治体などを中心に調査、研究、コンサルティング業務に従事。現在グロービス経営大学院及びグロービス・マネジメント・スクールにて企画・運営業務・研究等を行なう傍ら、グロービス経営大学院及び企業研修におけるリーダーシップ開発系・思考科目の教鞭を執る。経済同友会幹事、経済同友会教育問題委員会副委員長(2012年)、経済同友会教育改革委員会副委員長(2013年度)、ベンチャー企業社外取締役、顧問、NPO法人の理事等も務める。著書に『ビジネス数字力を鍛える』『社内を動かす力』(ダイヤモンド社)、共著に『志を育てる』、『グロービス流 キャリアをつくる技術と戦略』、『27歳からのMBA グロービス流ビジネス基礎力10』、『創業三〇〇年の長寿企業はなぜ栄え続けるのか』(東洋経済新報社)、『日本型「無私」の経営力』(光文社)、『21世紀日本のデザイン』(日本経済新聞社)、『MBAクリティカル・シンキングコミュニケーション編』、『日本の営業2010』『全予測環境&ビジネス』(以上ダイヤモンド社)、『東北発10人の新リーダー 復興にかける志』(河北新報出版センター)、訳書に「信念に生きる~ネルソン・マンデラの行動哲学」(英治出版)等がある。

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