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私は東京、大阪、名古屋、仙台、福岡の国内5つの都市で、経営学修士(MBA)プログラムを手掛けるグロービス経営大学院で教壇に立っている。通学する社会人学生の平均年齢は34歳。2013年4月には500人以上を迎え入れた。働き始めて10年程度が経過した若手ビジネスリーダー層が中心で、仕事が終わった後、平日の夜や土日に一生懸命ビジネスについて学んでいる。

彼らのように、真のリーダーとなるために自らの能力を開発したいと考えているビジネスパーソンは多く存在する。それを象徴するように、世間には「◯◯の力」といったタイトルの本が多く並ぶ。ビジネスリーダーにとって必要な能力とは…。挙げ始めればきりがないが、「基礎スキル」にフォーカスするならば「論理的に考える力」「数学で論理を支える力」「伝える力」の3つだろう。

ビジネスとは課題や問題を発見、設定して、それらに対する策を打つことの連続だ。このプロセスを効果的に、効率的にまわすためには、まずその時々にとりあげるべき課題は何かを明確にすることが重要となる。もし誤った課題を設定すれば、その後の問題解決がいかに適切だとしても、意味のある解決策を導き出せない。

次にその課題を解決するための方法やロジックを組み立てて、選択肢を洗い出していく。そして、しっかりと数字で支えられた根拠をもって、次の一手を絞り込む。最後は、結果を周囲にわかりやすく伝え、理解を促し、チームをプラン実行のフェーズへと導いていく。

文字にしてしまえば極めて当たり前のことである。しかし、年間数百人以上のビジネスパーソンと様々な話しをする中で、これら3つのスキルが十分にトレーニングされていない人が多いということを感じる。学生時代に論理思考についてトレーニングした人は少ないだろう。

全ての能力開発はトレーニングの結果だ。トレーニングしていなければできなくて当然なのだ。直感に頼って仕事をしてきて、論理思考力が弱い、もしくは苦手だと思っている人は多い。

実際、私がグロービス経営大学院の「クリティカル・シンキング」という授業の初回で、論理思考を高めたいと思っている理由を社会人学生にたずねると、必ずこのような答えが返ってくる。「自分は勘と経験と思いだけで、仕事をしてきた」「論理的に考えるのが苦手だ」「上司にもっとよく考えるようにと言われる」「わかりやすくお客様に提案したい」−。このような苦手意識を持ったままでは、潜在力があったとしても力を発揮することは難しい。

一方、経済団体のアンケートなどで企業が求める能力をリストアップすると、必ずこの3つの能力は上位にランクされるように、全てのビジネスパーソンに必須の能力なのだ。特に人をまとめ、集団で何かをなし遂げていくリーダー、マネージャー的な立場の人にとっては極めて重要なスキルとなる。

 

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次回以降、実際のビジネスでこれらの力がなぜ重要なのかを深堀りし、そしてどのようにそれらを鍛え、真に使えるスキルにしていくかを議論していく。

※この記事は日本経済新聞2013年7月10日に掲載されたものです。
(Coverphoto:shutterstock/Ismagilov)

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