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パワーとは?組織で成果を出すために知っておきたい影響力の本質

投稿日:2025/07/20更新日:2025/08/15タイマーのアイコン 読了時間 6分

パワーとは、人や組織の行動に影響を与え成果を導く潜在的能力です。グロービス経営大学院の教員が執筆した「MBA経営辞書」をもとに解説します。

パワーとは - 組織で成果を生み出す影響力の核心

パワーとは、人や組織の行動に影響を与える力のことです。

単なる権力や地位とは異なり、パワーは「行動に影響し、出来事の流れを変え、抵抗を乗り越え、これがなければ動かない人々に物事を実行させる潜在的能力」として定義されています。この定義は、スタンフォード大学のジェフリー・フェファー教授によるもので、現代の経営学において広く受け入れられています。

パワーは決して悪いものではなく、むしろ組織やチームで成果を出すために不可欠な要素です。リーダーやマネージャーが部下の行動を促し、プロジェクトを成功に導くためには、適切なパワーの理解と活用が必要不可欠なのです。

なぜパワーが重要なのか - 現代ビジネスで不可欠な理由

①組織の複雑化により従来の権限だけでは限界がある

現代の組織では、部門を横断したプロジェクトや、異なる専門性を持つメンバーとの協働が当たり前になっています。このような環境では、単純な上下関係や命令だけでは人を動かすことができません。

異なる部門の人たちと協力して成果を出すには、相手が納得し、自発的に行動してもらうためのパワーが必要です。特に、直接的な部下ではない人たちとの関係では、権限以外のパワーの活用が成功の鍵となります。

②多様な働き方に対応するマネジメントが求められる

リモートワークの普及や働き方の多様化により、従来の管理手法では効果が薄くなっています。物理的に離れた場所で働く部下や、異なる価値観を持つメンバーを動機づけるには、それぞれに適したパワーの使い分けが重要です。

一人ひとりが何に価値を感じ、どのような影響を受けやすいのかを理解し、適切なパワーを選択することで、より効果的なマネジメントが可能になります。

パワーの詳しい解説 - 5つの源泉と効果的な活用法

①正当性のパワー:組織における公式な権限の力

正当性のパワーは、組織から正式に与えられた権限に基づくパワーです。部長や課長といった役職、プロジェクトリーダーとしての任命など、組織が公式に認めた立場から生まれる影響力を指します。

このパワーの特徴は、組織のルールや制度に基づいているため、明確で理解しやすいことです。部下は上司の指示に従うことが組織のルールとして定められているため、一定の効果が期待できます。しかし、役職を離れるとこのパワーは失われるため、他のパワーとの組み合わせが重要になります。

②報酬のパワー:価値のあるものを与える影響力

報酬のパワーは、相手にとって価値のあるものを提供できることから生じるパワーです。金銭的な報酬だけでなく、昇進の機会、興味深いプロジェクトへの参加、スキル向上の機会、表彰や承認など、様々な形の報酬が含まれます。

効果的に活用するには、相手が何を価値と感じるかを正確に把握することが重要です。ある人には昇進の機会が魅力的でも、別の人にはワークライフバランスの改善の方が価値があるかもしれません。個人の価値観や現在の状況を理解し、適切な報酬を提示することで、強い動機づけが可能になります。

③強制のパワー:処罰や制裁による影響力

強制のパワーは、処罰や制裁を与えることができる立場から生じるパワーです。減給、降格、解雇といった直接的な処罰だけでなく、重要なプロジェクトから外す、情報を共有しない、社内での評判を下げるといった間接的な制裁も含まれます。

このパワーは即効性がある一方で、副作用も大きいため注意深い使用が必要です。過度に使用すると、メンバーの意欲を削ぐだけでなく、創造性や主体性を阻害する可能性があります。最後の手段として位置づけ、他のパワーと組み合わせて使用することが重要です。

④専門性のパワー:知識と経験から生まれる信頼

専門性のパワーは、特定の分野における深い知識、スキル、経験から生じるパワーです。技術的な専門知識だけでなく、業界経験、人脈、問題解決能力なども含まれます。

このパワーの大きな特徴は、組織の階層に関係なく発揮できることです。若手社員でも、特定の分野で優れた専門性を持っていれば、上司や同僚に対して影響力を持つことができます。また、一度確立された専門性のパワーは比較的持続しやすく、転職などの環境変化にも対応しやすいという利点があります。

⑤準拠のパワー:人格や魅力から生まれる影響力

準拠のパワーは、その人の人格、魅力、カリスマ性から生じるパワーです。誠実さ、公正さ、思いやり、ビジョンを示す力、コミュニケーション能力などが組み合わさって生まれる影響力です。

このパワーを持つ人は、周囲から尊敬され、信頼されるため、人々が自然とその人に従いたくなります。命令されなくても、その人の期待に応えたい、一緒に働きたいという気持ちを相手に抱かせることができます。準拠のパワーは時間をかけて構築されるものですが、一度確立されると非常に強力で持続的な影響力を発揮します。

パワーを実務で活かす方法 - 成果を出すための実践的アプローチ

①状況に応じたパワーの使い分けで効果を最大化

実際のビジネス現場では、単一のパワーではなく、複数のパワーを組み合わせて使用することが重要です。

緊急性の高いプロジェクトでは、正当性のパワーで迅速な意思決定を行い、専門性のパワーで具体的な方向性を示し、準拠のパワーでチームの結束を高めるといった具合です。新しいチームのリーダーになった場合は、まず正当性のパワーで立場を明確にし、専門性のパワーで信頼を築き、徐々に準拠のパワーを発揮していくといった段階的なアプローチが効果的です。

相手の立場や関係性によっても使い分けが必要です。部下に対しては正当性のパワーが使えますが、他部門の同僚に対しては専門性のパワーや準拠のパワーの方が効果的でしょう。

②継続的なパワーの維持と発展で長期的成功を実現

パワーは一度獲得したら終わりではなく、継続的な維持と発展が必要です。環境の変化、組織の変化、自身の立場の変化に合わせて、パワーの構成も調整していく必要があります。

専門性のパワーを維持するには、常に新しい知識やスキルを習得し続けることが重要です。業界のトレンドを把握し、新しい技術や手法を学び、実践経験を積むことで、専門性のパワーを発展させることができます。準拠のパワーについては、日々の行動を通じて信頼と尊敬を積み重ねることが大切です。

転職や異動などで環境が変わった場合は、新しい環境でのパワーの構築が必要になります。これまでの経験を活かしながら、新しい環境に適応したパワーの発揮方法を見つけることが重要です。

参考ページ

MBA経営辞書「パワー」

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    編集部

    ビジネスパーソンの役に立つコンテンツをお届けすべく、取材、インタビュー、撮影、編集などを日々行っています。

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