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死の谷とは?製品開発で99%のプロジェクトが消える恐怖の壁を乗り越える方法

投稿日:2025/07/20更新日:2025/08/15タイマーのアイコン 読了時間 5分

死の谷とは、製品開発から量産化・事業化に至る過程で直面する最大の壁です。グロービス経営大学院の教員が執筆した「MBA経営辞書」をもとに解説します。

死の谷とは - 製品開発における最後の難関

死の谷(Valley of Death)とは、製造業において製品開発から量産化、そして事業化へと進む過程で立ちはだかる最も困難な壁のことです。この段階で多くの製品が消えていくため、「死の谷」という物騒な名前がつけられています。

具体的には、基礎研究や開発研究である程度の成果が出た製品が、実際に市場に出して利益を生む商品になる前の段階で直面する困難を指します。どんなに優れた技術や画期的なアイデアがあっても、この死の谷を越えられなければ、世の中に出ることはありません。

広い意味では、研究開発の初期段階にある「魔の川」も含めて、研究開発が事業化に至らないすべての困難を死の谷と呼ぶこともあります。

なぜ死の谷が重要なのか - 企業の生存をかけた最後の関門

死の谷が重要視される理由は、この段階で企業の命運が決まってしまうからです。ここを乗り越えられるかどうかで、企業の成長と衰退が分かれると言っても過言ではありません。

①投資額が桁違いに増える恐ろしさ

基礎研究段階では数千万円から数億円程度の投資で済んでいたものが、量産化や市場投入の段階になると、投資額は一気に数十億円から数百億円規模に膨らみます。この巨額の投資を回収できる見込みがなければ、企業経営陣は当然ながらゴーサインを出すことができません。

②成功確率の厳しい現実

どんなに技術的に優れた製品でも、市場に受け入れられるかどうかは別問題です。消費者のニーズ、競合他社の動向、経済状況など、さまざまな外部要因によって製品の運命が左右されます。そのため、この段階での成功確率は決して高くないのが現実です。

死の谷の詳しい解説 - 何が製品を葬り去るのか

死の谷では、製品開発プロジェクトが大きく変化します。これまでは研究者中心だったプロジェクトに、開発部門、生産部門、マーケティング部門など、さまざまな部署のメンバーが参加するようになります。

①技術の壁が立ちはだかる現実

製品の試作品ができても、それを大量生産するためには全く異なる技術が必要になります。研究室では成功した技術も、工場での量産となると予想外の問題が次々と発生します。品質の安定化、コストの削減、生産効率の向上など、クリアしなければならない課題は山積みです。

量産技術の確立に失敗すれば、どんなに素晴らしいアイデアの製品でも世に出ることはできません。特に、精密な技術を要する製品や新素材を使った製品では、この技術的な壁が非常に高くなります。

②市場の厳しい評価が待っている

試作品ができると、さまざまなマーケティングリサーチが行われます。消費者インタビュー、市場テスト、競合分析など、あらゆる角度から製品の市場性が検証されます。ここで厳しい現実に直面することが多いのです。

「技術的には優れているが、消費者には魅力的に映らない」「価格が高すぎて競争力がない」「似たような製品が既に市場にある」といった評価を受けることは珍しくありません。また、開発期間中に競合他社が類似の製品を発売したり、全く新しい技術が登場して市場ニーズが変化したりすることもあります。

③経営判断の重要性が増す段階

死の谷の段階では、技術者だけでは判断できない経営的な要素が重要になります。投資回収の見込み、企業戦略との適合性、リスクの大きさなど、経営陣が総合的に判断しなければなりません。

特に、代替技術の進歩や市場環境の変化は予測が困難で、どんなに綿密な計画を立てても外部要因によって状況が一変することがあります。そのため、経営陣にとって「ゴーサインを出すかどうか」は非常に難しい判断となります。

死の谷を実務で乗り越える方法 - 成功への実践的アプローチ

死の谷を乗り越えるためには、戦略的なアプローチが必要です。多くの企業が実践している効果的な方法をご紹介します。

①開発期間の短縮で外部リスクを最小化

外部環境の変化をコントロールすることは困難ですが、その影響を受ける期間を短くすることは可能です。そのため、初期段階から市場投入までの期間をできる限り短縮することが重要な戦略となります。

具体的には、各段階の並行開発、意思決定の迅速化、部門間の連携強化などが効果的です。また、早い段階から市場の声を取り入れることで、後戻りのリスクを減らすことができます。アジャイル開発のような手法を製品開発に応用する企業も増えています。

②段階的投資でリスクを管理

死の谷を乗り越えるためのもう一つの重要なアプローチは、段階的な投資判断です。一度に巨額の投資をするのではなく、小さなマイルストーンを設けて、その都度投資を続けるかどうかを判断します。

この方法により、早期に問題を発見して軌道修正したり、見込みがない場合は損失を最小限に抑えて撤退したりすることができます。また、各段階で異なる専門家の意見を取り入れることで、より精度の高い判断が可能になります。

製品ポートフォリオ全体で見ると、いくつかの製品が死の谷で消えても、一つの大きな成功があればそれまでの投資を回収できるという考え方も重要です。そのため、リスクを分散させながら複数のプロジェクトを同時に進める企業戦略が求められます。

参考ページ

MBA経営辞書「死の谷」

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