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低価格「ハンバーグ専門店」隆盛のヒミツを考える

投稿日:2009/11/20更新日:2019/04/09

ハンバーグ専門店出店ラッシュ

外食各社が低価格「ハンバーグ専門店」の出店を加速しているという。フジサンケイビジネスアイに『低価格「ハンバーグ専門店」続々「薄利多売」大都市で顧客開拓』と題された記事が掲載された。

記事によれば、居酒屋チェーン「甘太郎」を運営するコロワイドは、今年5月、ハンバーグ専門店「ハンバーグ大魔王」の1号店をさいたま市にオープン、「デニーズ」などを運営するセブン&アイ・フードシステムズが、8月にハンバーグ専門店「ぐーばーぐ」を東京・四谷に出店、カレー店「CoCo壱番屋」を展開する壱番屋も、来年3月、ハンバーグ専門店の1号店を愛知県内に開設する計画と、まさに開店ラッシュの様子を伝えている。

低価格の秘密は、メニューの絞り込みによる食材の一括大量購入や調理簡素化などのコスト削減で、単品価格は500円程度の低価格を実現であるとして、節約志向を強める家族を狙うとある。そして、中華の「日高屋」、イタリアンの「サイゼリア」を例にして、「なんでも屋」のファミレスなどが軒並み集客に苦戦する中、ターゲットを明確にした専門店の出店が広がりそうだと分析している。

しかし、そもそも、なぜハンバーグなのだろうか。

かく言う筆者も大のハンバーグ好きである。1969年から1970年まで、フジテレビ系で放映されていたタツノコプロのアニメ「ハクション大魔王」。主人公の大魔王の好物として描かれていた、大皿に山盛りにされたハンバーグにあこがれたものだった。その記憶を持つ人は多いようで、前出の「ハンバーグ大魔王」のキャラクターはもろに「ハクション大魔王」で、店頭で等身大の人形が来店客を迎えている。

つまり、高度成長期以来、日本人はハンバーグが大好きになっていて、もはや国民食になっているのである。

しかし、内食化を高める今日の消費環境において本当に繁盛するのだろうか?

家庭での調理が難しいハンバーグ

実は、みんなが大好きなハンバーグには、大きなニーズギャップが存在するのである。Googleで「ハンバーグ難しい」と検索してみよう。約71万2000件がヒットする。「焼き方が難しい」とするBlogのエントリや掲示板のコメントがズラリと並ぶ。そうなのだ。ハンバーグは外側をこんがり、中をジューシーに焼き上げるのは意外と難しい。中途半端な加熱だと、中の肉がまだ赤いままになってしまう。

国立情報学研究所のデータベースにある論文「ハンバーグステーキ焼成時の内部温度:腸管出血性大腸菌O157に関連して(第4報):一般家庭におけるハンバーグステーキの焼成方法に関する実態調査」によれば、多くの家庭での調理方法では加熱不十分で危険な状態であると指摘している。

かといって、これでもかと加熱してはポロポロのパサパサでジューシーのかけらもなくなってしまう。

その解決策として急速に普及しているのが「煮込みハンバーグ」のソースである。

オリコンの記事『「料理の腕をカバーできる」煮込みハンバーグの市場拡大』を見てみよう。

ソースメーカーのハインツによれば、「市販の焼きハンバーグ用ソースが縮小するのに対し、煮込みハンバーグソース市場は前年比113%と大幅な拡大傾向にある」状態だという。その理由として、同社の調査によると焼きハンバーグの調理を不安に思っている主婦は多く、「生焼けになりにくい」、「焦がしにくい」という理由から煮込みハンバーグを選ぶ人が増えていると分析している。

失敗はしないかもしれない。でも、やっぱりハンバーグはジュワーッと肉汁がこぼれる「焼き」で食べたい!「煮込みハンバーグは邪道だ」という感覚に、賛同してくれる人は多いのではないだろうか。そこで、「専門店」の出番なのだ。

外食産業不振の中で登場した低価格ハンバーグ専門店。内食傾向はさらに強まるかもしれないが、たまに外食もしたくなるのは否めない。そんな時、特別な料理ではないけれど、意外と家庭で作るのは難しいハンバーグを、家庭で一から具材を揃えて作るのとたいして変わらないぐらいの価格で提供することができれば、それは大きなKBF(KeyBuyingFactor:購買決定要因)となる。

さらに、ピンポイントでみんなが大好きなハンバーグに集中すれば食材の集中仕入れもでき、廃棄率も低減する。コスト低減というKSF(KeySuccessFactors)も実現できるがゆえに、低価格で提供できて集客が見込める。いわばKBF=KSFという好循環が期待できるのだ。

冬のボーナスは過去最低の減少率という。財布のひもは固くなる一方。こんな厳しい時代こそ、消費者のニーズギャップに注目してピンポイントで勝負をかけることが大切なのである。

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