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GE出身の経営者・藤森義明が語る能力開発──GE流「3倍のアサインメント」でリーダーは育つ

投稿日:2025/09/26タイマーのアイコン 読了時間 6分

日本と世界の経営舞台を往来してきた藤森義明氏。
ゼネラル・エレクトリック(GE)でアジア人初のシニア・バイス・プレジデントに就任し、日本GEやLIXILなどでCEOとして辣腕を振るってきた経験は、まさに実践知の宝庫です。
本記事では、特に「能力開発」というテーマにフォーカスし、藤森氏の発言をもとに、その哲学と実践の本質を探っていきます。

※この記事は、GLOBIS学び放題で配信中の『リーダーの挑戦』の中から、「能力開発」にまつわる一部の内容をご紹介するものです。
(肩書きは2024年2月6日収録当時のもの)

「高すぎる目標」こそが人を育てる──GE流リーダー育成の本質

藤森氏が最も能力を鍛えられたと語るのが、ゼネラル・エレクトリック(GE)での経験です。
そこでは、通常では到底達成できないと思えるような高い目標が与えられ、それを限られた時間の中でやりきることが求められました。

「自分ができると思っている3倍ぐらいのアサイメントが来るんです。それを3年間でやらなくちゃいけない」

与えられる課題は、既存のやり方では通用しないようなものであり、自ら新たな市場を分析し、顧客のニーズを捉え、戦略を立案し、変革を実行し、そして結果を出す──このすべてを時間内に完遂することが期待されます。
こうした環境に身を置くことで、否応なく変革力や意思決定力、実行力が磨かれていったというのが藤森氏の実感です。

ビジョンを描き、組織を動かす力

藤森氏が繰り返し強調するのは、目標達成に向けての戦略的思考と、チームを巻き込むリーダーシップです。
GEでは、アサインメントを与えられた直後の100日間が極めて重要とされており、その期間内に方向性を定め、社内外のステークホルダーにビジョンを伝え、共感を得ることが求められました。

「ビジョンをどうやってみんなに伝えるか、みんなをそのビジョンに動かしていくにはどうしたらいいかということを教わりました」

現場の声に耳を傾けながら、将来像を描き、それを共有し、関係者を動かす。このとき重要となるのが、現場への徹底したヒアリングです。
顧客、営業、技術、現場──すべての視点を踏まえて情報を収集し、それらをもとに現実的かつ野心的なビジョンを構築します。
そして、それをシンプルかつ明確に伝えることで、組織は初めて自律的に動き出すのです。

意思決定のスピードと優先順位の明確化

リーダーに求められる資質の一つに、「迅速な意思決定」があります。
特に、アメリカという意思表示が明確でスピードが重視される文化の中で、藤森氏はその重要性を痛感したといいます。
GEで経営を任された当初、ボイスメールで次々に届く重要な意思決定の相談に対し、30秒〜40秒で回答を返さなければならなかったと語ります。

「自分の英語って下手だなと思って。自分で本当に納得するまで毎回英語で同じボイスメールをしゃべる練習を半年くらいしていた」

と振り返る藤森氏。
ここからも、単に素早く判断するだけでなく、内容の正確性と説得力を両立させる努力が伝わってきます。
優先順位を瞬時に判断し、何を採用し、何を切り捨てるかを決断する。
その訓練を繰り返すことで、藤森氏は「決断できるリーダー」へと成長していきました。

戦略と組織はセットで変える──「人と金を握る」覚悟

どれほど優れた戦略を描いても、それを実行する体制が整っていなければ成果には結びつきません。
藤森氏は、戦略を本気で遂行するには、まず「人と金を握る」ことが重要だと語ります。
実際にGE時代、戦略転換のタイミングで最初に着手したのが、CFO(最高財務責任者)とHR(人事責任者)の人事だったといいます。

「新しい戦略をするためには新しい陣容が必要。絶対自分の考えと合ってる人をCFOとHRに持ってこないと」

既存の組織文化や人間関係に遠慮していては、大胆な改革は実現できません。
戦略と組織変更は一体であり、時には非情な決断も求められます。
それでも自らのビジョンを実現するために、信頼できる人材とともに陣容を再編し、実行フェーズへと踏み出すことが、リーダーに課された責任なのです。

自ら機会をつかみに行く意志が成長を導く

藤森氏のキャリアは、単に与えられた環境で努力しただけでなく、自らチャンスを掴みに行った姿勢に貫かれています。
GE本社の重役が来日するたびに「俺をアメリカに行かせてくれ。絶対やるから」と直訴し続けたというエピソードからも、その熱量が伝わってきます。

「ずっと思っていたのは、『いつか必ず帰ってきて、こいつらと勝負してこいつらに勝つんだ』と」

カーネギーメロン大学のMBA留学中、言語の壁に苦しみながらも、藤森氏が心に抱き続けたこの思いが、後のキャリアにおける原動力になったのは間違いありません。
誰もが最初から準備万端で挑戦できるわけではありません。
挑戦を恐れず、自らの限界に挑み続ける意志こそが、能力を開発する最大の推進力となるのです。

おわりに──限界の“その先”へと挑む

藤森義明氏が語る「能力開発」は、単なるスキルアップの話ではありません。
GEという極めて競争的な環境で徹底的に鍛えられた経験と、日本企業における変革の現場で実証された知見は、現在の不確実な時代においても大いに通用するものです。
限界を3倍超えるアサインメントに飛び込み、ビジョンを描き、組織を動かし、人を選び、自ら志して挑戦する──そうした姿勢こそが、本当の意味での能力開発につながったといえるでしょう。

GLOBIS学び放題で配信中の『リーダーの挑戦』の中から、藤森義明氏の「能力開発」にまつわる内容をご紹介しました。
『リーダーの挑戦』シリーズでは、グロービス経営大学院学長の堀義人が、日本を代表するリーダーに5つの質問(能力開発/挑戦/試練/仲間/志)を投げかけ、その人生哲学を解き明かします。続きはぜひGLOBIS学び放題でご覧ください。


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  • 本橋敦子

    GLOBIS学び放題×知見録 編集部

    大学卒業後、全国紙の記者として10年勤務。仙台支局で事件・事故、裁判、行政、スポーツ、東日本大震災の被災地を取材したほか、異動後の東京経済部では流通・小売り、通信、フェムテックなどをテーマに執筆した。現在はグロービスにて、オウンドメディア「GLOBIS学び放題×知見録」 の編集を担当。

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