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増資ってどんな方法があるの?

投稿日:2019/03/21更新日:2020/03/24

会社の成長とともに、製造設備、研究開発、運転資本などの様々な投資が増加するため、新たな資金調達が必要になります。増資、すなわち資本金を増加させることは、会社の資金調達手段の1つです。金融機関などからの融資との違いは、返済義務や支払利息の負担の有無、会社の経営ガバナンスへの影響などが挙げられます。増資は返済不要な資金調達であるため、会社の財務安全性の強化、取引上の信用力の向上といった効果があります。今回は、増資の方法とメリット・デメリットについてザックリと説明します。

増資には、大きく有償増資と無償増資があります。

無償増資は、純資産の部の資本剰余金などを資本金へ振り替える手続きです。実際に会社に新たな資金が投入されるわけではなく、帳簿上の資本金の数字が増加するだけなので、会社の実質的な財務健全性が高まるわけではありません。無償増資は具体的には株式分割という手法で行われますが、資金調達よりも株式数を増加して株価を引き下げ、株式の流動性を高めることなどを目的とします。

これに対して、有償増資は会社に新たな資金が投入されます。有償増資には、公募増資、株主割当増資、第三者割当増資の3つの手法があります。

■公募増資
不特定多数の投資家を増資の対象とします。幅広い投資家から資金調達するため、大規模な資金調達をしたい場合に適しています。また、上場会社では株主数を一定以上に維持する必要がありますので、IPO(新規株式公開)のように株主数を増やしたい場合などに用いられます。

一方で、新しい株主が増えると会社全体のパイを既存の株主と新しい株主で分け合うことになり、既存の株主から見ればそれまでの自身の利益を損なう可能性があります(これを株式の希薄化と言います)。また、不特定多数の投資家を対象とするため、実際にどれだけの資金調達ができるか事前には把握することは難しいとも言われます。

■株主割当増資
既存の株主から追加的に資金調達する増資です。株主割当増資は、増資後も株主の構成や議決権比率が変わらない点が一番の特徴であり、目的でしょう。そのため、公募増資や後述の第三者割当増資のように、原則として既存の株主の利益を損なうことはありません。もっとも、増資引き受けをすることは権利であり義務ではないので、既存の株主が増資に応じなければ、その場合は株主構成等は変化します。

株主割当増資は公募増資や第三者割当増資と異なり、増資の対象が既存の株主に限定されるため、事前にどの程度の資金調達が見込めるかをある程度正確に把握することができますが、公募増資のように大規模な資金調達には向いていないとも言えます。

■第三者割当増資
特定の第三者を対象とした増資です。第三者といっても縁もゆかりもない相手ではなく、通常は、取引先、取引金融機関、業務提携先企業、持株会(取引先、従業員)などが対象となります。また、特定の既存の株主が含まれることもあります。

第三者割当増資では、投資家が特定されるとは言え、それなりの数になることもありますので、公募増資ほどでないにせよ、ある程度の規模の資金調達が可能です。資本提携を伴う新規事業参入への投資資金の調達、新たなパートナー企業との経営再建などを目的とするケースが考えられます。

第三者割当増資は資金調達手段という点以外に、株主構成の変化によって経営ガバナンスの在り方にも大きな影響を与えます。なお、公募増資と同様に新しい株主が資本参加するため、1株当たり利益や純資産が薄まることにより既存の株主へ損失が発生する可能性があります。

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