為替換算はどのレートを使うの?

為替換算年明け早々、米中貿易摩擦の影響を受けアップル社が当期の業績予想を大幅に下方修正しました。その結果、外国為替市場で円相場が急激な円高ドル安となり、約9か月振りに一時1ドル=104円台後半をつけました。輸出型企業にとって円高ドル安は業績の悪化要因となるなど、為替市場の動向は日本の企業の業績に大きな影響を与えることは周知のとおりです。

ところで、海外との取引では取引金額や決済金額が米ドルなどの外国通貨(外貨建て)で表示される取引もあります。その結果、会社は外国通貨あるいは外貨建ての金銭債権債務などを保有します。しかし、日本の会計ルールでは財務諸表は日本円で表記する必要があります。したがって、会社は外貨建ての資産や負債などを日本円に換算する必要が生じます。

今回は、為替換算に適用される為替レートについて説明します。なお、本社における外貨建て取引の換算に限定し、支店や海外子会社等の換算は別の機会に譲ります。

原則的な換算レート

原則として、外貨建て取引は取引発生時の為替レートで日本円に換算します(*)。毎回取引発生時の為替レートを把握することは煩雑なので、実務上は取引発生の前月あるいは前週の平均レート(あるいは末日レート)を適用します。
(*)為替予約等を付している場合は別途の為替レートで換算します

決算時の会計処理

取引発生時から決算を迎えた場合、外国通貨、外貨建ての金銭債権債務、有価証券などの資産、負債は、原則として決算日の為替レートで改めて換算します。換算によって生じた換算差額は、原則として当期の損益(例:為替差損益)として処理します。

具体例をいくつか示します。

・外国通貨、外貨建て金銭債権債務
米ドル建ての預金を1,000ドル(取得時の為替レート:110円/ドル)とすると取得時の円換算額は110,000円となります。その後、決算時に為替レートが105円/ドルとなった場合、決算時には1,000ドル*(110円/ドル-105円/ドル)=5,000円の為替差損が発生します。外貨建ての金銭債権債務も同じ要領です。

有価証券は、保有目的から以下の3つに区分され、それ毎に会計処理します(有価証券の区分については「有価証券とは?投資有価証券の違い」を参照ください)。

・満期保有目的の外貨建債券
外貨での取得価額を決算時の為替レートで換算します。換算によって生じる差額は、為替差損益として処理します。

・売買目的有価証券
外貨での時価を決算時の為替レートで換算します。例えば、1,000ドル(取得時の為替レート:110円/ドル)で取得した有価証券が、決算時に時価900ドル(決算時の為替レート:105円/ドル)となった場合は、94,500円と換算します。取得価額との差額15,500円は有価証券運用差額として処理します。

・その他有価証券
「時価があるもの」は、外貨での時価を決算時の為替レートで換算します。換算によって生じる差額は、当期の損益でなく評価差額(純資産)として処理します。「時価がないもの」は、外貨による取得価額を決算時の為替レートで換算します。換算によって生じる差額は、当期の損益でなく評価差額(純資産)として処理します。

・子会社株式及び関連会社株式
取得時の為替レートで換算します。取得時から決算時に為替レートが変動しても決算時に換算はしません。ただし、子会社、関連会社株式の実質価額が取得時から著しく低下(50%程度以上低下)の事実が生じた場合には、外貨での実質価額を決算時の為替レートで換算します。換算によって生じる差額は、有価証券の評価損(特別損失が一般的)として処理します。

決済時

外貨建金銭債権債務の決算によって生じた損益は、当期の為替差損益として処理します。

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