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マクドナルド「クォーターパウンダー」に見るリーダー戦略

投稿日:2008/11/28更新日:2019/04/09

11月18日マクドナルド「クォーターパウンダー」に見るリーダーの王道戦略

表参道の「QUARTERPOUNDER(クォーターパウンダー)」に行ってみた。マクドナルドの新商品「クォーターパウンダー」のみを扱う、期間限定の販促店舗である。12時少し前であったが、オープン当初報道で見たほどの行列はなかった。

クォーターパウンダーは重さ4分の1ポンド(約113グラム)、通常の2.5倍の肉厚の牛肉パテが入っている。さらにパテ2枚の「ダブル」もある。

パテ2枚なら「ハーフパウンダー」では?などと思いながら、試してみるとかなりのボリューム。マクドナルド色を一切消して、新たに日本に進出してきたハンバーガーチェーンといった風情の店内のせいだろうか。味も通常のマクドナルドの味とは少し違う気がしてくる。

表参道と渋谷にオープンしたこのクォーターパウンダー専門店は、プロモーションやアンテナショップ的な役割が強く、このメニューはマクドナルド通常店に12月には展開されていく。

それよりも、この商品をマクドナルドがこのタイミングで、この価格で上市したことに深い戦略があると思うのだ。

マクドナルドには「高級バーガー」で痛い目を見た過去がある。2004年の「マックグラン」だ。

「ハンバーガーの王道」と華々しくデビューした3つのハンバーガー、「マックグラン」「ダブルマックグラン」「トマトマックグラン」は、上昇気流に乗れず、1年ちょっとで撤退したのである。

しかし、今、時は満ちている。メタボ対策や、健康志向の高まりに対する反動であろうが、「メガマック」は成功を収めた。大きいものを好む層を確実に取り込んだのだ。しかし、その層を確保するだけであれば、メガマックを続ければいいだけのはず。なぜ、クォーターパウンダーを上市させたのか。

アンテナショップとしての表参道・渋谷の店が表わすように、「海外のマクドナルドで展開されている由緒正しいメニューである」とポジショニングされた商品なのだ。ただの「メガマック」の親戚ではないと。

全国的にハンバーガーはブームであるのは確かだ。各地の独自の食材を用いた「ご当地バーガー」や、高級食材を用いた「高級バーガー」など、全国チェーンのハンバーガーとは一線を画すメニューが人気を呼んでいる。

例えば、高級路線の老舗では、ハワイ生まれの「KUA`AINA(クア・アイナ)」がそうだ。クア・アイナでは、最もスタンダードな3分の1ポンドのハンバーガーが850円。2分の1ポンドは1050円だ。かなりのボリュームだが、値段もなかなかである。

ここでマクドナルドの価格戦略を見てみよう。「クォーターパウンダー」が一般店で単品で発売される際には「ダブル」で480−490円になるという。

同じ土俵で比べるのはムリがあるかもしれないが、「海外で販売されている本格バーガー」というポジショニングの商品としては破格だろう。

この戦い方はマクドナルドならではの「コストリーダー」の戦い方の典型だといえる。

コストリーダーは「高級バーガー」というような狭いカテゴリーで戦うことはしない。広い市場でコスト、つまり圧倒的な調達力を武器に戦う。

そして、リーダーの戦い方の得意技は「同質化」である。市場の中の目立った競合と同じような商品を上市し、圧倒的な販売力で競合の存在をかき消してしまうやり方だ。

さすがに、「高級バーガー」と言い切ることはしないし、全ての競合を消し去ることはできないが、消費者には「この値段でそこそこなら、まあいいか」と思わせてしまう効果はあるだろう。

つまり、今回の「クォーターパウンダー」はコストリーダーたる、マクドナルドらしい戦い方であると考えることができるのだ。100円マックや100円プレミアムコーヒーなど、低価格メニューの提供をしつつ、こうした同社としての高単価メニューを導入することによって、マージンミックスをうまく図っているのである。

  • 金森 努

    グロービス経営大学院 教員

    東洋大学経営法学科卒。大手コールセンターに入社。本当の「顧客の生の声」に触れ、マーケティング・コミュニケーションの世界に魅了されてこの道四半世紀以上。コンサルティング事務所、広告を経て、2005年独立起業。 青山学院大学経済学部非常勤講師としてベンチャー・マーケティング論も担当。著書「図解 よくわかるこれからのマーケティング」(同文舘出版)「”いま”をつかむマーケティング」(アニモ出版)。共著書「CS経営のための電話活用術」(誠文堂新光社)「思考停止企業」(ダイヤモンド社)。監修「実例でわかる!差別化マーケティング成功の法則」(TAC出版)。雑誌への連載、講演多数。一貫してマーケティングにおける「顧客視点」の重要性を説く。

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