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日本の創造と変革を加速させるエコシステムの秘密――『経営を教える会社の経営』

投稿日:2023/11/07

ついにグロービスの経営の秘密が明かされる。

創業以来30年、成長をつづけ、また働きがいのある会社として10年連続ベストカンパニーにも選ばれたグロービス。トヨタが自社のものづくりのノウハウを広く世に示し、日本のものづくりの発展に貢献してきたように、グロービスのビジョンにある「ヒト、カネ、チエの生態系を創り、社会の創造と変革を行う」ためにも、Well-being経営が注目されている今、その経営ノウハウをオープンにするよいタイミングなのかもしれない。

詳細な企業事例からの「学び方」

本書は、グロービスの成り立ちからはじまって、

  • ビジョン
    「ヒト、カネ、チエの生態系を創り、社会の創造と変革を行う」
  • 理念
    「ビジネスを通じての社会貢献(対社会)」
    「自己実現の場の提供(対個人)」
    「理想的な企業システムの実現(対ステークホルダー)」
  • 事業内容
  • HRM(Human Resource Management)

に至るまでをわかりやすく説明している。このまま新人グロービススタッフ向けのマニュアルとして配布してもよいほど詳細な内容が記載されているので、グロービス外の読者にとっても実践的な書と言える。また、コロナ対応時のマネジメントの葛藤の描写などもリアル感があって疑似体験しやすい。

ただトヨタに関する書籍を読んで真似しようとしても簡単にはできないように、本書でも各施策のよさそうなところだけをつまみ食いしては効果がでないだろう。そこで読者には以下の読み方をおすすめしたい。

  1. 企業を分析する枠組みである7S(Strategy, Structure, System, Shared Values, Skills, Staff, Style)やHR機能の切り口(組織設計/管理、採用、配置、育成/能力開発、評価、報酬)を使って各施策を整理。
    そのうえで、各施策がいかに強いつながりをもって整合しているか、そしてこのことで、グロービスの理念にある「自己実現の場の提供」が実現でき、エネルギッシュな組織文化が醸成できていることをチェックする。
  2. 個々の施策を実行するうえでは必ず難所やデメリットが存在する。それが何であって、グロービスはそれをどう乗り越えているのか? 乗り越えられている源には何があるのか?を考えてみる。
  3. 最後に、自組織でも同じ施策を導入しているのにうまく機能していないとしたら、その原因はどこにあるのか?上記との比較の中で深堀りしてみる。

ブレない信念・理念が経営の推進力になる

グロービスが上記の仕組みを創業来回しつづけている要因として、下記3つがあると私は考えている。

  1. 性善説をはじめとする人に対する基本精神(HRポリシー)が明確かつ、ぶれないため、すべての施策はここに立ち戻って判断することができる。そこには経営者の確固たる信念がなければならない。
  2. 一人ひとりのリーダーが、自らを律し、これらの施策に魂を込め実行していく強い当事者意識をもっている(徹底した実行力)
  3. 理想的企業システムの実現に向け、誰よりもグロービスが世の中の範となるべく、矜持をもって努力を重ねる強い思いがある。

特に、私がグロービスの経営メンバーだったときも、そしてファカルティとして汗をかいている今も、3の「理想的企業システムの実現」という理念は困難に向き合うときの力になってきた。
この理念には終わりがない。今から20年前のグロービスのボードミーティングで、「グロービスのライバルは競合他社ではなく、<内にある心の敵>ではないか」という議論があった。自分たちがそこに向かって全力で考え突き進んでいるか? 常に自分たちの絶対基準を高め、謙虚に鍛錬をつづけていく姿勢こそがこれからも大切なのだろう。

日本の創造と変革を加速させる輪を大きくしていく

デジタル時代に求められているエコシステムだが、グロービスは創業当初からビジョンに共感いただいた外部講師や受講生のみなさんの力によりエコシステムが形成され発展してきた。本書はこれまで支えていただいたみなさんにもご一読いただきたい。

そしてこれからも、グロービスのエコシステムは発展していくだろう。このエコシステムには、自らの可能性を信じる人たちのポジティブなエネルギーが満ち溢れ、自分を成長させてくれる機会がたくさんあるからだ。この輪が大きくなっていけば、日本の創造と変革はますます加速していくだろう。

だからこそこれまでグロービスのことをご存じなかったみなさんにも是非とも共有したい一冊である。一読され、もし心に着火するものがあれば、このエコシステムに来たれ!と申し上げたい。

経営を教える会社の経営 理想的な企業システムの実現
著:グロービス 執筆:内田 圭亮 発行日:2023/11/8 価格:1,980円 発行元:東洋経済新報社

  • 芹沢 宗一郎

    グロービス経営大学院 教員/グロービス パートナーファカルティ

    一橋大学商学部経営学科卒。ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院修士課程修了(MBA)。外資系石油会社勤務後、グロービスでは、企業の経営者育成を手がけるコーポレート・エデュケーション部門代表などを歴任。現在は、エグゼクティブ教育や企業の理念策定/浸透などのプロセスコンサルティングに従事。共著・訳書に「変革人事入門」(労務行政)、『個を活かす企業』(ダイヤモンド社)、『MITスローン・スクール戦略論』(東洋経済新報社)など。 『[新版]グロービスMBAリーダーシップ』では、第II部実践編などを担当。

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