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なぜここまで流行った?サウナで見る「キャズムの乗り越え方」

投稿日:2022/07/25

前編では、サウナブームのメカニズムとそこで起きた「意味のイノベーション」について考えました。今回は、ブームとなったサウナ市場の今後について、どう今後の市場と向き合っていくのか、乗り越えるべき”キャズム”を考えていきます。

”サウナ”は市場のキャズムを超えたか?

製品や市場には、誕生から衰退までのプロセスがあるとされており、マーケティングではこれを「プロダクトライフサイクル(事業ライフサイクル)」と呼びます。製品が販売されてから終了するまでの期間によって、適したマーケティング手法が異なる」という考え方です。

プロダクトライフサイクルでは、「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」の4つの時期に分けられます。サウナはまさに今、成長期にあり続々と提供者も増加している最中です。

新しい製品やサービスの市場への浸透率を表すイノベーター理論によれば、各プロセスでの消費者は次の5つに分類されます。

[caption id="attachment_73475" align="alignnone" width="1570"] (グロービス学び放題の資料を参照して筆者作成)[/caption]

キャズム理論とは

これを踏まえて、キャズム理論にも触れていきましょう。

キャズム理論とはアメリカのマーケティング・コンサルタント、ジェフリー・A・ムーア氏が提唱した、顧客に新しい商品やサービスを浸透させる際に発生する大きな障害、乗り超えるべき溝、谷のことを指します。

キャズム理論では、以下の図にある通り、イノベーターとアーリーアダプターをまとめて「初期市場」、アーリーマジョリティ以降の層を「メインストリーム市場」といいます。

[caption id="attachment_73476" align="alignnone" width="1600"] (グロービス学び放題の資料を参照して筆者作成)[/caption]

新市場では、初期市場と、メインストリーム市場でニーズが異なることが成長を妨げる深い溝になってしまうことがよくあります。

初期市場のイノベーター、アーリーアダプターの商品を購入するモチベーションは「新しさ」です。商品のメリットより、その商品を誰よりも早く持つことに価値を感じます。

一方で、メインストリーム市場では、「大勢の人たちが使っているという安心感」こそが購買動機になります。初期市場ではそれが達成できないことがあります。

ユーザーの認識の変化を促した「安心感」

サウナ市場の場合は特に、「熱くて辛い、そして水風呂は冷たすぎる」といった<強い刺激への恐怖>があったと言えます。ここからサウナがメインストリームに受け入れられたのは、相当な信頼の積み重ね、安心感が必要になったと言えます。

キャズムを超えるためには、まずアーリーマジョリティへのアピールを強めることが大切です。具体的には、信頼を得るための実績・具体的でメリットの効果をアピール・ユーザビリティを高める・口コミを広めるなどが有効です。

[caption id="attachment_73489" align="alignnone" width="1600"] (筆者作成)[/caption]

サウナの場合は、熱狂的ファンの口コミと、インターネットでの情報流通、そしてテレビや漫画、雑誌の影響などが安心感を生み、ユーザーの認識が変化しメインストリーム市場へ向かっていったと考えられます。

今後のサウナやいかに?

サウナの「意味のイノベーション」が世間に浸透し、パーセプションが変化し、新しい価値や文化が追加され、流行ることによって安心感が醸成されたことが、イノベーター理論の「キャズム」を乗り越え、現在のサウナブームとなっているのかもしれません。

そして、新しく登場した個室サウナでは更なる意味のイノベーションが起きました。
従来のように大きなお風呂や解放感を売りにした温浴施設ではなく、面積も小さく、大きなお風呂やサウナがなくても、「プライベート空間、貸し切りという贅沢さ」をその空間の意味としたのです。
しかし、サウナのみの価値を提供する個室サウナがキャズムを乗り越えるためには、サウナ以外の要素や体験も加えリピートを増やしていくことが必要になってくるでしょう。現在でも、設備コストが下がる分スピーカーやテレビ、アメニティ、お水等でプライベートな贅沢さへの価値追加を行っているところは多くあります。しかし、イノベーター、アーリーアダプターの先にいる顧客にアプローチするにはより工夫が必要となります。街歩きやレストランとの連動など、サウナ以外の体験を充実させる施設もあらわれていますが、今後もそういった柔軟な施策が登場してきそうです。

ぜひ皆さんも、身の回りのビジネス・プロダクトで「意味のイノベーション」を考えながら、その後のマーケティングプランとそのキャズムの乗り越え方を考えてみてはいかがでしょうか。

 

<グロービス学び放題では、キャズムなどのビジネスに役立つフレームワークを動画で学ぶことが出来ます。>

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