2011年に広まったCSV(共通価値の創造)とは
CSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)とは、企業が本業の中で社会課題の解決に取り組み、経済的な価値と社会的な価値の両立を目指そうとする考え方です。
CSVの初出は2006年のネスレのCSRレポートですが、マイケル・ポーターが2011年にネスレの取り組みを論文としてまとめたことで広く認知されるようになりました。マイケル・ポーターは、「企業が事業を営む地域社会や経済環境を改善しながら、自らの競争力を高める方針とその実行」とCSVを定義しています。ボランティアや慈善事業としてではなく、ビジネスとして社会の問題に取り組もうとしていることがポイントです。
CSVと同様の概念としては、開発途上国の低所得者層を対象としたBOP(Base of the Pyramid)ビジネスなどもあります。
1956年に提唱された「CSR(企業の社会的責任)」とは
CSVもだいぶ知られるようになってきましたが、日本のビジネスパーソンにとってはCSRの方が聞き馴染みがあるかもしれません。
CSRは、Corporate Social Responsibilityの略で、日本語では「企業の社会的責任」と訳されます。日本で最初にCSRが紹介されたのはいつ頃だと思いますか?実は、1956年の経済同友会で決議された「経営者の社会的責任の自覚と実践」だといわれています。今から60年以上も前からCSRの考え方があったなんてちょっと驚きですよね。
おそらく多くの皆さんがCSRについて「会社が儲けた利益の一部を社会に還元する」ことだと考えていると思います。こうした慈善事業的なCSRが本格化したのは1980年代です。アメリカで広がっていた利益の一部を社会貢献活動に寄付する「パーセントクラブ」を参考に経団連が主体となって始められました。1990年代に入ると、環境問題やコンプライアンスもCSRの範囲になってきます。2000年以降、多くの企業でCSR部門が立ち上げられてきました。
CSVとCSRの違い
まずは、CSV、CSRそれぞれの用語を確認してきました。ここまでお読みいただいた方は十分に理解いただけたと思いますが、よく聞かれるのがCSVとCSRとの違いです。ここでは、両者の違いを簡単にまとめてみました。
表では、慈善事業を中心とした日本的なCSRとの違いを整理しました。一方で、サステナビリティに先進的に取り組んできたEUでは、CSRを「企業が社会および環境についての問題意識を、自主的に自社の経営およびステークホルダーとの関係構築に組み入れること」と定義しています。さらに2008年のリーマンショックなど世界的な金融危機を経て、2011年には「企業の社会への影響に対する責任」と再定義しました。
日本では、CSRに対して、依然として本業と関係のない企業の善行というイメージが強いですが、本来のCSRは、サプライチェーン上の人権・環境問題への配慮や労働と雇用慣行、地域社会への積極的な関与などを含む、非常に包括的な概念であることは知っておきましょう。
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