失敗を通じての学習
グロービスのコミュニティーサイトへ集う皆さん、こんにちは。今回は、このサイトを運営している素晴らしい編集者から、私の個人的な経験を少しばかり皆さんに共有する機会を頂きました。このコラムを通じて、私自身のことを知っていただければと思い、また多くの失敗や成功に彩られた私の人生の一コマから、皆さんに何かを感じていただければと願っています。
成功談について語ることもできますが、いわゆる“成功物語”が、皆さんの胸に刻み込まれたり、印象深く記憶に残ったり、教育的に有益なものとなるとは限りません。むしろ、失敗をしたときの経験を通じてこそ、私たちは真に学ぶことができると信じています。ビジネスで成功をおさめている人とそうではない人の違いは何か。失敗から学び、それを将来の成長力や創造力の源泉へと転換する能力を備えているかどうか、ということにあります。
もし、失敗から学ぶことが素晴らしい教材となるのだとしたら、悪い意思決定や間違った判断を下した実例について、もっと耳を傾けるべきではないでしょうか。ビジネススクールに通われた方は既にお気づきかもしれませんが、クラスで使われるケーススタディーのほとんどは、ポジティブな視点で語られています(ケーススタディーの題材としてその事例の出版許可を受ける際、たいていの企業は、失敗例として引用されることを好むはずがありません!)。
そしてほとんどの教師は、自分たちが「間違ったかもしれない」と思う経験についてあまり語ろうとはしません。しかし私は、教育者として、「失敗の繰り返しこそが学びの実験室だ」と信じています。そして自分の“履歴書”を紹介することを考えた時、「失敗について語ろう」と、思いました。人生を振り返ると、適切だったと思うことより、ばかげた判断をしてしまったことの方が多かったかもしれません。大分時がたってから気づいたりもしますが、私はそれらのすべての失敗から、“重要な何か”を学びとってきました。
前もって皆さんにお伝えしておきますが、1、2年ほどしたら、失敗談も底をつくかもしれません。ネタがつきたときは、他の誰かの失敗談を紹介し始めますのでよろしく・・・。というのは冗談です。我々人間は、どのようにすれば失敗から学ぶことができるのか。読むうちにそんなことを考えるようになる、数々のエピソードを紹介していければと思います。
読者からのコメント、経験談を大募集
このインターネットによる掲載は非常に素晴らしいことです。私は英語で記事を書きますが、日本語へも翻訳されます。日本語だけしか読めない方々も、私の人生での愚かな失敗談について、そして、最終的にどのようにその失敗を成功へと転換させたのか、楽しみながら学んでいただけるでしょう。もちろん、一つや二つは、成功談も紹介します。
読者の皆さんにお願いです。どうか、意見やコメント、経験談を、私に、このサイトに寄せて下さい(日本語でも構いません)。失敗も成功も、両方です。このコラムが私から発信するだけの、“一方通行”になってはつまらない。読者の皆さんは、ここで紹介するエピソードよりはるかに意義深い、成功や失敗談をお持ちのことでしょう。ぜひこのコミュニティーに共有してください。そして、私たち全員がより良きリーダーとなり、より豊かな人生を送るための、肥やしとしていきましょう。
私は、「アジアでナンバーワンのビジネススクールになる」との目標を掲げるグロービスに、自分の経歴や経験から何か貢献ができそうだ、一緒に山を登ってみたいと思い、日本へやって参りました。
非常に心躍る目標です。今、それを実行して行く機会に恵まれていることを、幸せに感じています。しかしながら、一人では何もできません。グロービスという学びやに集う皆さんと、共に働き、互いに学びあう必要があります。
皆さんからのお便りをお待ちしています。それでは、失敗談を大いに語り合いましょう。(英文対訳:関口治)
※第1回「リーダーシップ」は、近日掲載予定です。