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未来に仕事を作るのは皆さんの役割 -10年後の自分と社会を考える

投稿日:2015/03/17更新日:2019/04/09

10年後の自分と社会を考える(2)

堀:そういうことで、3番手は何チームかな? そうか、小澤さんのチームかな。お願いします。スタート!

発表者(東京大学:岡崎):東京大学医学部6年生のオカザキと申します。よろしくお願いします。まず、私事を話させてください。6月に参議院で成立した「医療事故調査設置法」(※医療・介護総合確保推進法)というのがあります。それはガイドラインで運用するんですが、その作成に私は学生として1人参加させていただきました。

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その中で目の当たりにしたのが、日本の政治・行政がすごく硬直化しているのではないかということです。政治家の方や厚労省の方、天下りされた各センターの方々が、自分たちのポジションを保持することを念頭に置いてしか動くことができないような状況になっている。そのような場面を痛感しました。

また、話は変わりますが、1月から立て続けに東京大学医学部で臨床研究での不正が報じられました。社会に対する説明責任を十分果たせていないと感じまして、学部長と病院長と医学部長に対して公開質問状を出しました。

結構メディアとかでニュースにしていただいたのですが、それがあってもなお、いま教授会では臨床研究生に対して、社会に対してどう向き合っていこうかという話がなされていません。これを通じて、私は「学」の面でも、日本の医療が硬直化しているという現状を突きつけられました。

いろいろ勉強を進めていくうちに、どういうことがわかったかというと、日本は年間2兆円の薬や人工骨頭などを、海外から輸入しています。そのお金を払っているのはもちろん患者さんです。産業が育成できないです。開きたくても開けない病床があります。明治時代に始まっている病床制度のせいです。

これを変えるのに、私は行政からも政治からも無理だと思いました。そのために、私は東南アジアに日本の高度な医療を輸出します。クリニックを開設して、インフルエンス力(りょく)を付けて日本に戻ってきて、茂木健一郎になります。よろしくお願いします!

堀:ありがとうございました(笑)。どなたか、一言コメントをお願いしたいんですが、小澤さん。

小澤:私のグループのオカザキさんでございますね。思いが強すぎてどもり気味(笑)。思いが強すぎて時間配分できずと。

ただ、彼の思いは本物。東大医学部にまで入って、学生で1人、法律の整備にまで関わってる。非常に優秀。彼に足りないのはコミュニケーション力(笑)。この明晰な頭脳、熱い思いを皆さんに伝えない限り、世の中は動かない。世論を動かしたいんだったら上手にしゃべれるようになれ! 頑張ってくれい!

堀:ありがとうございました。こういうのは繰り返しだから、頑張っていけばいくらでも成長しますんで、まったく気にせずにどんどんやっていったらいいと思います。場数を踏めばいい。では、次どうぞ。

発表者(東北芸術工科大学 牧野):東北芸術工科大学コミュニティデザイン学科、1年のマキノ ヒデノリです。「10年後の自分と社会を考える」、10年後は2024年です。私たちが目先に目標としているもの、それは2020年の東京オリンピックです。すなわち東京オリンピックの4年後、また新たなオリンピックが開催されるということです。

私たちの提案としては、その2024年のオリンピック開催地の手本となるようなオリンピックを目指したい、と考えました。私は現在、コミュニティデザインという分野を勉強しています。このコミュニティデザインとは、その地域の課題を地域の人が発見し、それを解決していくプロセスをデザインしていったりサポートしたりしていく、そういった分野です。

そして私はコミュニティデザイナーとして、自分の地域、私の出身は浜松ですが、今いるのが山形、大好きな場所に気仙沼というところもあります。

そういった皆さんひとりひとりが持っている「地元」をもっと元気にして、今日は109の大学から集まっているということなので、そういったところを集約して「若者発・地域とのご縁を結ぶ東京五輪」、「ご縁」と「五輪」おなじひとつの円ということで、皆さんが繋がって盛り上げていこうじゃないか、と私たちは考えさせていただきました。

このG1カレッジが終わった後、皆さんそれぞれの地方に戻ると思います。そうしたときに自分たちの地域の課題、そして魅力というものを共有して、2020年の東京オリンピックに向けて発信していこうじゃないかと考えております。

ですので皆さん、今日これが終わったらもっともっと地域を盛り上げていこうと、最後に「ガンバロー!」をやりたいと思います。ちょっと準備してください。「地域をガンバロー!」と言ったら「オー!」ですよ? いきますよ、いいですか? 地域を盛り上げていこう!

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会場:オー!

発表者(東北芸術工科大学 牧野):ありがとうございます!

堀:オリンピックだと為末さんか宮城さん。

為末:すごく良いアイデアだと思うので、自分ならどんなオリンピックにするのかというのを、1つ。「俺はこのオリンピックを作るんだ」というのがあると、すごくいいなと思いました。

宮城:地域を元気にするというのは、本当に学生の力でも役に立てるんですね。皆さんが生まれたところ、今住んでるところが変わるために動き出すということはリアリティがあるので、ぜひ彼と同調して動いていただきたいなと思います。

堀:ありがとうございました。じゃあマキウラさんお願いします。

発表者(University of Bristol School 牧浦):皆さんこんにちは。マキウラ ドガです。僕は今まで過去2年くらい、東アフリカのルワンダとかタンザニアとかコンゴで農村部と都市部の農民の人たちをマッチングさせる事業と、それからおもに日本の農業技術を輸出するプロジェクト・事業をやっていて、半年前に事業譲渡しました。

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今は東南アジアに向けて、インターネットインフラの回線を整えるためにドローンを飛ばしたり、データ関連のビジネスを準備中です。僕が1番単純に10年後の日本の課題だと思うのは、機械化により職がなくなること。

今までジェネラルな仕事で、その辺スペシャルのスキルがなくてもスーパーのレジに立っていたおばさんやお兄ちゃんとかは、機械化によってすべて職がなくなる。現にイギリスとかでは、スーパーマーケットではすべて職が消えています。

そういう現状を踏まえて、10年後にどういうソリューションを提供していくのか。僕は、職はグローバルにもっとあると思います。つまり、日本人が持っているスキルやインフラ整備の技術などは、新興・途上国では常にもとめられています。

10年後は、既存の途上国はまだまだ先進国とは呼ばれがたいくらい、新興・途上国では現在20億人が毎日2ドル以下の生活をしていて、その人たちに向けた市場を作りたいと思います。

僕も現在動いてるんですが、東証さんと話させていただいて、10年後日本に社会企業に特化した証券取引所を作ろうという動きが始まっています。日本の2014年の予算のODA(政府開発援助)、途上国支援の額が5000億円強。ちなみに震災復興に1兆円。

僕は社会企業の市場に向けて8兆円くらいの、社会企業に特化した証券取引所を作りたいと思っています。そこから日本の技術、特にインフラ整備とか農業の技術を、ものすごく求められている途上国・新興国で活かして、そこで人々の匠の技術やサービス業なども活かしていって、市場からお金をプールするという形にしたい。

今日もGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の責任者になられた水野(弘道)さんもいらっしゃいますし、そういうお金をどんどん社会企業に入れていって、先進国と新興国・途上国で一方的な支援じゃなくお互いに共同な世界を作り上げていけたらなと思います。

堀:ありがとうございました。この分野はどなたがいいんだろう。

宮城:とても共感しました。やりましょう、ぜひ。仕事がなくなってきたら、未来に仕事を作るのは皆さんの役割だと思うんですね。皆さんが今にない仕事を作っていく側に回れるし、それをやるのは大人たちではなくて、皆さんの感性だと思ってます。皆さんの感性と行動で、ぜひ次なる新たな仕事を作っていくことを考えていただきたいなと思います。

堀:ありがとうございました。グロービスはベンチャーキャピタルもやってますんで、数多くの企業をボコボコ作っていきながら、需要と雇用の創造をしていきたいと思っています。では、次お願いします。

発表者(東京理科大学 鈴木):東京理科大学大学院工学研究科から来たスズキ ギンジです。日本における問題ですけれども、僕はデータリテラシーの欠落だと思ってます。データリテラシーはあまり馴染みがないと思うので、そこだけ共有させてもらいたいと思います。

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要は、データを見たときにそれが何を表してるのかを正しく認識する能力であったり、それを統計学的にどういう意思決定に用いるのかという、データの扱い方の能力ですね。これが、10年後の日本には特に欠落すると僕は考えています。

具体的な事例でいいますと、よく学生団体の方とか見るんですが、皆さんと一緒で熱意ある方が多いんですよ。目的はあるんですけど手段の取り方がうまくない。例えば「いろんな人の話を聞きました」っていっても10人くらいの話を聞いて、本当はこっちじゃないのに真逆な解決策をとって、そのままあきらめてしまう。失敗してそのあと成功するならまだしも、そのままあきらめてしまう最悪な悲劇の事例がたくさんあるんですね。

僕が就活をしているときにもたくさんの企業の方に確認したんですけど、やはりデータの扱い方が日本の中ではなかなか浸透していない。これは間違いなく国益を損するものでありますし、学生の皆さんにとっても損になることなので、日本の10年後の問題になると思います。

少し簡単な例を挙げますと、皆さんこれから就職活動をすると思うんですけど、平均年収とかたぶん見ると思うんですよ。「平均年収って本当にもらう金額に比例しますか」といったら、しないんですよ。あれは、ヒストグラムを取って分布を調べないとまったく意味がないんですね。

でもそれを知らないで、おそらく皆さんは平均年収を見て「あっ、この企業いっぱいお金もらえる」と勘違いして企業を選んで、誤った判断をしてしまう可能性があります。これは間違いなくあります。

あとは年金の絶対の受給額が少なくなったと言っていますけども、日本の現在の紙幣価値を考えたらたいしたことないような変動でも、データの扱い方を間違った結果、そのような判断になってしまう問題があります。

そこで解決策ですけども、僕は来年の4月からコンサルで働きますので、そこで企業のトップの方にどんどんデータの扱い方を伝えていくと同時に、僕は学生団体もやっているので、そちらの教育面でもどんどん統計学を教えていって、ボトムアップとトップ・ダウンの両面で攻めていって、日本に統計学を浸透させていければと思います。

堀:ありがとうございました。コメントを、じゃあ、りんちゃんお願いします。

小林:私のチームなんで、チームの中で話したときにも言っていたんですけど、データリテラシーは政策を作っていくとき、あるいは評価するときに、いろんな統計的な指標を用いていく必要性ってあると思うんです。けれども、それを指摘した上でスズキさん個人として何を、どの課題を日本の1番の課題だととらえているのかっていうところ。

あと、さっきの発表者じゃないけどパッションっていうか、「俺がこれを変えるんだ!」みたいなのがあると、データリテラシーをどうやって活用していくのかが見えるから、そうなってるといいなと思いました。

堀:ありがとうございました。これでちょうど半分の6人が終わったところですが、このままいっちゃいましょうか。じゃあどうぞ。紅一点ですね。女性のプレゼンターということです。お願いします。

発表者(奈良県立大学 野邉):こんにちは。ノベ・マホロです。(同じ班から歓声が上がる)ありがとうございます(笑)。私たちの班も、日本の課題を考えました。でもね、ご覧のとおりくせ者だらけなんですよ。まとまりません。

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でもひとつ思ったのは、日本の課題を考える私たちって当たり前じゃないっていうか、どっちかというと少人数だと思うんです。私たちがすべてじゃなくて、こうやって考える人もいれば全然興味のない人もいるってことに、まず気付かなくちゃいけないんじゃないかってことにたどり着きました。

自分がやばいと思ってること、地球温暖化だったり飢饉のことだったり、でもそれって他人ごとなんです。周りからしたら。そういう意識をまず持たなきゃいけないなって思います。そうなんです。

やっぱり熱い人同士で集まると、熱いのがすべてとか「もっと熱くなろうぜ!」ってなるんだけど、案外まだ知らないだけで、そういう知識を持っている人だったり、まだ気付けてない人だったりもいると思うんですね。

そういう人たちに伝えていく必要があるんじゃないかなって思います。みんな声を大きく、目を見開いてしゃべる方もいるんですけど、まず無関心な方たちには、もっとプラスの自分たちも楽しくなるようなことを伝えていく必要があると思います。

例えば東北のLINEスタンプだったり、打ち水だったり、キャンドルナイトだったり、そういう自分たちも楽しくなるような、自分たちにとってもプラスになるようなことを伝えていって、それで興味がない人は興味がないでいいんです。

ただ、そういうきっかけを与えることは大事じゃないかなと思うので、そういうことをしていけたらなと思います。というふうに、G1カレッジのすべてを考えたという感じの良い案が、佐藤(大吾)さんのおかげで出たなと思いますし、しゃべるのが上手な方がいるのに選んでくださってありがとうございました。

堀:ありがとうございました。どなたかコメントしたい方。小澤さん、もうそろそろ?

小澤:いやあ、すばらしい! 課題を考えないこと自体が課題だということですよ。ただね、皆様方にも課題かもしれないけど、おじさんおばさんたちにとっては、もっと課題でね。本当に何にも考えない人がいるから。だから、若者たちからぜひ考えてもらいたい。

おじさんおばさん、おじいちゃんおばあちゃん何やってんだと、ぜひ声を上げていただくと。そのためにも皆様方が頑張るっちゅうことです。我々は平和ボケしてますから。このまま日本は大丈夫だと思ってますけどね、ダメなことのほうが多いですからね。

これから皆様方が社会保障を払ってかなきゃいけないってことを、早く気付いてるわけですからね。我々はそういうお金をいただいて、年金を頂戴して生きていくという。まあ、僕も払うんですけどね。そういう方たちに対して、しっかり考えろと。「自分たちも考えるけど、お前らも考えろ!」と声を上げていただくと、より良いと思います。期待しております。頑張ってください!

堀:ありがとうございました。まずは、小泉進次郎さんがおっしゃったように、投票に行くことですね。投票に行って行動を起こしていきながら、声を上げるってことが重要だと思います。では次いきましょうか。

発表者(島根県立大学 倉田):日本の30年後の世界である島根県からやってきました島根県立大学のクラタ トシヒロと申します。島根県って「47番目に有名な県」とか「何もない」って言われてるんですよ。実際何もなくなってきてるんですけど、でも人が住む場所がなくなるってさみしくないですか?

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今、ひとつの町が、ひとつの集落が消えようとしています。「村納め」をしようとしています。そこに息づいていた伝統文化だとか、人が住んでいた痕跡をなかったことにしようとしてるっていうのが、今の島根で生まれはじめています。さらに、小学校がなくなってきてます。

それは全国的に起きています。子どもたちが遊んでいた場所、そして学んでいた場所がなくなってきています。そういったコミュニティがどんどんなくなってきています。それって悲しくないですか? でも僕はそれを変えたい。それをどんどん繋げていきたい。人と人とのコミュニティを作っていきたい。僕は30年後…(課題の)10年後を3倍にして30年後になっちゃってるんですけど、僕はその世界を今から変えていきたいと思います。僕たちが変えることによって、それは30年後の世界を変えることになると思います。それを僕はやっていきたい。

どうやっていくかというと、コミュニティを作ります。ゲストハウスを作って、世界中の人と世界の人を繋げていきます。そして相互に情報を共有しながら、自分たちの良いところも共有していきたいと思っています。それによって楽しいことも起こっていくし、いろんな人が繋がっていくと思います。

皆さん、とにかく自分たちからハッピーを繋いでいきましょう。「島根って瓦が有名なんですけど、こういうのも作ってるんですよ!」「瓦で箸置き作っちゃったんですよ!」って、そういったものも僕たちから発信していきましょう。

自分たちが住んでるところのすばらしさ、それがいずれ自分たちがやることによって、地方創生、地方の活性化、そして僕たちが住むところに愛着が生まれてくると思います。そういった環境を僕たちの手で、今ここにいるG1カレッジのみんなで作っていきましょう。よろしくお願いします。

堀:ありがとうございました。どなたかいらっしゃいますかね。じゃあ宮城さん。

宮城:消滅可能地域をどうにかするっていうチャレンジは、例えば従来の行政だったらいくら税金を投入してもキリがない。で、従来のビジネスでも解決できないという領域なんです。

こういう領域に新しい答えを生み出していくというのは、学生の皆さんみたいな、いま別に目の前で儲からなくてもその可能性にチャレンジできる時間がある人とかが取り組んでくれると、私はそこからすごい可能性が出てくるんじゃないかなと期待しています。(00:29:00)

→10年後の自分と社会を考える(3)はこちら

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