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想像できるプランを作る

投稿日:2014/12/05更新日:2021/10/23

前回は社内でものごとを進めていくために、健全な根回しをする、共に闘ってくれる人をつくるという話をした。今回は、戦略の実行度を上げるためのアクションプランの作り方についてみていこう。

一般的には目的を定め、全体日程、予算などの概略を決め、メンバーをアサインし、それらに従って詳細を詰めていく場合が多い。大切なのは自分の頭の中で動画が流れるイメージがわくようにプランニングするということだ。

具体的に個人名をあてはめ、Aさんはこのように動く、Bさんはあのように動く、Cさんは……。いつ頃までに何ができそうで、最悪のシナリオは、と考えていくのである。

イメージすらできない場合は実際にプロジェクトも動かない可能性が大きい。そして、このようなプランを作るためには関係者の力量を把握しておかなければならない。関係者を具体的に想定しないと、どうしても人数あわせのみで考えてしまう。ビジネススキル、マインドセットなどを含め、少なくともキーパーソンについては十分な理解をしておくことが重要だ。

個別の案件とはいえ、会社のミッション、ビジョンとの整合性を担保しておくことも忘れないようにしたい。厳しい状況になればなるほど、人はその仕事に意義や意味を求め始める。

何のためにやっているのか、何のためのプロジェクトなのか。その際、リーダーが会社のミッション、ビジョンとの関係性を明確に語り得ない状況となると、人はついてこない。

次に大切なのは、やらないことを決めること。通常、プランを作成する場合、やることは決めるが、やらないことを決めるのは少ない。結果的に、特に経験の少ないメンバーは局所的に過剰な検討をしたり、過剰なスペックを追求したりしがちになる。これは若手の育成を考えれば否定されるケースばかりではないかもしれないが、全体最適に観点からは留意が必要だ。

さらに、今回の案件はどのレベルまで達成すれば、何が実現されれば成功なのかといった判断基準を最初に明確にしておくことも極めて大切だ。状況の変化の大きさによっては、判断基準そのものを見直さなければならないが、そうでない場合、判断軸がぶれているように、または場当たり的な判断のようにメンバーが感じてしまうのは最も避けなければならない。

小刻みなマイルストーンを設定することも忘れないでほしい。マイルストーンを設定することでプラン進捗などを確認できるほか、関係者の意識統一にも役立つ。それまでの進捗を認め、メンバーをほめるきっかけにもなる。

多忙、コスト削減などを理由に会社のメンバー同士で飲食を共にする機会が減っている企業が増えているという話をよく聞くが、小さい成功(スモール・ウィン)に対し、こまめに祝福をしていくなどのことはとても大切だ。

最後に最も重要なことで今回を締めくくる。それは、大きな環境変化があった時にはプランそのものをゼロベースで見直し変更する勇気を持つということだ。

特に組織が大きくなると、1度決めたことは変えられないという呪縛にとらわれがちだ。特定の個人が悪いわけでなく、日本企業の場合、その場の空気が支配してしまうのだ。これを打破するためには最初からプランの中に、プラン自体の見直しをするタイミングを決め、埋め込んでしまうのだ。見直しを織り込んだプランの作成、ぜひ試してみていただきたい。

 

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※この記事は日本経済新聞2013年11月20日に掲載されたものです。 (Cover photo: shutterstock / Ismagilov)

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  • 田久保 善彦

    グロービス経営大学院 副学長

    慶應義塾大学理工学部卒業、同大学院理工学研究科修了。スイスIMD PEDコース修了。株式会社三菱総合研究所にて、エネルギー産業、中央省庁(経済産業省、文部科学省他)、自治体などを中心に調査、研究、コンサルティング業務に従事。現在グロービス経営大学院及びグロービス・マネジメント・スクールにて企画・運営業務・研究等を行なう傍ら、グロービス経営大学院及び企業研修におけるリーダーシップ開発系・思考科目の教鞭を執る。経済同友会幹事、経済同友会教育問題委員会副委員長(2012年)、経済同友会教育改革委員会副委員長(2013年度)、ベンチャー企業社外取締役、顧問、NPO法人の理事等も務める。著書に『ビジネス数字力を鍛える』『社内を動かす力』(ダイヤモンド社)、共著に『志を育てる』、『グロービス流 キャリアをつくる技術と戦略』、『27歳からのMBA グロービス流ビジネス基礎力10』、『創業三〇〇年の長寿企業はなぜ栄え続けるのか』(東洋経済新報社)、『日本型「無私」の経営力』(光文社)、『21世紀日本のデザイン』(日本経済新聞社)、『MBAクリティカル・シンキングコミュニケーション編』、『日本の営業2010』『全予測環境&ビジネス』(以上ダイヤモンド社)、『東北発10人の新リーダー 復興にかける志』(河北新報出版センター)、訳書に「信念に生きる~ネルソン・マンデラの行動哲学」(英治出版)等がある。

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