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経営者報酬とは?会社の業績と連動する新時代の役員報酬制度を分かりやすく解説

投稿日:2025/06/30更新日:2025/07/29タイマーのアイコン 読了時間 6分

経営者報酬とは、企業の役員・経営陣に支払われる報酬体系で、固定報酬と成果に応じたインセンティブ報酬から構成されます。グロービス経営大学院の教員が執筆した「MBA経営辞書」をもとに解説します。

経営者報酬とは

経営者報酬とは、会社の役員や経営陣に対して支払われる報酬の仕組みのことです。

従来の日本企業では、役員の報酬は毎月決まった金額が支払われる固定報酬が中心でした。しかし近年では、会社の業績や成果に応じて報酬額が変動するインセンティブ報酬の導入が進んでいます。

この制度では、会社の売上や利益が向上すれば経営者の報酬も増加し、逆に業績が悪化すれば報酬も減少します。つまり、経営者が会社の成長に対してより強い責任と意欲を持てるような仕組みになっているのです。

欧米諸国では既に一般的な制度として定着しており、日本でも徐々に導入が進んでいる注目の報酬制度といえるでしょう。

なぜ経営者報酬が重要なのか - 会社と経営者の利益を一致させる鍵

経営者報酬が注目される理由は、会社の成長と経営者の動機を効果的に結びつけることができるからです。

①経営者のモチベーション向上につながる

固定報酬だけの場合、経営者は会社の業績に関係なく同じ報酬を受け取ります。しかし業績連動型の報酬制度では、会社の成長が直接自分の収入に反映されるため、より積極的に経営改善に取り組むようになります。

これは「経営者が頑張れば頑張るほど報われる仕組み」を作ることで、自然と会社全体のパフォーマンス向上につながるのです。

②株主との利害関係を一致させる効果

株主は会社の業績向上を望んでいます。経営者報酬を業績と連動させることで、経営者も株主と同じ目標に向かって努力することになります。

特にストックオプションなどの株式報酬を導入すると、経営者自身も株主の一員となり、株価上昇への意識が高まります。これによって、短期的な利益だけでなく、長期的な企業価値向上にも注力するようになるのです。

経営者報酬の詳しい解説 - 固定報酬とインセンティブ報酬の最適なバランス

経営者報酬は、大きく分けて固定報酬とインセンティブ報酬の2つの要素で構成されています。それぞれの特徴と、適切なバランスの取り方について詳しく見ていきましょう。

①固定報酬とインセンティブ報酬の違いと特徴

固定報酬は、毎月決まった金額が支払われる基本報酬です。経営者の基本的な生活を保障し、安定した経営判断を可能にする役割があります。

一方、インセンティブ報酬は業績に応じて変動する報酬で、短期インセンティブと長期インセンティブに分けられます。短期インセンティブは年間の業績に基づく賞与、長期インセンティブはストックオプションや株式報酬などが代表的です。

欧米では経営トップに近づくほど固定報酬の割合が下がり、インセンティブ報酬の割合が高くなる傾向があります。これは経営者の判断が会社の業績に与える影響が大きいことを考慮した合理的な仕組みといえます。

②インセンティブ報酬の注意点とリスク管理

インセンティブ報酬には大きなメリットがある一方で、注意すべき点もあります。

特に短期的なインセンティブの比率を高くしすぎると、経営者が短期的な業績向上にばかり目を向けてしまう危険性があります。例えば、研究開発投資や人材育成など、長期的な成長に必要な投資を削減してしまう可能性があるのです。

そのため、短期と長期のインセンティブをバランス良く組み合わせることが重要です。また、業績評価の指標も売上や利益だけでなく、顧客満足度や従業員エンゲージメントなど、多角的な視点を取り入れることが求められています。

③日本における経営者報酬の変化と現状

日本では従来、固定報酬の割合が非常に高く、業績に基づくインセンティブはごく限られていました。

これには法制度上の理由もありました。商法上の役員に対する賞与は企業の利益処分とみなされ、法人税の課税対象となっていたため、コスト的に不利になることが要因の一つでした。

しかし近年、この状況は大きく変化しています。ストックオプション制度の普及や、執行役員制度の導入増加により、トップマネジメント層の成果主義化が加速しているのです。特に上場企業では、投資家からの要求もあり、業績連動型報酬の導入が進んでいます。

経営者報酬を実務で活かす方法 - 効果的な報酬制度設計のポイント

経営者報酬制度を効果的に運用するためには、会社の状況や目標に応じた適切な設計が必要です。実際の導入場面でのポイントを詳しく解説します。

①業績評価指標の設定における重要なポイント

経営者報酬を業績と連動させる際は、評価指標の選択が極めて重要です。

財務指標だけでなく、非財務指標も組み合わせることが効果的です。例えば、売上高や営業利益などの財務指標に加えて、顧客満足度、従業員満足度、ESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組み状況なども評価対象とすることで、バランスの取れた経営を促進できます。

また、指標は経営者が直接コントロールできるものを選ぶことが大切です。外部環境の変化に左右されすぎる指標では、経営者の努力が適切に評価されない可能性があります。

②段階的な導入と社内コミュニケーションの重要性

経営者報酬制度の変更は、社内外に大きな影響を与えるため、慎重な導入プロセスが必要です。

まずは現在の報酬制度を詳しく分析し、どの部分をどの程度変更するかを段階的に計画します。急激な変更は混乱を招く可能性があるため、数年間かけて徐々に目標とする報酬構成に近づけていくアプローチが効果的です。

また、制度変更の目的や効果について、役員だけでなく一般従業員にも丁寧に説明することが重要です。透明性のある情報開示により、制度への理解と納得を得ることで、組織全体のモチベーション向上につなげることができます。

さらに、株主や投資家に対しても、新しい報酬制度がどのように企業価値向上に貢献するかを明確に説明し、理解を得ることが成功の鍵となります。

参考ページ

MBA経営辞書「経営者報酬」

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