大人の学び、新時代へ。VUCA時代を生き残る「普遍的スキル」とは

2300本以上の動画コンテンツから、最新のビジネス知見を学べる「グロービス学び放題」。サービス開始わずか3年ながら金融、製造、サービス業など契約企業は900社を突破 、個人利用者も増えている。同サービスの事業責任者を務める鳥潟幸志に、動画学習サービスが受け入れられる要因や、効果的な学習のヒントなどについて聞いた。

網羅的かつ体系的なコンテンツが強み

──定額型動画学習サービス「グロービス学び放題」はサービス開始からわずか3年で、導入企業 900社を突破しました。なぜ、これだけ多くの方に受け入れられたのでしょうか?

今、学習環境は大きく様変わりしています。MOOC(Massive Open Online Course、ムーク)をご存知ですか。MOOCとはインターネット上で誰もがどこでも 受講できる大規模な公開オンライン講座のことです。

代表的なプラットフォームとしては米スタンフォード大学が開発した「Coursera(コーセラ)」、マサチューセッツ工科大学とハーバード大学が共同で開発した「edX(エデックス)」などがあります。2006年頃に米国でスタートして以来、世界中で広がりを見せています。こうした世界的な動きの中で、いち早く着手したことが奏功していると思います。

──とはいえ、動画でビジネスを学べるサービスは、グロービス学び放題以外にもたくさんあります。

確かに、「グロービス学び放題は、(ほかと比べて)どんなところがいいのですか」とよく聞かれます。私はこの事業を立ち上げる際、グロービスの歴史を今一度振り返り、何が当社の核なのかを見極めることから始めました。

そこで私が理解したのは、時代が変わってもどこの業界・業種でも通用する普遍的なビジネススキルを提供し続けてきたということです。さらに、それを網羅的かつ体系的なコンテンツとして届けられる。いわば、経営の全体像がわかる。これこそが、「グロービス学び放題」の競争優位だと考えています。

もちろん時代の潮流を押さえながら、最新のビジネス知見も盛り込み、日々コンテンツをアップデートしています。

楽しく見続けられ、学習効果が高い動画とは

グロービスは創業から26年間ずっとビジネス教育を手掛けてきているので、数多くのオリジナル教材があります。これらを最適化した形で動画に作り直すことから着手しました。

2300本以上という膨大なコンテンツ数なので、それぞれのコンテンツの位置付けが分かるように、「思考」「マーケティング・戦略」など9つのカテゴリに分けて整理したり、初級・中級・実践とステップを設けたりしています。

ただ、せっかくいいコンテンツが揃っていても、実際に視聴し、利用者のスキルアップにつなげてもらわなければ意味がありません。グロービス学び放題のゴールが学習で、いかに最適な学習体験をつくるかがとても重要です。こだわったのは、楽しく見続けられ、学習効果が高い動画づくりです。このため、海外の動画サービスを徹底的に研究しました。教育以外の分野、例えばエンタメなどの動画も参考にしたんですよ。

「どういう動画なら飽きずに見られるか」「どういう表現であれば学習効果が高いか」といった観点でリサーチし、議論した結果、見続けられる動画には共通項がありました。それは、「1本あたり3分程度」「短い中にも起承転結がある」「視聴者が主体的に考えられるように問いかけなどを入れる」といった点です。これらを踏まえて、すべての動画を制作しています。

毎日、ユーザーから300件近くフィードバックが届きます。それを丹念に読み込んで、にコンテンツをブラッシュアップしたり、次の動画の企画に反映したりしています。

VUCAを生き抜くには学びが不可欠

──利用者増の背景には、利用者の危機感もあるのでしょうか?

それは間違いなくあると思います。今は「VUCA(ブーカ)」と呼ばれる時代です。これは変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)の頭文字を取った言葉です。また「人生100年時代」とも言われますよね。こうした時代に生きる私たちは、これまでより長いスパンで自分のキャリアを主体的に構築していかなければなりません。

加えて、急速な「テクノロジーシフト」もあります。「既存の仕事の半分がAIに置き換わる」と予想される中、自分の専門性を時代の変化に応じて変え、変革期を生き抜くためには、良質な学びが必要不可欠なのです。

現代人は忙しい。その点、動画なら効率的に学べると考える人が多いのだと思います。利用者からは、「動画は理解するまで何度も繰り返し見られるし、イメージも湧きやすい」「スキマ時間で学べるのがいい」といった声をいただいています。

学習成果が出やすいのはどんな人?

──学びを血肉としていくためにはどうしたらいいでしょうか?

きちんと血肉化されている人は、「目的の設定」「インプット」「アウトプット」「振り返り」の4つにバランスよく取り組まれていますね。これは「Learn How to Learn ~自分にあった学習法を見つけるための4つのステップ~」という動画でも詳しく説明しています。

やはり何のために学ぶか、目的を定めるのが一番重要です。「今すぐこの課題を解決したい」「上司に指摘されているこれを何とかしたい」でも、「キャリアチェンジをしたい」でもいい。何かしら目的を定めて学んでいる人は吸収力が高く、成果が出やすいです。

インプットのポイントは「習慣化」です。例えば、「毎朝の通勤時間10分は動画を見る」など、ここでこれをやると決めることです。それを3日、10日と続けていくと、次第に苦にならなくなってきます。

アウトプットで最も効果的だなと思うのは、学んだらすぐ使ってみることです。ここで重要なのは、変にオリジナリティーを出さずに型通りやること。これが学習効果の高い人に共通しているポイントです。

振り返りは、やりっぱなしにせずに見直すことです。例えば仮説を立てて実践し、それを検証したり、ほかの人に意見を聞いてみたりするといいと思います。

モチベーション維持がオンライン学習のポイント

──オンライン学習ではモチベーションの維持が難しいと言われます。

よほどモチベーションが高くないと、1人で学び続けるのは難しいと思います。それには「ラーニングコミュニティ」を持つことです。同じような目標やテンションで学んでいる仲間とつながって、勉強したことをシェアしたり、ディスカッションしたりできるだけでもやる気はキープできます。

グロービス学び放題でも昨年から、オンライン講座に出演している講師などを招いて勉強会をした後、オフ会を開催するなどの試みを始めています。また学習のプラットフォーム上でも、利用者同士がつながれるようにしたいと考えています。一緒に何かプロジェクトをやってもいいし、応援し合うでもいい。そういう有機的なコミュニティーができるといいなと思っています。

グロービス学び放題は、グローバル展開も着実に進めています。中国版を昨年ローンチし、試験的にスタートしています。また本年度中に、英語版の「GLOBIS Unlimited」をオープン予定です。この事業のミッションである「学ぶ楽しさを広げて、社会に創造と変革を実現する」をかなえるべく、国や地域関係なく、利用者同士がより高め合っていける環境をつくれたらと思っています。

(文:荻島史江)

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