貸借対照表(B/S)の流動資産に「現金及び預金」という勘定科目があります。預金には、当座預金、普通預金、定期預金、積立預金、外貨預金など様々な種類があります。このうち、現金及び預金に含まれる預金はどれでしょうか。
通常の事業会社のB/Sは、流動性配列法というルールに従って勘定科目が配列されます。流動性(が高い)は現金化しやすいという意味ですので、最も流動性が高いのは現金です。売上債権、仕入債務、棚卸資産などの一定の勘定科目は「正常営業循環基準」によって流動(資産または負債)あるいは固定に区分されますが、その他の多くの資産または負債は1年基準(ワンイヤー・ルール)によって流動/固定に区分されます。決算日から起算して1年以内に現金化される(あるいは支払われる)資産または負債は、流動(資産または負債)、それ以外は固定に区分されます。
現金及び預金は1年基準によります。したがって、定期預金などは1年以内に満期が到来する預金は流動資産、満期までの期間が1年超である場合は長期性預金などの勘定科目で固定資産に区分されます。なお、現金は議論の余地なく流動資産となります。預金の種類によって流動/固定に区分されるわけではありませんので注意が必要です。
さて、キャッシュ・フロー(CF)計算書の「現金及び現金同等物」とB/Sの「現金及び預金」には違いがあるのでしょうか。
両者は有価物という点では同じですが、その中身が異なります。簡単に言うと、CF計算書における「現金及び現金同等物」の方が名前の通り、より現金に近い概念です。先述のとおり、B/Sは1年基準で流動/固定に区分されますので、1年後に満期が到来する預金も「現金及び預金」に含まれます。これに対して、CF計算書における「現金及び現金同等物」はより短期間に現金化が可能であるものだけが含まれます。一般的には、預金であれば決算日後3か月以内に満期が到来する預金のみが集計されます。また、B/Sでは有価証券に区分される資産であっても3か月以内に現金化が可能な短期の運用資産の場合は「現金及び現金同等物」に含めます。
一見すると名前が似通っていて混同しやすいので、財務諸表の注記にはB/Sの「現金及び預金」とCF計算書の「現金及び現金同等物」の違いについて説明が付されています。
【CF計算書の注記のイメージ】
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