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メンタル疾患のない世界を目指し、ひとりでも多くの人に届けたい――『言語化の魔力』樺沢紫苑氏インタビュー(後編)

投稿日:2023/04/14

「読者が選ぶビジネス書グランプリ2023」で自己啓発部門賞を受賞した『言語化の魔力』。
前編では、言語化とは何か、どのように実践していくかについて伺った。後編では、言語化の実践について更に深め、また精力的な発信活動を通じて樺沢氏が実現したい世界等、今後のビジョンを語っていただいた。インタビュアーはグロービス経営大学院の江上。(前後編、後編)(前編はこちら

ネガティブな反応ではなく、あなたを応援してくれる人に気づく

江上:ここまで、言語化の重要性やその実践についてご説明頂いてきました。その中で、言語化の訓練としてTwitterの活用などをお話し頂きましたが、SNSでは、ネガティブな反応に不安になることも多いのではないでしょうか。樺沢さんはこうした言語化に伴う不安をどのように考えていらっしゃいますか。

樺沢:皆さん、ネガティブな反応に注目しがちだと思いますが、文章を書いたり情報発信したりすることは、ポジティブな反応が起こるので基本は楽しいです。10人いたらあなたを嫌いな人は1人、あなたを好きで応援してくれる人が2人、残りの7人はどうとも思っていないという1対2対7の法則というものがあるのですが、これを考えるとよいのではないでしょうか。

この法則は職場でも同じで、20人の職場なら反論する人が1人か2人はいても応援してくれる人はその倍ぐらいいる。だから、ネガティブな意見が出たとしても、その倍以上必ずいるはずの応援している人を探さないといけません。それは、自分から話したり、コミュニケーションをとったりすることで見つけることができるのです。

悩みを抱えたときに「相談する人がいない」という人がいますが、必ずいます。それに気づかないのはもったいないです。

江上:とはいえ難しいのは、人間は悩んでいるとき、落ち込んでいるときは、エネルギーを失ってしまう生き物ですよね。

樺沢:ですので、エネルギーを失った段階で相談するのは手遅れかもしれません。私も患者さんと話し、いろいろなアドバイスをしますが、エネルギーを失った時にはもう動けない。もっと上流でのヘルプが大切になるのです。

皆さんの会社でも、「会社を辞めたい」と相談される前の軽い状態で早めに気づいて、ガス抜きをしたり、要領よくできる方法を教えてあげたりと、日々の対応が大切です。あまり知られていませんが、4、5人に1人は死ぬまでに一度は精神科を受診すると言われています。家族の中で必ず一人ぐらいはメンタル疾患になるという確率です。あなたの周りにもいると思って手を差し伸べたり「大丈夫?」と聞いてあげたりしてケアしてほしい。扉をオープンにしておくことが重要なので、「困ったことがあったらいつでも言ってね」くらいのスタンスがいいと思います。

対面での「ちょっとした雑談」が組織として言語化力を高める

江上:ここまで個人としての言語化力についてお話いただきましたが、チーム・組織として言語化力を上げていくために、心がけたいことは何でしょうか。

樺沢:最近のテレワークやzoomなど、オンライン会議は非常に良くないと思っています。オンラインだと、余計なことを言ってはいけない雰囲気が出やすいからです。しかしリアルの場だとさりげない話をしやすく、アイデアの種になるものも自由に言い合いやすい

つまり、組織としてはリアルコミュニケーションを大切にしてほしいのです。その基本は、挨拶や雑談です。コーヒーブレイクのような休憩時間に「最近どう?」と声をかけるのが、メンタル的にもいいし、職場の生産性を高めるという研究も出ています。

江上:オンラインであえて雑談がしやすくなる方法はありますか。

樺沢:Zoomであれば、3人か4人ごとにブレークアウトルームがつくれますよね。そこで最初の3~5分を、「今週あった楽しかったことをシェアしましょう」などお題を決めて、楽しいことを話すのです。全員だとやりづらいですが、3人ぐらいのグループに分けると話が盛り上がると思いますよ。

予防するとは情報を知ること

江上:最後に、今後の樺沢さんの活動についてお伺いしたいと思います。

樺沢:私のビジョンは「情報発信によるメンタル疾患の予防」です。情報発信とは出版、YouTube、SNSです。予防とは、例えばうつになった患者さんを治療するだけではなく、より多くの人に情報へリーチしてもらい、知ってもらうということです。知っていれば予防ができます。
例えば、睡眠時間を削るとうつになる確率も跳ね上がるし、最近は認知症になるリスクが跳ね上がることがわかっています。20代で徹夜して仕事をした人は、「今日は徹夜で頑張ったぞ」と満足感に浸ると思いますが、徹夜が寿命を縮めることを知っていれば、徹夜はせず、早めに終わらそうと思うはずです。知るだけで予防ができるので、情報を一人でも多くの人にお伝えしたいと思っています。

「ベストセラーを出したい」と言うと儲け主義だと言われますが、健康や予防に役立つ情報を一人でも多くの人にお伝えしたいというのが私の想いです。本でもYouTubeでも、多くの人に伝わるような情報発信をしていきたいと思っています。

江上:素敵です。情報が皆さんに行き渡って、メンタル疾患がなくなって、いろいろなことが話し合えたり相談できたりする世界になったらいいですね。

樺沢:天国のような世界ですね。お互いに困っている時は話を聞いてあげたり、仕事で困っている人がいたら手伝ってあげたり。そして自分もそれを享受できるような世界が実現したら、もっと生きやすくなると思います。

江上:身近なところから、すぐにできるかもしれませんね。

樺沢:家族とか、職場だと5、6人のチームとか、身近なところで実現しやすいですね。その中でまず自分からポジティブな言葉を使うなど、第一歩を踏み出すことはとても大切です。

江上:最後に、この本をまだ手に取ってない方、もう手に取られた方も含めて、『言語化の魔力』について、あらためてお伝えいただければと思います。

樺沢:『言語化の魔力』は、「言葉にすれば悩みは消える」というサブタイトルがついています。このように、皆さんの悩みは、誰かに言うだけで楽になるんです
聞くと当たり前ですが、ほとんどの人はやらない。そこに必要なのは何かというと、テクニックではなく勇気です。「仕事でちょっと今困っているんだよね」ってただ言えばいい。弱音を吐く勇気さえあればできるので、その勇気を、『言語化の魔力』を読むことで得てほしいと思います。テクニックはいらないので、明日からでもできます

また、皆さんの周りに必ずつらい状況にある人はいるので、その人の話に耳を傾けてみてください。それだけで、助け合いと、親切と感謝の連鎖が起きます。働きやすい職場になるし、皆さんの家族も和気あいあいとしていくと思います。

言語化する勇気を持って、ぜひ皆さんの人生をより幸せなものにしていただきたい。そしてストレスや悩みを減らして、メンタル疾患になる人が減ってほしいなと思います。

江上:私も今日、どんどん発信していく元気や勇気をもらった感じがします。本日は貴重なお話をありがとうございました。


言語化の魔力 言葉にすれば「悩み」は消える
著者:樺沢 紫苑  発売日:2022/11/9
価格:1,760円(税込) 発行元:幻冬舎

  • 樺沢 紫苑

    精神科医、作家

    1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。札幌医大神経精神医学講座に入局。 2004年から米国シカゴのイリノイ大学精神科に3年間留学。 帰国後、東京にて樺沢心理学研究所を設立。 「情報発信によるメンタル疾患の予防」をビジョンとし、 YouTube「精神科医・樺沢紫苑の樺チャンネル」(登録者40万人超)、メールマガジンなど累計60万フォロワーに情報発信をしている。 『学びを結果に変えるアウトプット大全』(サンクチュアリ出版)の大全シリーズは、80万部を突破。 著書40冊・累計210万部、SNS総フォロワー数80万人超。
  • 江上 広行

    株式会社URUU 代表取締役/グロービス経営大学院 教員/JPBV「価値を大切にする金融実践者の会」代表理事

    金沢大学経済学部卒業 学位:学士(経済学)

    株式会社URUU 代表取締役、グロービス経営大学院 教員、フィールド・フロー株式会社 取締役、JPBV「価値を大切にする金融実践者の会」代表会員、おかげさまお互いさま合同会社 執行社員

    1967年石川県金沢市生まれ。1989年金沢大学経済学部卒業。地方銀行に入行、営業経験を経た後、融資部門にて信用調査、研修講師、業務設計、CRMシステムの開発等に従事。2007年より株式会社電通国際情報サービス。主に地域金融機関向けのビジネスモデル変革支援、人材育成、組織開発、情報システム構築などのコンサルティングを行う。

    2015年より、グロービス経営大学院の講師として組織開発やリーダーシップなどのクラスで教鞭をとる。2018年9月株式会社URUUを設立 代表取締役就任。利益よりも価値を大切にする金融の普及、創発を生む組織対話のファシリテーション、その人らしさを解放するリーダーシップ教育、ワークショップ「エミー・ゼニーゲーム」などの事業を営んでいる。

    2018年12月、日本における持続可能な金融ビジネスモデルを実現することを目的に新田信行氏(第一勧業信用組合理事長)、渋谷健氏(フィールドフロー代表取締役)らとともに、JPBV「価値を大切にする金融実践者の会」を設立、代表会員に就任。

    経済産業省 知的資産経営評価融資研究会委員(2009年)、経済産業省 ITクラウドを活用した経営支援基盤調査研究会委員(2013年)、経済産業省「地域レベルの産学連携機能強化に係る方法論に関する調査」検討委員(2017年)。中小企業診断士/ITCA認定ITコーディネータ、趣味はサッカー観戦。

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