ESGに企業はどう取り組むべき?―アースデイに寄せて

4月22日はアースデイです。アースデイの始まりは、1970年。母の日、父の日のように地球に感謝する日をつくろうという運動がアメリカの学生から起こりました。本記事では、持続可能な企業成長のために経営がもつべき3つの観点である「ESG」について、グロービス経営大学院で企業の理念と社会的価値ESG経営とリーダーシップを教える江上広行に聞きました。

※本稿は、以下GLOBIS Insights掲載の記事をもとにしています。
 <How to Transform Your Business with ESG Strategy

「学習と成長のプロセス」としてのESG

―ESGとは、「環境 environmental」「社会 social」「ガバナンス governance」の3つの頭文字をとったものです。これらは非常に大きな問題です。ビジネスリーダーは、ESG戦略にどのように優先順位をつけて取り組むべきでしょうか?

「ガバナンス」が土台となって、「環境」と「社会」のうち自分たちの組織がインパクトを及ぼしたい領域または、得意な領域に取り組んでいくとよいと思います。その取り組みを継続しながら、学習を重ねていくこと自体が「ガバナンス」の強化につながります。しかも、それが新たな「環境」や「社会」にポジティブなインパクトを及ぼす活動の連鎖へとつながります。

一方で、企業活動がネガティブなインパクトを及ぼしている現実に向き合い、それを小さくし、やめることの優先順位を高くすることを忘れてはいけません。

ESGは、具体的なアウトカムを生み出す行動であるとともに、それを持続的に継続させていく「学習と成長のプロセス」だととらえるとよいでしょう。

ステークホルダーと話し続ける

―既存のビジネスを段階的にサステナブルにすることは、本当に可能なのでしょうか?それとも、本当に持続可能な経済には、まったく新しいビジネスモデルが必要なのでしょうか?

既存のビジネスをサステナブルに転換させていくことは「可能だからやる」というだけではなく、経営者が「その会社は何のために存在しているか」「未来に何を残したいか」という問いをもち、社員や多くのステークホルダーと対話を重ねるブロセスのなかでしか実現しえないでしょう。

かつての石炭・石油事業ビジネスから、グリーン・エネルギー企業へと生まれ変わったデンマークのオーステッドや、「モノを売らない店」への大転換を果たした日本の百貨店、丸井など、経営者がリーダーシップをとり対話を重ねながらその転換を果たしている事例は世界にはたくさんあり、そのような事例はどんどん増えてきています。

「ドーナツ経済学」を提唱している英国ケイト・ラワース氏は、サステナブルな取り組みにチャレンジしている多くの企業を調査しその、そのビジネスモデルの転換の傾向を5つ移行段階として説明しています。

  1. 何もしない

利益を最大化することが企業の目的であり、法律にさえ従えばよく、今のやりかたを変える必要はない

  1. 見返りのあることをする

取り組むことが競争優位になるので社会や環境のためによいことをする

  1. 応分の責任を果たす

社会や環境に影響を与えている立場から、義務や責任を果たそうとする

  1. 害を及ぼさない

ネガティブインパクトを下げることではなく、ポジティブインパクトをあげるように企業活動を行う

  1. 惜しみなく与える

生命の世界を自分が引き継いだときよりもよい状態にして引き継ぐことを企業の責任として行動する

 

みなさんの組織は、いまどこにいて、何を目指すのかという対話を、是非いまから始めてみてください。

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