3/8は国連によって定められた国際女性デーです。1908年にニューヨークで行われた女性の労働条件の改善と参政権を求めたデモを起源としたこの記念日は、女性の生き方を考えるきっかけとなっており、諸外国では3月を「女性史月間」と定めています。
日本のビジネス環境における男女平等は、進んではいる一方、まだ途上にあります。現在、女性が直面している最大の課題や、それを克服するためにはどんなことが必要でしょうか。グロービス・マネジメント・スクールやグロービス経営大学院の女性講師に連載で話をきいていきます。第2回は、グロービス・マネジメント・スクールでクリティカルシンキングを担当する大橋慶子です。
※本稿は、以下GLOBIS Insights掲載の記事をもとにしています。
<Japanese Women in Business: How to Advance Your Career Despite Inequality>
Q1: 日本のビジネス環境における女性の課題と、その対処法は?
日本は諸外国と比較した場合、男女平等とは言い難い面がいまだにありますが、男女雇用機会均等法が誕生してから約40年を振り返れば、日本においても、この数十年で意識は劇的に変わってきています。特に大企業ではジェンダーハラスメントには積極的に取り組んでいるので、「女性であること」を理由に問題があった場合はとにかく誰かに相談することをお勧めします。親身になって相談できる人を作り、一人で悩まないようにして欲しいです。女性だからと言う理由により、不利な扱いを受けることは法律上も許されないことなので、恐れる必要は全くありません。
とはいえ、法律等の形式上は平等になってきていても、暗黙の偏見はまだ残っているという人もいることでしょう。確かにそうした面は問題ではありますが、仕事においては女性ということが不利に働くばかりではありません。女性であるだけで、お客様に覚えてもらえたり、受け入れて貰い易かったりすることもあります。男女の違いは明確であるうえ、私が女性であることは事実なので、私自身は女性であることの長所を素直に受け入れようと考えています。
今後は女性が更に働きやすい環境に変化していく筈ですし、過度に心配する必要はありません。良い面に目を向け、むしろ、女性であることを武器として利用していく位の気持ちで臨んで欲しいと思います。
Q2:日本は家父長制で有名ですが、それでも成功を収めている女性起業家もいます。彼女たちはどのような点で異なっていると思いますか?
女性起業家は割合としてはとても少なく、過去の事例からは女性が不利に見えます。そこで、自分にはできない理由を語ろうとすれば、山ほどの言い訳が見つかります。そして、「男性ではないからできない」というのは簡単です。しかし、それを言い訳にして諦めてしまっては、結局その不利な状況を女性自らが促進することになってしまいます。
成功している女性の多くは、性別に限らず、言い訳はしません。できない理由を語っていても、決して成功には繋がりません。成功している女性の共通点として、できない理由を探すのではなく、常に前向きに挑戦し、どうしたらできるのかを模索します。
ステークホルダーに貢献し、意味のある成果を残していれば、男であろうが女であろうが関係なく、周りからの評価もついてくるに違いありません。
Q3:日本の男性が、より平等な職場環境のために、同僚の女性をよりよくサポートするためにできることは何でしょうか?
「女性だからきっと〇〇だろう」「〇〇した方が本人のためだろう」などと感じることもあるかもしれません。例えば、「出産後、時短で働いている女性は仕事と子育ての両立が大変だろうから、簡単な仕事の方がいいだろう」という思い込みから、簡単な仕事しか任せず、本人のモチベーションが下がるといったことがあります(いわゆる「マミートラック」の問題です)。このように、たとえ親切心からであっても、決めつけてしまうのではなく、本人の意思を確認することが重要です。
「女性だから〇〇」というステレオタイプに当てはまる人ばかりではありません。人のことは案外わからないものです。「女性だから」「男性だから」と性別で決めるのではなく、一人の人としての意見を尊重し、本人がどう考えているのかを知ることが重要だと感じます。