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社内政治の鉄則(4) 人の恨みは消えない

投稿日:2016/12/16更新日:2019/08/28

社内政治の傾向と対策を考える本連載。前回に引き続き、パターン3「意図せず戦いに巻き込まれてしまう」を考える。ケースの主人公はグロービス経営大学院生の椎名さん(仮名)だ。

パターン3: 意図せず戦いに巻き込まれてしまう(2)

【ケース】
真田前田はクーデターによってC社のCEOと執行役員となり、自分たちにとって邪魔な要職者を放逐した。だが、2人の経営能力は明らかに不足していたため、2年後、C社は赤字に転落してしまった。

真田を筆頭とする新経営陣は事業の見直しなど構造改革に着手し始めた。椎名は、新たな上司となった前田の指示で構造改革プロジェクトのメンバーに選ばれ、リストラの陣頭指揮を任された。

椎名は、約3カ月にわたり多くの従業員に退職勧奨を通達していった。路頭に迷わすことだけはしたくないという一心で、全員に再就職先を見つけて紹介した。このプロセスは本当に辛いものだったが、「リストラ後の事業再生を一緒に頑張ろう」という上司・前田の言葉を信じ、時に心を鬼にして取り組んだ。最終的には、予定以上の人数のリストラを完了することとなった。

その数日後、椎名は前田に呼びだされた。「君も辞めてくれ」。

前田の言葉に椎名は唖然とするだけで、何も考えることができなかった。冷静さを取り戻すにつれ、真田・前田派が放逐した川上専務や井口に近い人物だと自分が見られていたのだということに思い至る。派閥に属していたわけではなく、会社のために仕事をしただけだと主張したが、前田は聞く耳を全く持たない。

「はめられた!」

気づくのが遅かった。会社を再生するために、涙を飲んで多くの人に辞めてもらった。騙されたことへの怒りと悔しさとともに、申し訳ない気持ちで胸が痛んだ。

無念な思いを抱いたまま、椎名は会社を去ることを決断した。

恨みのエネルギーを侮るな

【講師解説】

椎名は、経営陣の派閥対立から生まれたクーデターに巻き込まれ、最後は自分自身もまさかの退職通告を受けることになってしまった。椎名にとってはとんだトバッチリだが、このことは人が抱く「恨み」のエネルギーが極めて強く、簡単には消えないものであることを如実に物語っている。

だからこそ、組織に生きる一個人として常に心がけるべき基本中の基本がある。それは、組織内で安易に敵を作らないことである。

当時の椎名は、「もう誰が味方か、誰が敵か全くわからなくなってしまった。信じられるのは自分、そして家族だけだった。ネガティブな感情を持たれている相手から信頼されるにはどうしたらよいのかを問い続けていた」という。そして、志を持つビジネスパーソンに向けて、「何が起きようともブレずに、自分の身は自分で守るしかない。そのためにも社内だけでなく社外にも人脈を作ること。自分がシニアでグロービスの門を叩いた理由の一つもそれ。今は素晴らしい仲間に会えたことに感謝している」というメッセージを残してくれた。

C社はその後、単独では生き残れず他社に買収されてしまった。

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